今後5年の天気予報。トヨタ

これからの5年は自動車メーカーにとって生き残りを掛けた戦いになります。1)日本車にとって最大の収益源になっているアメリカ市場対応。2)自国のメーカーが有利になりつつある中国市場対応。3)これまたトヨタを除く日本勢にとって厳しい欧州市場対応。4)もはや欧米向きのクルマを売ろうとすると高価すぎてしまい専用車が必要な日本。5)中国勢の猛攻を受ける東南アジア、だ。

アメリカの課題は、エンジン車から電気自動車への移行時期。次期大統領がバイデンかトランプかでずいぶん景色は変わる。トランプなら電気自動車の普及開始は最大4年遅れ、2030年くらいまで燃費の良いガソリン車とPHVが主役になります。すなわちハイブリッドやPHVを豊富にラインアップしながら、おそらく急激にニーズ出てくる電気自動車の生産体制を作らなくちゃならない。

トヨタの動きは盤石と思える。まずハイブリッドを大半のモデルにラインナップしており、PHV化も容易。2026年秋か、遅くとも2027年には次期型電気自動車のプラットフォームと、安価で高性能のリン酸鉄リチウム電池を量販出来る体制が出来る。そして電気自動車の普及が遅れた時に有効な電気自動車ベースのPHVに使う発電用エンジンの開発を行っている。電池は自前。

欧州も電気自動車の投入タイミングを見ている。最近「エンジン車の販売禁止時期がジワジワ延びる雰囲気も出ており、そうなればハイブリッドとPHVは売れまくることになるだろう。電気自動車の時代が予想外に早く到来したとしても、欧州勢は電池を安価に調達する方法を未だに模索している。すでにスタートダッシュを決めたトヨタは、欧州にもリン酸鉄リチウム電池工場を作ればいい。

中国は早くも縮小均衡策をとっている。すでに新規の投資を終了したようだ。現在の工場は中国の合弁企業向けの車両を増産することで採算性を維持。日本市場は日本仕様車が必要。ライバルのオウンゴールでトヨタのシェアが増えていくため、日本仕様向けに専用モデルをラインアップしても量産効果が期待できる。ノアやシエンタのようなモデル、日本以外じゃ売れませんから。

東南アジアに代表される新興国向けのクルマはタイなどに開発の主体を作り、変化に追従しようとしている。ただ元気の良い中国勢はトヨタにとっても手強い存在になりそう。どうやって戦って行くか? やはり日本車の原点である「良品t廉価」と耐久性、信頼性をストロングポイントにしていくしかない。物作りの実力が高い方に軍配は上がる。ここ、トヨタの強さの原点です。

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1 Responses to “今後5年の天気予報。トヨタ”

  1. wanco より:

    いつも楽しく、そして鋭い目線の記事をありがとうございます。本当に楽しみです!
    20年以上ドイツ車に乗ってきてヤナセにお世話になってきたのですが、この度袂を分かちレクサスNX350hを買うことに決めました。
    国沢さんの記事を読ませてもらってきて思うことが、以前の状況と違い、グローバリズムからドメスティックの時代に変わりつつあるということです。
    ベンツに乗っているときもコロナの影響もあり部品在庫が日本に無くなったり、大幅な値上げになったりでベンツといえどもメンテナンスに窮するようになると乗り続けることが難しく思えてきました。
    そのうえEクラスの新型もAMG仕様あにするとなんと1000万!超え!
    国沢さんの記事にあったように最早ベンツとはいえコストパフォーマンスが悪すぎます。
    そこで国産車を探すと輸入車好きだった私からすればトヨタのレクサスのハイブリッドしか目に入りませんでした。
    おっしゃる様にこれからの時代はハイブリッド、PHVの時代が来るような気がします。
    あとはデザインがどこまで進化できるか?も大きなファクターになると思います。
    今のところかっこよいと思う国産車はトヨタ系しかできなくなってしまっています。
    欧米系のデザイナーをどんどん採用してでも世界に通用するデザインとハイブリッド技術でもっともっと進化してほしいと思います。
    確かに日本メーカーで生き残れるのはトヨタのみ?!
    と私も思います。
    これからも楽しくそして含蓄のある記事を楽しみにしています!

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