メディア絶賛! 鳴り物入りで登場したCX-60ながら、市販1年で月販692台。日本車で46位です

私を除くメディアから絶賛され、鳴り物入りでCX-60の納車が始まったのは1年前のこと。「あんなに問題あるクルマをよく上手に誉めるもんだ!」と関心していたけれど、日本のユーザーって慧眼だ。2023年12月の登録台数は692台で日本車の中で46位! 厳しいだろうと予想していた私ながら、ここまで酷い状況になると思わなかった。ラージ商品群、少なくとも日本は大失敗です。

ダメな部分を書いていくとキリがない。クルマという商品を考えた時に決定的にダメな点を三つあげてみたい。まずサスペンション。本来なら直進安定性はフロントのキャスター角(トレイルも含む)で生み出す。なのに誰が考えたのか不明ながら、ラージ商品群はゼロキャスターなのだった。この件、虫谷さんに「大丈夫なのか?」と何度も聞いたのだけれど「大丈夫です」。

確かに誉められたレベルでこそないものの、まっすぐ走る。されどリアサスのアライメント変化(特にトー)を嫌った結果、全く動かなくなってしまった。後から出てきたピロボールが1箇所減ったタイプは少し乗り心地良くなっているものも、荒れた道を走ると直進性が怪しくなっている。CX-80で大改良を加えているというが、ゼロキャスターのままだと厳しいと考えます。

乗り心地よくするため減衰を下げているから動くとフワフワ

二つ目はトルコンを使わない8速AT。先日皮肉にも「機械振興協会会長賞」という賞を獲得している。確かに効率良いのかもしれないが、クルマは機械でなく商品。CX-60の価格帯になると燃費より滑らかさに代表される快適性が何より重要になってきます。この8AT、プロトタイプの時から全然ダメだった。聞くと「市販までにちゃんと仕上げます」。私も仕上がると思ってました。

とんでもない! 市販車の試乗車も変速ショック出まくる。何度かリプロを行っているようだけれど、基本的に症状が消えない。さらに驚いたことに、アメリカで販売されているCX-90も変速ショック大きいのだという。アメリカもマツダファンは多く存在するため今のところ大きな弱点になっていないようだけれど、アメリカ人は滑らかさフェチである。とうてい許容されまい。

三つ目がスペースユーティリティ。直列6気筒を搭載しているという記号性を出したかったのか、驚くほどボンネット長い! そこまで必要あるのかっていうレベル。実際、マツダの直列6気筒はコンパクトなので、エンジンルームに余裕ある。まぁデザインを優先したってことです。結果、格下クラスのCX-5よりリアシートの居住性が悪くなってしまった。リアシート、狭い。

そもそもデザインだって最近のマツダ車の中ではMX-30の厳しさを例外として、バランス良くない。CX-5を見て「美しいな」と思うことはあっても、CX-60についちゃ「う~ん!」。決定的にダメなレベルでこそないけれど、デザインを見て「欲しい!」とサイフを緩ませるようなパワーは持っていない。売れ行き伸びない大きな要因の一つになっていると考えます。

どうしたらいいか? これは相当難しい! 一度ここまでイメージダウンすると、私レベルのクルマ好きが「欲しいね!」と思うくらいのレベルに仕上げないと埋もれたままになってしまう。とにかく乗り心地とハンドングのバランスと、滑らかさ。車格に見合った上質感を出して欲しい、ということですね。出来なければせいぜいアメリカで頑張って売るしかない? 

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12 Responses to “メディア絶賛! 鳴り物入りで登場したCX-60ながら、市販1年で月販692台。日本車で46位です”

  1. トヨタ車ユーザー より:

    CX-60のデザイン、何だか長いボンネットに、CX-5などのキャビンを取り付けただけに見えるところがけっていんというか、プロポーションが悪いと感じる理由なんでしょうか。
    もし、CX-80が出れば、ホイールベースも伸び3列シートになって、それらしいスタイルになるのかな。
    そうすると全長が5mくらいになって、ランクル並みになってしまいますが。
    それでもそこそこ売れたとしたら、スバルにはアセントを日本でも売ってほしいです。

  2. 猫まんま より:

    まあこんなものでしょう。
    こんな試作車レベルの未完成車が売れるわけがない。
    左右にふらつくフロントサス、乗り心地は悪いけど不思議と突き上げだけは無いリアサス、車重が重いから?。40年前のジャトコレベルの変速ショックの8AT。よくこのレベルで市販したものだとある意味凄い。デザインもVOLVOの劣化版ですしね。
    まあ一番いつものことですがあれだけべた褒めしていたマツダ好きの連中はどこへ行ったんでしょうかね?そういった連中の3割でも実際に買っていればここまで売れないことは無いでしょう。
    シェイプアップしてきちんと改良されればガソリンベースグレードの¥299万はお買い得だとは思いますが。

  3. アクシオム より:

    CX-5に初代から2代目にかけて3台乗り継ぎ、そろそろ上級移行でCX-60も検討しましたが、国沢さんが仰る通りの点でやめました。
    乗り心地は、運転している自分は良いとして後席に乗せるゲストにとっては、レッグスペースの狭さとセットでNGですね。それと色々なYoutubeで取り上げられているように、直進安定性についてもレーダークルーズコントロールの作動の有無を問わずあまりよくないのでNGですね。
    CX-5の上級移行を狙っているのに、パッケージがよくないのは、以前副社長を務められていた方や、以前デザイントップで現在フェローになられた方の影響でしょうね。FF横置きでもFRのようにロングノーズに見せたくて、FRを作りたくてしょうがなかった願望を達成したので、それをより強調した成果でしょうね。
    今年投入予定のCX-80は、販売店の情報だと全長は絶対5000㎜を切って発売するようだし、販売店からもそういう要望が強く上げているのでおそらくそうなるでしょう。しかし、CX-90のホイールベースを、CX-9とCX-8のようにCX-80でも同じ長さを採用するとなると、フロントのオーバーハングを相当切り詰めるか、肝心の3列目から荷室を相当切り詰めないと無理な気がしますね。
    CX-8、昨年12月末で販売、生産ともども終了したようですが、CX-5のように残していずれ次世代の電動化ユニットを採用してモデルチェンジした方がよかったかも知れませんね。

  4. さとう より:

    マツダの優秀な部長がトヨタに移籍し、トヨタとマツダのエンジンやセキュリティーの制御システムを共有化し、CX-60のネガ潰しもトヨタが関わるという噂は本当なのでしょうか。

  5. びろ より:

    XD-HYBRID が6年で20万キロオーバーのBSアウトバックの代替え最有力候補でしたが、1年経てばトラブルも落ち着くかなぁと待っていますがリブロでさらに問題が起きているようで、困ってしまいます。
    でも、直6のディーゼルターボで、フロントデザインはちょっとだけどリアはかっこいいし、トルコンレスだって1速と2速さえ我慢すれば(ちょっと前のDSGも発進はギクシャク)、、、
    ADASはマイチェンで大幅進化を期待します。
    トヨタがいいのはわかっているけど走りすぎててやっぱりマイナーで良い車に乗りたい気持ちが強いです。

  6. いけだ より:

    自動車設計の常識に果敢に挑んで討ち死にしたCX60って、
    脳内で作り出した怪物に挑んで敗れたドンキホーテを連想させられます。

  7. UTA より:

    CX-8をカタログ落ちさせたのは早計だったのではないでしょうか。
    私は現在CX-8のディーゼルに乗っていて気に入っているのですが、次はCX-80、とはあまり思えません。
    シエンタの様に再販の可能性は無いでしょうか。

  8. 猫まんま より:

    1年ほど前に試乗したときに1速2速のあまりの変速ショックに同乗していたディーラーのおば様に凄い酷い変速ショックですなと言ったら「これでも一度プログラム変更してるんですよ。変わってないけど」と言ってたのが思い出されます。実際トルコンレスにしたところでそこまで極端に燃費良くなったりしないだろうから完全に技術者の自己満足ですな。改良?されるのにいったい何年かかるのだろうか?
    まあそういうことをさておいても、トヨタガーとかマツダは凄いとか言ってる連中が買えば済むことなんですが。スカイアクティブXと同じくマツダは自分の所を褒めちぎってるユーザーが買わない層であることに早く気が付かないととんでもないことになりますね。
    そう考えれば国内市場は骨董品のビッグマイナーチェンジばかりでお茶を濁す日産は賢いのかもしれませんね。

  9. コニ より:

    購入時は、AT制御がガサツでフロントロアアームから異音がしてリアが跳ねるだけの車だったんですよ。
    ATリプロで振動面では合格点です。減速時に相変わらずガサゴソ言うてますが(笑)
    リアもショックを交換したらまぁ赤点の車が合格点にはなりました。

    ただ、カージャーナリスト達が気がつかなくてユーザーが苦しめられている点がこの車は多すぎます。
    相次ぐリコール、サービスキャンペーンでプログラムがぐちゃぐちゃになってしまってます。
    ドライバーパーソナライズは、機能停止しました。
    各種先進装置のセンサー感度が狂ってレーンキープアシストやレーダークルーズはまともに機能しません。
    さらにハンドルギヤボックスに起因する不具合は、2023年春には情報が上がってたのにほぼ一年かけてやっとリコールです。
    乗り始めが70点の車だと、今は50点の車です。

  10. 隆之 より:

    量産判断が甘すぎたのはCX60だけではないのだから単なるミスとは思えない。構造的な工数不足ではないかな。
    コンピュータで開発、ある程度のテストはできても最後は走行テスト。
    この工数は人だからボトルネックになってる気がする。
    しかし、CX60だけでなく連続して起こってるのだから役員が動けていないのはなぜ?
    トップインタビューではここを書いてもらいたいが、記者の皆さんはみんな田崎史郎化してるのかな。

    • コニ より:

      仰る通りです。メーカーは、初期CX-60でやらかしまくってる自覚は絶対にあるはず。別にHPへ載せろとか要求している訳ではなく一言ディーラー経由でもいいので「期待に添えておりません。時間はかかるが必ず直します」ぐらいトップが判断してアナウンスしろよ!て思うんですよね。
      ディーラーに言ってもCX-60で疲弊してて流されてる。担当に言ったらCX-8への避難を勧められる。正常化してくれるだけで私はイイんですけど…。
      乗り心地だけに関しては、エンジニアが言い訳してる分まだマシかなとは思います。
      前社長は、数%のユーザーに刺されば!とか言うてましたがその数%に見限られてるのに気づくのでしょうかね。
      中古販売台数がえらい事になってますよ。

      • 猫まんま より:

        >中古販売台数がえらい事になってますよ。
        マツダを弁護するわけではないけど試乗車は大体3000km程度乗ったら中古に卸すらしいのでマツダしては気合入れて各ディーラーに試乗車を大量投入していたのが流れてきたんじゃないかと。
        むしろこれからはどんどんと購入したユーザーが呆れ果てて手放してくるだろうからもっとだぶついてくると思います。MX-30ロータリーも試乗車が多いらしいからこれから増えるかもしれません。さあ希少車手に入れるならチャンス到来です。

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