トヨタ叩きは終わらない

昨晩行われたトヨタの緊急記者会見を見て驚いた。全く中身が無かったからだ。そもそも今回程度の車両の不具合で社長出てくるなんて異例。というか前代未聞です。お客様相談コーナーに掛かってくるクレーマーからの「社長出てこい!」をそのまんま受けてしまったようなもので、トヨタのガードの弱さに愕然としました。

逆にもし社長を出すなら、一発で騒動を終了させるくらいの「内容」がないとダメである。記者会見を見ながら「側近に恵まれていませんね」と同情してしまった。ちなみにトヨタが前回大きい品質問題を出した時は、当時副社長だった瀧本さん(責任感のある人でした)が厳しい顔でキッチリと正面から対応し、1回で終わった。

そもそも今回の件、早期に適切な対応を行っていれば、普通の初期不具合だったと思う。トラブルを起こす理由も私が症状から推測出来たほどで、開発担当者ならすぐ解ったろう。その時点でディーラー対応すればよかっただけ。知らぬ存ぜぬで通そうとしたのが間違っている。これほどまでにKYだとは……。

しかもあの内容の社長会見じゃアメリカのトヨタバッシングは止まない。アクセル問題からプリウスのブレーキ問題に移行し、やがて本丸であるヌーミー閉鎖を突っついてくると予想してます。折しもトヨタは黒字化を発表。閉鎖の正当性を主張しにくくなってきた。本当に閉鎖してしまえばUAWや州知事をブン殴るようなモノ。

加えて閉鎖を撤回しなければ、今後トヨタはアメリカで工場の建設が出来なくなる。何度も書いた通りヌーミーはトヨタとアメリカの「友好の証」なのだ。歴史を見ても側近に恵まれないTOPは長続きしない。そのままだとトヨタに状況は急速に悪化する。そろそろ株主も意見を言うべき時期かもしれません。

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11 Responses to “トヨタ叩きは終わらない”

  1. FIT より:

    残念ながらトヨタは存亡の危機に追い込まれていると思います。アメリカによるトヨタ叩きは明白ですが、トヨタには非がなかったのか?私は隙がたくさんあったと思います。
    3、4年前ごろから私はトヨタ没落の予感がありました。
    そのころ奥田さんをはじめ首脳陣の世界一への願望が強く、大型高級車志向、積極的な海外進出そして国内ではレクサス店展開と「トヨタでなければ車ではない」というような社風が急速に蔓延していきました。そして一昨年のリ-マンショックによって積極投資が過剰投資に変わり、膨大な赤字決算になりました。また技術や品質への自信過剰が評論家やユーザーからの意見や苦情などの情報をうとくしたことは否めない事実です。それらによってどれだけ多くの敵を作ってしまったのか・・やっと今、気付き始めたのではないでしょうか?
    旧経営陣の責任はたいへん重いものだと思います。
    トヨタの没落は日本の没落にも繋がる深刻な問題です。
    トヨタは創業以来の原点に立ち返って、誠実一辺倒でこの危機を乗り越えることを切望しています。

  2. T.K. より:

    数日前の国沢先生の記事を読んで、舌鋒が緩んだかと思いました。
    それはさて置き、民主党、相撲協会、そしてトヨタと何か似たような匂いを感じています。
    トヨタが先鞭を切って流れを変えてくれるかと思いきや、いまいちですね。
    プリウスのブレーキ問題について、「運転感覚の問題」と言っていますが、本当にそう思って
    いるとしたら、トヨタの商品開発もたいした事ありませんね。
    全くの推測ですが、担当者は相当早い段階で気が付いていたのではないでしょうか?
    普通、評価者(上位者)に相談する時に、「これ危ないと思いませんか?」って言いませんよね。
    テストコースで確認するにしても、状況を説明して、「ブレーキを踏み増せはちゃんと止まります、
    どうでしょうか?」という感じでお伺いを立てるのではないでしょうか?
    今回程度の低速、若干の空走は、事前に予期できていればそれ程危険では無いと思います。
    ただ、前の車に続いて停止しようとした時に、空走されると一瞬どうしていいかわからなくなって
    反応できなくなる方が正常(普通?)な反応だと思うのですが。
    (ただ、みなさん交差点での車間距離取らなさすぎって思いますけど)
    そういう、「一般ユーザーが初めて直面したら、安全に対処できるか?」という観点で判断できる
    監督者が居なかったという事ですよね。
    今回のブレーキシステムの技術的な問題は国沢先生の仰る様な程度の問題でしょうが、その
    背景は、もっと深刻なのでは?
    トヨタの技術は凄いんだから...的な意見もありますが、走る実験室じゃないんですから、「トヨタ
    の技術が凄いから、少しくらい自分があぶない目に遭っても仕方ない」なんて思いませんよ。
    それから、今回国沢先生が、いち早く現象を説明して下さり、「さらにブレーキを踏み込めば
    止まります」とティーチングして下さったのは大変良かったと思います。事前に知っていれば、
    咄嗟の時でも戸惑う時間が短くなります。

  3. アミーゴ5号 より:

    社長が、ただ謝りにでてくるなんて、考えられません。
    先日出てきた重役の役目でしょう。鼻で括ったような答弁で批判を浴びたからといって、無策状態で社長が頭を下げに出てくるというのはおかしい。
    明らかに、一人相撲というか自分で自分の首をしめているというか、歯車が狂っています。
    嫌らしいほど一枚岩の印象があったトヨタとは、とても思えません。
    世界一販売や高級ブランドのレクサスといった成功体験の影響なのでしょうか?
    本当に、国沢さんの言われる通りだと実感します。

  4. 阪神ファン より:

    これはトヨタ叩きだけでは済まないような気がします。本当にリコールや不具合が許せないなら発火している洗濯機、ホットカーペットなど様々な電気製品についても徹底的に叩くはずが、それはありません。なぜプリウスなのか、なぜトヨタなのか考えて見る必要があるのではないでしょうか。
    先日に新聞によると「東アジア情勢と日米関係」セミナーの場で、アメリカのアジア上級部長コメントとして
    「普天間問題を脇において日米関係は深化させるという人がいるが、これができないと海兵隊のグァム移転もなくなる。ただでは済まない。」と警告した。
    とのことです。アメリカ側の言ってる内容が正しい、正しくないということは置いといて、アメリカが日本に不信感を持っていることは確かでないでしょうか。
    この記事を読んで、トヨタ単独ですむ問題でないと思いました。何らかの指示を出すなど国がしっかりと動くべきと思いました。

  5. civic より:

    新型プリウスのブレーキ抜けは以下の説明がしっくり
    来るように思います。コストダウンが原因でしょうか?
    国沢先生はどう思われますか?
    http://unknownpri.asablo.jp/blog/2010/02/03/4854762

  6. 麿 より:

    もし社長が無策のまま、ただ陳謝の為に顔出しで誠意を見せようとしたのなら、先生が仰るように現社長は側近に恵まれてないか、派閥闘争の中で孤立されておられるのかもしれませんね。たしかに鳴り物入りで登場した際(今思えば先走りで検証不足か?)、世界戦略車であるプリウスの唯一(皮肉)の欠陥を如何に当初から知っていようとも、『実はこんな不具合あるんですが、対策はまだです。』とは口が裂けても言えないですもんね。でもヌーミーの件が今後の米国における工場新設にまで関係して来るとは思ってませんでした。個人的にはどっちかといえば政府レベルより州レベルでの誘致案件で高失業率と低税収入に喘ぐ州からは、トヨタが工場を建設したいといえば、州の開発局は小躍りして喜んでインセンティブパッケージを持ってくるような気がしますが、でも確かにターミネーターをぶん殴ったら、あとが恐そうですね。
    この件を米国でトヨタがどのように対処するのかをのじっくりと見届けたいと思っております。

  7. fan より:

    トヨタの拡大路線は欧州や北米で販売を伸ばし、どこかの市場が減速しても他でカバーしリスクを分散して経営を安定させる狙いもあったはずです。
    積極的な海外進出もバッシングを恐れた結果です。でも、バッシングを恐れて工場進出したことが、皮肉にも不況で生産能力過剰になってしまった。
    NUMMIは閉鎖を決定しまが、タンドラを生産しているテキサス工場では在庫調整の為に生産を3ヶ月もの間停止したにも関わらずクビ切りせずに人材教育を行っていました。米メーカーだったらこんな対応をしたでしょうか。
    社長の豊田さんの求心力が弱いかというと、ニーズをより把握するために宣伝部を独立させトヨタマーケティングジャパンを設立したり、車文化を育成する為に「G's=ジーズ」を立ち上げたり、決して社内で意向が実現されていないわけではと思います。むしろ、雑誌などでは豊田カラーが出すぎているという意見もあるほどです。人事面でも、トヨタ輸送や中部国際空港、販売統括会社へ転籍された方を呼び戻すなど異例の対応が行われています。
    株主の利益という面でも10年3月期決算では当初純利益5500億円の赤字だったものを、収益改善の努力で純利益800億円へ上方修正するなど着実に成果を上げています。その結果、株主還元されるのではないでしょうか。
    また、経営の長期的な視点からも、24歳以下の免許取得率が年々減少の一途をたどり、「車は単なる移動手段」と考える層が多数をしめるなか、「G's=ジーズ」立ち上げや自らオートサロンへ出席されるなど車文化を育てようとされています。豊田さんのレース活動を道楽のように感じられる方もいるとは思いますが、車離れが進めば結局販売が低下し、経営を悪化させて株主還元もできなくなるんです。
    リーマンショックを引き起こしたような日々の売り買いをしている投資家にとっては、トヨタの株価が下がることは損でしょう。でも、トヨタの良い面を知って長期的に株を保有し企業に投資をしていこうという株主にとっては現社長の経営が長期的にはきっと利益に結びつくと思います。
    そして、車好きの視点からは「クルマのワクワク・ドキドキ」を高めていくためにFT-86やレクサスLFAの販売、既存車種での「乗り味」を良くしていこうとする方針はとても楽しみです。
    緊急記者会見に豊田さんが出席したのも、出なければ出ないでまた、厳しい批判を受けてしまうから。
    前回の品質問題は今回とは状況が違いすぎます。豊田さんのアクセルペダルとプリウスブレーキ問題の対応が悪いと言っても、サッカーに例えればルールに則った試合ではなく、同じ反則をしても自国選手は見逃して、トヨタにはいきなりレッドカードを出すようなフェアなやり方じゃない。そして、観衆がトヨタに大ブーイングをしているような状況です。
    プリウスのブレーキを「知らぬ存ぜぬで通そう」とはしていないと思いますよ。ユーザーの声を聞いていないのなら、1月生産分からの改善は実現していません。きちんと声を聞いて検証して改善するプロセスを実施したからでしょう。
    むしろ、今回のブレーキ問題でリコールしなければならないのならば、リコール基準がより厳しく変更されなければ過去の事例との整合性が取れないと思います。世論の動向でリコール基準がその都度変化していまうのっておかしいです。
    コストダウンでアクチュエーターの反応が悪くなったという声もありますが、VSC全車標準のプリウスでVSCの制御を実現するのにアクチュエーターの反応が遅ければ、緻密なVSCの制御ができませんので、そんなことはないとと思います。
    そもそも、プリウスのブレーキが危険か検証した新聞記事・番組を見たことがないんです。一般ユーザーにティーダなどと乗り比べてもらってアンケートをとって100人中何人が危険と感じたか、停止距離が何m伸びた、といったことが行われていません。まるで、幽霊のように「出るぞ出るぞ」といわれていながら、「危険性を示す」根拠となるきっちりとした証拠を見たことがない。ベストカーやCGなどで自動車報道のプロとして検証をしてもらえないだろうか。

  8. いひゅもん より:

     国内でのリコールも決ったようですね。
    本来ならリコールまでの必要が有るのか無いのかと言う観点はさておき、一連の問題は単に”トヨタ”にとどまらず、関連企業は勿論として地域経済から日本の経済にまで悪影響を与えることは必至だと思います。トヨタ本体の業績悪化に伴い、特に取引先(所謂「下請け」)は更なるコストダウン要請などの協力を求められる事になるでしょう。それらは当然、国内の雇用や賃金に悪影響を及ぼして行きます。
     トヨタ首脳陣は自社の動向が自動車業界のみならず、日本全体の経済にどれだけ大きな影響を与えるのかを認識して欲しいと思います。そんな事は無いと信じたいけれど、万一トヨタが破綻したら日本経済はどうなるか!そうならない様にする社会への企業責任も有るのです。
    政府関連や経団連なども、指導やアドバイスをして行く必要が有る様に思われます。
     そこまで行かなくとも、少なくとも下請けの受難が(元、部品業界に身を置いていた者としては)とても心配です。トヨタの下請けが影響を受けると言うことは他の完成車メーカーの下請けも影響を受けると言うことです。
    この際、特に米国ではあらゆる手段を用いてでも、早期に沈静化を図って欲しいところです。

  9. 阪神ファン より:

    TV見ているとブレーキがきかない危険な車というようなイメージになってしまっていると思います。なので、トヨタのテストコースにマスコミを集めてブレーキテストしてはどうでしょうか。実際にどのような現象となっているのか見るため。全く同条件で何度も試験するのは不可能かもしれませんが、トヨタのいう違和感が本当なら、これで証明できるのではないでしょうか。そういうことはできないのでしょうか。
    今夜のTVで一般ユーザのブレーキ抜け映像が映ってましたが、なんとメーター表示で速度が数キロ上がってました。ブレーキ抜けといわれている状況でアクセル踏んでいないのに、なぜ速度があがるのでしょうか。

  10. カールグスタフJr. より:

    時々、トヨタのプリウスに乗ります。母親に買ったので。
    雪国の私に取っては大変乗りやすいと感じています。
    近日の雪で、ABSを掛ける機会が多いのですが、非常に良く止まります。
    ただ感覚的に驚いたのが、ABSの挙動が少なくなっている。
    昔風の挙動が「ガガガッ」って来たものが、
    挙動が少ないことから、ABSが掛かっているかが、解りづらい感じがします。
    真ん中にABSが作動している赤ランプが付くのですが、それを見ないとスッと進んでいる感覚があります。
    それで、もちろんABSは効いているのですが、そう思わないで、足をブレーキから離すと、事故に繋がると思います。
    あまり雪道を知らない人が、そう思うのであって、
    私みたいに多少滑っても気にならない場合では、
    このABSはかなり向上しているなと感じていました。
    トヨタでABSを一世代前に戻す等でこの感覚は戻ると思いますが、
    個人的には、技術力の逆行のようで、あまり良いとは思えません。
    各ドライバーの感覚を変える位の技術向上かもしれませんので、
    もう少し、冷静に対応してくれると、ユーザーとしても安心しますが。(笑)
    東京圏でも雪が降って大変だったとは思いますが、
    そちらの方の意見ばかり聞くのは、どうかと思いますので、
    それを踏まえて、調査を続けてください。
    では、長文失礼します。

  11. T.K. より:

    先日は、大きなお世話の改行で見づらくしてしまい失礼しました。
    阪神ファンさんの「なぜ速度があがるのでしょうか。」ですが、デジタルメータでどの位上がるのかはわかりませんが、理屈ではおかしくないですよ。
    ブレーキ抜け前の車速でタイヤが回転していて、滑る路面に差し掛かってブレーキが抜けてしまったので、タイヤは回転慣性で以前の力で回ろうとしているのに対し、路面のミューが減ったのでタイヤの回転数が上がったのだと思います。
    ただ、両輪が同時に同じミューのところに差し掛からないとその現象は起きないのでは?
    それと、駆動力を駆けている訳では無いので、きっと一瞬しか起きないですよね。

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