全固体電池が出れば日本は巻き返せると思わせる報道も多いようだけれどホントか?
電気自動車用のリチウムイオン電池を世界で最初に実用化した我が国ながら、今や完全に抜き去られてしまった。パナソニックがトヨタと組んで巻き返しを図ろうとしているようだけれど、国内市場に限られるかもしれない。なぜ世界TOPだったリチウムイオン電池、あっという間に抜かれてしまったのか? こらもう簡単。安価で高性能な軽自動車を輸出出来ない理由と同じ。
すでに全固体電池を搭載したLQが存在します
リチウムイオン電池はそれぞれの国が現地調達を基本とするよう決めたからだ。アメリカのスマーナ工場で作るリーフも、イギリスのサンダーランド工場で作るリーフも、リチウムイオン電池は現地調達となっている。中国も中国で生産したリチウムイオン電池以外、搭載出来ないような仕組みを作った。だから日産もNECと立ち上げた電池メーカー『AESC』を中国に売却してます。
日本で生産されるリチウムイオン電池は基本的に日本で生産される車両に使うのみ。電気自動車の販売が伸び悩んだため、直近の10年でのコストダウンだって中国に比べ進まなかった。全固体電池も同じ政治環境の中で登場してくる。日本で生産して中国に持って行くことが出来るかとなれば、非常に厳しいと思う。かといって中国に工場を作ったら、あっという間にノウハウを盗まれる。
アメリカや欧州も同じ。日本からの輸出に様々な障壁を設けるだろうから、事実上、現地で生産しなければならなくなる。そして賃金安く、定年になると追い出されてしまう日本企業からの人材流出だって続出する。中国や韓国の、台湾の工業生産レベルが直近の20年で急激に高くなったのは、ノウハウを持っている日本の技術者がたくさん海を渡っていったからに他ならない。
政治家もメディアも全固体電池は日本に留まると思っているようだ。半導体生産が日本から出て行ったことすら反省や検証をしていない。ということで全固体電池もリチウムイオン電池と同じ道を辿る可能性が非常に高いと考える。日本の技術で全固体電池を作っても、結局は美味しいトコロを持って行かれてしまう。政治や行政を見てると自動車産業の足を引っ張るだけに見えます。
参考までに書いておくと我が国はリチウムイオン電池搭載車に対し輸入制限を全く掛けていない。だからこそ中華リン酸鉄電池を搭載した中華工場製のテスラだって関税や制限無しで入ってくる。つまり日本は攻められず、守るのみ。自衛隊のようなもの。いや、武力攻撃はめったに仕掛けられないが、経済攻撃についちゃ遠慮無し。日本も防衛力増強をすべきながら、政治は冷たいです。
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