三菱自動車が東芝と?
本日の日経新聞によれば「三菱自動車は東芝からバッテリーを購入する」と報じている。事実だとすると相当意外な展開。なぜか? 今までも東芝は多数の自動車メーカーに『SCiB』というバッテリーを提案してきたものの、ことごとく「前向きに検討します」という事実上のゼロ回答だったからだ。
理由は二つ。まず電気自動車用としちゃエネルギー密度が少ないため、同じ容量だと1,5〜2倍近い重さになってしまうこと。日産NECのバッテリーでさえ300kg近いそうな。1,5倍も重いと中国の安価な鉄電池(燐酸鉄リチウム)と同等。もし同じ重さに抑えるとすれば、走行距離は半分になってしまう。
また「充放電6千回で90%以上の性能を保つ」というセールスポイントは、あまり意味を持たない。1回の走行距離が100kmなら、2千回で20万km。リーフを120km毎に充電すると、24万km。6千回なら72万kmですから。むしろ2千回だってOKなのでエネルギー密度を稼いで欲しい。
もっと言えば、72万km走る前に経年変化でダメになる。このあたりの事情を展示会の際、東芝に聞いたのだけれど「解りません」の一点張り。名刺を頂ければコチラから連絡します、と言われたので渡したのだけれど、これまたナシのつぶて。こんな姿勢だと自動車メーカーだって本心じゃ付き合えまい。
少し脱線するが、カヤバ工業だった時代のKYBに取材を申し込んだら、出てきたのは『総務専任課長』というモロに総会屋さん対応の肩書きを持った人だった。当たり前かもしれないけれど、部品を作っている企業は「良いモノを作る」努力より、「自分を守る」ことを最優先してるんだな、と認識した。
ワールドカップでいえば失敗のエクスキューズを個々に行うフランスチームみたいなものか。しかし自動車メーカーはバッテリー開発に対し岡田ジャパンのようなチームワークを求めている。だからこそ日産NECやプライムアースEVエナジー(元パナソニックEVエナジー)なのだ。
不良品が出たらお互いに責任をなすりつけず、金銭面も人員面も両社で解決するような体勢を望んでいるワケ。バッテリーを作る会社にとっても、純粋なビジネスの関係だと不良品出した時に全て自分で責任を取らねばならず莫大な損失出す可能性大。当然ながらリスク分も製品価格に乗せるだろう。
いや、開発費も乗せてくるに違いない。ナニが言いたいのか? 東芝のバッテリーは高くて使えないだろう、ということです。日産NECや、サンヨーを傘下に引き入れたトヨタ陣
営が生産するバッテリーの価格の目標値は早ければ4年以内に1kWh=2万円。外様の東芝だと不可能だと思う。
ここで文頭に戻る。それならなぜ三菱自動車はイマサラSCiBなのか? 二つ考えられる。エネルギー密度を大幅に引き上げた新型SCiBの開発に成功したか、はたまたプラグイン・
ハイブリッド用のバッテリーか、でございます。私は後者だと睨んでます。SCiBとの相性、素晴らしく良い。
プラグインハイブリッドのバッテリーは、大量の電気を出し入れ出来るキャパシタとバッテリーの中間くらいの性能が要求される。当然ながら充放電可能回数は多ければ多いほど良い。私の知るSCiBの性能とピッタリ合う。ハイブリッド用ならコスト的にも折り合いが付けられるだろう。
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私も、えっ?と思いました。しかも三菱って?という感じです。
SCiBは150Wh/kgのセルの開発も完了しているので、EV用としては及第点ではないでしょうか?
100Wh/kgのものはわずかながら既に市場に出ています。
負極に炭素材料を使ったものの方が理論的なエネルギー密度は高くとれますが、安全性や寿命との兼ね合いでそう簡単にエネルギー密度をあげることは難しいようです。
SCiBのようなチタン酸リチウム負極の場合、理論的には180Wh/kgくらいまでしかエネルギー密度がとれませんが、150Wh/kgのエネルギー密度だとしても、40kWh積んで約270kgですから、既にEV用としての要件は十分満たせるはずです。
マンション住まいなどで急速充電をせざるを得ない場合などは、その耐久性は代えがたいものだと思います。
寒冷地での充放電特性が抜群なので、暖房の課題はあるにせよ、EVの可能性を広げるには欠かせない要素だと思います。
先生のおっしゃるように、先んじてコストダウンに成功し、覇権をとったもののほうが強いのは事実だと思います。
お互いに技術や価格に胡座をかかずに切磋琢磨してほしいものです。
電気メーカーの覇権争いが起きますね。仲良くなんて都合の良いこと言えないですよ、どこかのメーカーが誰にも造れない究極のバッテリーでもあればってそうなったらもはや独り勝ちです。商売は勝負なので環境など二の次ですよ、前にも申しましたがまだ少なくとも十数年はハイブリッドと思います。中国に原子力発電所が出来たら怖いです。
ホンダの業務用2輪向けは、確か東芝さんのだったはず。
これを、軽自動車というか、二人乗りシティコミュータ用途に、
と言う提案なのかも知れませんね。
あまりはっきり覚えてませんが、SCiBは、放電深度が大きくても寿命への影響が少なかったりしたように思います。
(テスラは、家電用のバッテリを使った車なのであまり参考にすべきでないかもしれませんが、)
テスラは非常に大量の(重い)バッテリを搭載してて、私はテスラは走行距離が半分になってもバッテリを半分にしてほしいと思いますが、放電深度が深くなると寿命が下がるので、大きなバッテリを積んでいると聞いたことがあります。(国沢さんの記事?)
またプリウスも、ニッケル水素バッテリですが、満充電するとバッテリ寿命が低下するので、電池容量の半分程度しか充電しないようにしていると聞いたことがあります。
SCiB が、例えバッテリの容量が小さくても、通常のリチウムイオン電池より深い充電や放電に対して強ければ、バッテリの充電容量をフルに発揮できるので結果的に搭載量を少なくでき、その点で実用上はリチウムイオン電池より有利ということもあるかもしれません。
急速な充放電に強ければ、回生ブレーキなどにも有利でしょうし。
もちろんコストも重要でしょうが、リチウムイオン電池と同様に今後安くなっていく見込みがあるのか、あまり安くなる見込みがないのか???
あまり SCiB の話を聞かないことを見ると、やはり総合的にも良くないのかとも思いますが。
ヨーロッパのどこかのメーカ(フォルクスワーゲン?)が、東芝 (SCiB?) と手を組んだとかではなかったですか?
東芝のSCIB電池に注目しています。価格、エネールギー密度に課題が残りますが1.安全性ーー外部から衝撃を受けても発火、発熱がない2.短時間での充電が可能3.充放電のライフが長い4.マイナス30℃でも力がでる。など、自動車用に絶対に必要な条件を満足している。