今まで自動運転の実現を否定していた私ながら、考え方を変えなければならないようだ

今まで自動運転タクシーは無理と思ってきた。最も大きな問題がコスト。タクシーの料金って車両価格+運用コスとなる。自動運転は車両価格が高い。有人のタクシーだと運用コスト(人件費)高い。ここのバランスです。自動運転の場合、いわゆる「ロバスト性」(冗長性とも言う)を考えなければならない。1つのシステムが壊れた時のバックアップである。

トヨタのROBOタクシー

実際、レベル3を実現したレジェンドは、ブレーキなど大半の機能に2つの系統を持たせている。その上で、大量のセンサーや高価なCPUを使わなければならない。今までの常識だと下を見て3千万円といったイメージ。当然ながらメインテナンスに掛かるコストは有人タクシーと変わらず。つまり年額500万円程度の人件費と車両価格のバランスが取れるか、です。

けれどAIの普及でコストが抜本的に変わった。先日体験した日産の次世代プロパイロットの価格は公表されていないものの、量産すればやがて20万円レベルあたりが目標値になるだろう。カメラだけのシステムであれば10万円だって見えてくる。加えて人間と同じような危機管理能力(カメラが機能しなくなったら止まる)を持つため、ロバスト性だってそれほど重視されない。

ミニバンであれば電動スライドドアなども標準装備されるため、目的地を設定する&支払い用の液晶画面を追加するくらいでタクシーになってしまう。どう考えたって自動運転タクシーの方が有利。海外では来年あたりから有人より低いコストが実現するという。おそらく介護が必要なお客さん以外は、自動運転タクシーになっていくような気がします。時代は変わる。

中国はもちろんアメリカ、東南アジアだとシンガポールあたりが”自動運転タクシー先進国”になりそう。我が国はどうか? タクシー利権が強いブレーキを掛ける。世界的に見たら周回遅れ間違いなし。一方、マイカーの運転アシストは2027年から急速に普及していくだろう。2030年になると、日産、ホンダ、スバル、トヨタはハンドルを操作しないで目的地まで行けるようになります。

これ、予想じゃ無くリアルな話です。

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6 Responses to “今まで自動運転の実現を否定していた私ながら、考え方を変えなければならないようだ”

  1. 飯島 より:

    日産はこのAiプロパイロットに全振りしてもいいような気がするんですが、開発者の飯島さんが言うように2年後に搭載される目途が立っているなら、資本を全投入して先行者利益を確保すべきです。日本の他社(トヨタやホンダ)から同様のアナウンスが無いので、少なく見て日産が3年以上は進んでいると思います。3年間他社より車が売れれば追いつかれたって、ある程度利益は確保できていると思うので経営再建ができる。
    あとは、経営判断なんですよね。社長が決断できるのか、有り余るほどいる役員で待ったを掛ける輩が登場しそうで、そこが一番のネック。
    飯島さんが嫌気がさして中華にヘッドハンティングされたら一大事ですよ。

  2. jun より:

    これからの社会は、AIの発展によって多くの雇用が失われると言われていますよね。僕には今一つピンとこないんですが…現在の日本が抱えている労働力不足問題も、AIの発展によって解決する可能性があるのでしょうか?

    自動運転の急速な発展が進めば、アメリカが積極的に進めているような、トラックによる自動運転輸送も近い将来可能になりそうで。日本も、高速道路上でのトラック自動運転や連携(一人のドライバーで数台連なって走らせる)運転が可能になれば、政府が推進している移民労働者も導入もある程度減らすことが出来る。欧州や北米で移民問題が顕著化しているのを見ると、未だなんとか移民の大量導入前で留まっている日本で、AI(自動運転)の積極導入により、他国のような移民問題危機を回避できる可能性があるのかも…。

    個人的には、移民労働者導入を前向きに観ていたのですが…欧米での移民問題噴出、特に移民の”モザイク国家”などと呼ばれ、移民に寛容な国で知られていたカナダ、それも一番の都市トロントで、ここ数年のインド系移民激増による従来からの住民の否定的な反応を何度も聞いて…異なる文化の人たちが大量に流入した場合の難しさに、戸惑っている次第です。
    各国にとって前途多難な移民問題を、日本が本格的に経験することになったとしたら…。出来れば、事前に回避できれば、それに越したことはないかな、と。

  3. 工事やさん より:

    タクシー利権って思っている以上に手強い、バスの運行ルートもお伺いを立てないと決められない地方都市は結構多い

  4. アミーゴ5号リリボーン より:

    自動運転を社会実装するにあたり、最初から何でもかんでもとはいかないと思います。

    まずは、タクシーやバスが少ない地方や高速道路の巡行輸送など、今まさに困っているところからでも、多くの需要があると思います。

    これらは国沢さんが、以前から提言していますよね。本当にそのとおりだと実感しております。

  5. コテツ より:

    タクシー団体強いですもんね。ウーバーの時も駄目だったし。ここ5年が日本の行く末の分水嶺、「規制と既得権を守り続けるか」「新技術を受け入れて社会の形を変えるか」これをどちらに舵を切るかで、日本が再び成長できるか、それとも衰退のスピードが加速するかが決まるんでしょうね。

  6. 艦長 より:

    国沢師匠
    いつも楽しく拝読させていただいております。

    動画も拝見しましたが、自動運転はまだまだ先のことと思っていたら、Aiのおかげで一気に現実的な技術になってきましたね。
    あとはどうやって我が国で普及させていくかが課題なのでしょうが・・・

    個人的には、高齢化や過疎化が進む地方で、地域住民を病院や介護施設に送迎する福祉目的車輛として活用出来ないか、と思いました。
    これなら反対する人も少ないでしょうし、住民や行政にとってもありがたい話だと思います。
    ニッサンに余裕があれば、自ら当事者として実証実験に参加してもらいたいところですが・・・
    余計なお世話ですが、トヨタがこの技術を確立したら、すぐにでもやりそうと勝手に思ってます(笑)

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