マツダのディーゼルエンジン、チョイ乗りを繰り返すとトラブルが出るということからリコールを発表
リコールネタは好みじゃないけれど、通常と違う内容なので紹介したい。あまり認識されていないものの、新世代のクリーンディーゼルエンジンは「チョイ乗り」(短時間の移動)を繰り返すと調子が悪くなってしまう。そんなことから私は「ディーゼルエンジンの特性に留意して乗りましょう」と注意喚起してきたけれど、どうやら状況は深刻になってきているようだ。
ついにマツダが1500ccディーゼル搭載車を対象に『予見性リコール』という聞き慣れていないリコールの発表を行った。解りやすく説明すると「不具合が出た場合、乗っていて解るためそれから修理に出せば安全性を確保出来る」。調子悪くなったらディーラーに持ってきてくださいということ。マツダの発表は以下の通り。
「低車速で加減速する走行を繰り返すと、燃焼時に発生する煤の量が増え、インジェクタ噴孔部に堆積し、燃料の噴霧状態が悪化することで、さらに煤の量が増え、排気側バルブガイド周辺に堆積することがあります。そのため、排気バルブが動きにくくなり、圧縮低下による加速不良や車体振動が発生するとともに、エンジン警告灯が点灯あるいはグローランプが点滅し、最悪の場合、エンジンが停止するおそれがあります」。
ディーゼルエンジンは構造上、燃焼時にPMと呼ばれる煤(すす)を出す。ヨーロッパの交通モードのように、アクセル全開にするような使い方が多ければ煤も溜まらないものの、チョイ乗りやアクセル開度の少ない使い方だと溜まる一方になってしまう。この特性、マツダに聞くと「チョイ乗りが多い使い方には向かないと説明しています」。
本来ならメディアもディーゼルエンジンの長所と弱点について紹介すべきなのだろうが、残念ながら一般メディアはもちろん自動車専門誌すら「燃費が良くてパワフル」とホメるばかりで、チョイ乗りを繰り返すと調子悪くなるということを書かない。結果として、エンジン不調になりディーラーを訪れるユーザーの増加となった。
この件、前述の通りマツダは全く隠そうとしていない。マツダとしてもディーゼルエンジンの特性を認識して乗って欲しいと思っているからだ。
ちなみに調子悪くなっても決定的な解決策は無い。リコール対応策を見ると「点検入庫した場合には、エンジン制御コンピュータ等を点検し、排気バルブのバルブスプリング、インジェクタを無償で交換するとともに、エンジンおよびDPF(黒煙除去フィルタ)に堆積した煤を清掃します」。煤掃除をして部品を交換するというもの。
同じような乗り方をしていたら調子悪くなるということ。エンジン警告灯が点けば何度でも対応してくれるということながら、面倒なこと。一番簡単なのは「たまに高速道路を走ること」。マツダに限らず、ディーゼルに乗っているなら、チョイ乗りはあまりしないことをすすめておく。
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