三菱自動車、LG化学と浮気?
日本が大きく先行していると思われたリチウム電池ながら、どうやら韓国LG化学の猛追を受けているようだ。以前も紹介した
通りLG化学はGMから『ボルト』に搭載するリチウム電池を受注し、アメリカ(ミシガン)に大規模な工場を建設中。ちなみにボルトはi-MiEVと同じ容量のリチウム電池を積む。
この時点では「頑張っていますね」くらいのイメージだったのだけれど、日経新聞によれば「三菱自動車がLG化学と自動車用リチウム電池を共同開発する」と
いう。ご存知の通り、現在三菱自動車はGSユアサのリチウム電池を使っている。しかもGSユアサはコストダウンのため工場を続々と増やし始めた。
2012年くらいになれば、1kWhあたり5〜6万円が見えているのでは、と予想されていたほど。しかし! 日経新聞によれば早ければ2012年発売の電気自動車からLG化学のリチウム電池を採用するという。こらどういうことか? 性能はもちろん、価格がGSユアサより安いからに他ならない。
現時点で世界一競争力のある日産のリチウム電池で2012年の目標価格は1kWhあたり4〜5万円と言われている。もしLG化学が2012年で1kWhあたり4万円レベルに到達しているなら、三菱自動車だって浮気したくなるだろう。16kWh積むi-MiEVだと6万円で96万円。4万円なら64万円。
これだけ違うとGSユアサ厳しい。以前から三菱自動車は「安ければどこの電池でもいい。別にGSユアサにこだわらない」と公言してましたから。以上、読んで諸兄はどう考えるだろう。「当然だ」と考える人と「三菱自動車さん冷たいじゃないの」が別れると思う。実情は当事者のみ知るところかもしれません。
GSユアサにとってみれば「いつ別れ話が出るかも知れないから純粋にビジネスとして利益を乗せて販売する」。三菱自動車からすれば「高い」。結婚しないで生活しているようなもの。その点、トヨタ・パナソニックや日産NECは結婚してお互いの将来を誓っている。個人的には後者が有利だと思う。
漁夫の利を得られるとすればホンダである。昨年GSユアサと『ブルーエナジー』という合弁企業を立ち上げており、京都の新しい工場で生産するリチウム電池は今年10月にもラインオフする。福井社長の頃は「押さえ」という存在だったかもしれないが、伊東社長になって大抜擢された可能性大。
GSユアサとしてもホンダの方が魅力的だろうし、ホンダ側も突如トップクラスのリチウム電池を適当な価格で入手出来るとなれば嬉しい。ここでGSユアサが気合いを入れ、日産やトヨタ、LG化学と同等のコストでホンダにリチウム電池を供給出来るようになったら相当面白い展開になります。
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経営判断として、どの時点の最適を求めるかなのでしょう。
取引先を条件の良し悪しで決めれば、短期メリットは出るものの、後から自分もお客から同じ尺度で評価されるでしょうし・・・
色々な人に聞いた話では、韓国のLIBは性能、コストのいずれの面でも日本製と比較してほとんど遜色ないらしいです。
GSユアサとしては、せっかく増産体制を作ったのにここで大口顧客(MMC)に逃げられたら、新しく大口の優良顧客を見つけてくるのは大変なはず。
なので、ここは韓国勢に負けない勢いで低コスト化・低価格化を進めるしかGSユアサの生き残り策は無いでしょう。(もちろん他に大口顧客のアテがあれば話は別ですが。)
ホンダもEVバイクで採用実績のあるSCiBの東芝とGSユアサで良い方が選べるというのは悪い話ではありませんし。
EVをユーザの側からすれば、韓国勢は中国勢の存在によってLIBの低コスト化が加速されるので、結果的に世界の低炭素化には良い結果となるとプラス思考で考えたいですね。(当事者のGSユアサさんとかは、コスト削減競争で相当に大変でしょうが・・・)
ユーザーから見て、電池で一番気になるのは、劣化問題=寿命です。安全性ももちろんですが、電池競争を見ていて最近思いました。
充放電何回とか、使用時間とか、どのくらいの出力低下で収まるかとか。いろいろ決まっていますが、実際に使ってその年月をたってみないと分からない。
だから、消費者目線でみれば、どこの自動車メーカーがどこの電池メーカーと組んでも向こう2,3年はまだスタートラインでしょう。7,8年経ってアラが目立ってくればそのメーカーは落選。そこまで行かないとどのメーカーがいいのか分からないし、安物買いの何とやらにならないか、今はそれが心配です。
逆に現行プリウスを信頼性の落ち着いてきたニッケル水素にしてくれて良かったです。安いしガソリン入れればよいのですから。
都会では充電スタンドを見かけるそうですが、地方都市ではぜんぜんです。ましてや、街同士が砂漠でつながるアメリカはどうなるのか。鉄道かやっぱり内燃機関か?そうするとヴォルトの出る台数もおのずと決まります。
都市によってクルマ(原動力)を使い分けるのが、本当の将来像ではないかと最近気づきました。