中国、微妙な状況になってきた。地方で安価な電気自動車が売れなくなってきている

昨年までの中国と言えば『宏光MINI』に代表されるリーズナブルな電気自動車が売れまくっていたけれど、補助金の廃止と共に急降下! 昨年のイキオイは全く無くなっている。一方、都市部では高価格帯の電気自動車が好調。なぜかといえば、都市部でエンジン車を登録しようとすると、日本円にして3桁万円のプレミアを支払わなければならないからだ。

中国に於ける直近の販売状況を見ると、都市部では高額の電気自動車が売れており、地方に行けば安価なエンジン車の需要大きい。日本勢はどこに入るか? 高価な電気自動車をラインアップしていないため、都市部での売れ行きは伸び悩んでしまっている。一方、地方はここにきて景気の低迷が顕著になっているらしく、価格を重視する傾向。

御存知の通り日本勢はハイブリッドに注力し始めており、低価格帯の純エンジン車は持っていない。エントリーカーのカテゴリー、日米欧の自動車メーカーから技術を習得した中国勢が圧倒的に強いのだった。すなわち日本勢は今の中国市場でハマるカテゴリーを持っていない。地方部の景気は今後一段と悪化しそうな指針がたくさん出てきた。

貧富の差がドンドン広がって行きそうな雰囲気だったりする。7月に中国へ行った際、不動産やランドストラクチャー(道路など)の過剰投資を山ほど見て来ました。中途半端なカテゴリーしか持っていない日本勢は今後ますます厳しくなると思う。そういった意味じゃ三菱自動車の撤退タイミング、悪くなかった。むしろ現在進行形で投資しているホンダ厳しい?

ホンダの倉石会長は中国のスペシャリストである。もしかしたら的確な判断なのかもしれないけれど、自動車関連の仕事に詳しい中国在住の人(複数です)に聞くと、全員ホンダの選択は疑問だという。いや、危ういという人が多い。次いで厳しいのは日産。マツダの場合、半分撤退する方向で動いていると皆さん言う。何度か書いた通りトヨタは売れ行きに合わせた縮小か?

さて。ここまでは中国国内の話です。憂慮すべきは中国市場で厳しくなった自動車メーカーが中国と友好関係にある国に出て行くこと。参考までに書いておくと、貿易に関して言えば日本は明らかに中国と友好関係にある国です。電気自動車や電池の輸入に何の制限を掛けていないばかりか、日本車と同じレベルの補助金まで出している。

宏光MINIのような電気自動車を日本で販売することに関しても、我が国の政府は海産物の輸入制限撤廃とバーターなら喜んで受けることだろう。そんなことから2024年は安価な中国製の電気自動車が入ってくる可能性が大きくなってきた。中国企業としちゃ中国国内の市場がガタガタになれば国外へ出て行くしか無い。同じく中国製電池も安くなってくると思う。

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4 Responses to “中国、微妙な状況になってきた。地方で安価な電気自動車が売れなくなってきている”

  1. 魑魅魍魎 より:

    中国にしろ何処の国にしろ、補助金や免税の優遇制度やエンジン車の制約制度を付けないと売れないなら、EVもまだまだ。リン酸鉄バッテリーも、リサイクルが確立していないコトを理由に、欧州から締め出そうとしていると聞いた。まさしく魑魅魍魎蠢く状況であり、とても健全な市場が育つとは思えない。

  2. 2662やす より:

    日本の中で、やはりトヨタの安定度は世界各地で抜群ですね。
    国沢さんは的確に現場背景を指摘しつつ分けて説明していますが、多くのメディア(自動車専門誌も含む)は、十羽ひとからげに近視眼で日本メーカーの動向を語る場合が多く、困ったもんです。
    コロナ禍前の2019年と比較した実績から、中国市場の伸長とリンクしたトヨタの健全さがハッキリと見えてきます。

    中国新車販売台数
    9月単月…2023年9月…2019年9月…2023/2019
    トヨタ……176,600……143,100…123.4%
    ホンダ……109,666……138,056₋…79.4% 3万台減
    中国市場₋…286.8万……227.1万…126.3%

    (参考)ホンダの中国10月実績
    2023年/130,424台…2019年/147,700台

    ‐₋…2023.1~9累計…2019.1~9累計…2023/2019
    トヨタ…1,384,500……1,181,300…117.2%
    ホンダ‐₋…831,305……1,123,570…74.0%30万台減
    中国市場…2106.9万……1837.1万₋…114.7%

    (マークラインズデータ参照、中国市場は四輪合計)

  3. トヨタ車ユーザー より:

    中国の小型・安価なEVから高級路線への変遷は分かるような気がします。宏光EVは言わばパブリカ・スターレット・マーチの類。生活が豊かになればもっと大きい本格的な乗用車が欲しくなります。
    そして、パクリ上等のBYDや吉利はもう立派なメーカーになったから、本国の車を買おうという流れ。
    今の中国ならガソリン車も、強い購買力と数量もあって、ちょちょいのちょい!でしょう。
    まあ、それでも地方で売れている安い国内専用車の排ガス・安全対策がどうなっているかは気になりますね。
    ホンダは会長さんへの忖度政治・企業方針でしょう。。。

  4. JUN より:

    >三菱自動車の撤退タイミング、悪くなかった。

    外国企業が撤退しようとしても、工場(と生産施設)を引き受ける企業を見つけないと撤退出来ないのが中国ルールだったかと。
    現代自動車は昨年から4つある工場の内の2工場を売却しようと買い手を探しているのですが、既に当初の売却価格から約半額にまで値下げしているのに、未だに買い手が見つからないとか。

    https://www.mk.co.kr/news/business/10867341

    安価でデザインに関しても急成長している中国製BEVに、中国国内市場で対抗するのは非常に厳しい。
    長期品質や企業モラルと関係する安全性に関しては、日本車が未だに優位であるようにも思うのですが…見えにくい部分でもあるので、アピールが難しいところです。

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