友山さんが作ったJ-SLIM、本当の意味でのお客さん第一主義だと思う。不公平上等です

トヨタが新しく立ち上げた『J-SLIM』で最大の面白さは「平等を疑問視したこと」にある。ディーラーに「初見の客と長い付き合いのあるお客さんとどちらが大事ですか?」と聞いたら、建前は「同じでございます」になるだろう。でもホンネだとどうなるかといえば「当然ながらお得意さんです」になる。これ、自動車ディーラーだけに限らない。世の中そんなモンです。

飛行機だってステータスのあるお得意さんは同じ価格のチケットでも優先搭乗になり、荷物を置く場所で困るようなことはない。空席待ちも同じで、ステータスさえあれば優先される。もっといえばステータスにも上下あり、上級が空席待ちしていたらヒラのステータスはお手上げ。それだけじゃありません。エアラインが「乗せてあげたい」と判断すれば全て押しのけてくれる。

ディズニーランドは5時間待ちのアトラクションであっても、極めて少数ながらスポンサーワクがある。解りにくい入り口になっていて、入るとアトラクションの一部のような楽しいラウンジになっていて、5時間待ちの行列の先頭にするっと入れる。こういった「不正」(笑)は、出来るだけスマートになるのがコツ。逆にそういった優遇ないとスポンサーになる意味ないですね。

ちなみに”行列出来ない状況”なら問題無く回る。飛行機だって席に余裕あれば特別な待遇不要。ディズニーランドのアトラクションもすぐ入れるなら普通でいい。自動車業界で言うと生産に余力あるときは混乱無し。しかし半導体不足と新型コロナによる大幅な減産や、カーボンニュートラルのため絶版になる車種が出てくるや、今までの売り方じゃ回らなくなってしまった。

加えて「転売ヤー」という輩が出てきて一段と混乱する。転売ヤー、売れる商品出たと同時に架空客を並ばせる。お正月の初売りと同じですね。クルマも転売ヤーが少なからずいる。だからこそ納期長いクルマなのに、未登録車が中古車屋の店頭に並ぶ。納期の早さ=クルマの価値になるワケ。こういった現象、バブル景気の時はあった。1991年のNSXが代表ですね。以後、落ち着いていた。

そしてバブルの再来です。トヨタは章男さんの感性で「これは良くない!」と判断し、友山さんに3ヶ月でシステムを作って欲しいと無理難題を出し(実際は6ヶ月で立ち上げたそうな)、J-SLIMという解決策を出してきた。このシステムの面白さは、エアラインやディズニーランドのような「全体の待ち時間に影響しない範囲内でのプライオリティ」を設定していることにある。

どういった基準でプライオリティを選んでいるかは不明ながら、逆にそれは売る側の自由だと思う。当然ながら転売ヤーは門前払い。得意客や、長い付き合いのあるフリートユーザー、はたまたトヨタ的に「この人に乗って貰うと良い宣伝になる」というプライオリティもあることだろう。列に並んでいる人からしても「プライオリティ分は残業して作ってくれればいいよ」くらいの台数です。

頭悪いのが日産東京。「並べば買えます」と列に並ばせておいて、突如「混乱したため抽選です」。しかも公正な抽選にほど遠い。並んだことは無視。それでいて中古車屋に未登録のクルマが出ている。顧客のことなんかこれっぽっちも考えていない。並んだ人には得意客や日産のファンもたくさん含まれていたのに砂を掛けたワケです。客商売を全く理解出来ておらず。もはや役所です。

ちなみにフェアレディ乙は95%くらい買う気が無くなってます。

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6 Responses to “友山さんが作ったJ-SLIM、本当の意味でのお客さん第一主義だと思う。不公平上等です”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    何十年に渡って車検毎にクルマを買い替えてくれるお得意さんと、初めて買いに来たお客さん。

    過去の購入実績に関わらずに同列に扱うのも平等なら、儲けさせてくれた分だけお得意さんを優遇するのもまた平等。

    いずれにしても数少ないクルマなら、投機目的で横流しする輩ではなく、本当に愛車として乗り続ける人に購入して欲しいと願います。

  2. ハナゲ より:

    自分も最近60プリウス購入時に副店長さんとお話しした時、お客様の優劣はお店に利益を与えてくれるお客順とストレートでしたね。
    残価設定、自社保険切り替え、下取り車有り、メンテパック申し込み、あとは40代ぐらいの中年はまだ先があるし金持ってるから年代的に優遇されるそうな。独身なら尚良し?

    電子パーツ使ってるオプションやグレードは割と二の次というのがおどろきでした。
    逆に現金一括で下取り車無し(もしくは平成初期の不人気ポンコツ車とか)の若い一見さんは成績の悪い新人営業マンをあてるそう。
    同じ新規でも知人の紹介とかラジオで流れていたとか言えば多少違う…らしい。

  3. カネゴン より:

    ほんと日産はユーザーを大事にしない会社。
    先日初期型リーフの再生バッテリー交換見積もりしたら100万。4年前は37万だったのにまさかの3倍。
    日産本社に理由問い合わせると原材料高騰のためという回答。
    ユーザーからタダでかきあつめた電池がなぜ高騰するのか意味不明。
    その値段なら中古のZE1買えるやん。
    たぶん副社長H野さんが勝手に決めたんでしょうけど、EVの人柱として初期型で頑張ってきたユーザーを切り捨てるのが日産。

  4. GOEMON より:

    転売ヤー対策なら、現金一括は売らない、自社ローン組まないと売らない(最低一年間は払う)とかにすれば良いのではないかと。残クレでも、キントでもね。(最低一年間は、ディーラー名義にする)
    どこか法に触れるかしら?

  5. kingsarmonj より:

    こういうのは、スマホみたいに割り切って、新規優先、乗り換え優先にすべきだと思う。
    そのほうが、規模を拡大できる。
    ユーザも、乗り換え特典で、多くのメーカーをハシゴできる。

  6. z151 サンバー愛好者 より:

    ポルシェやフェラーリが限定車を売る時はやはり自社の今までのクルマ達をコレクションしている「太い客」にまずお話を持っていくそうです。
    ポルシェのGT3 RSだって「金はあるから売ってくれ」と言ったところで「残念ながら販売は終了しております」となる訳です。
    それどころか普通の911でさえ新車はもう買えないかもという事態になっているみたいですが。

    トヨタもGRを立ち上げて、限定車を作るラインができたと聞きます。
    GRカローラだって限定500台。
    ル・マンハイパーカーのホモロゲーションであるGR010ハイブリッドなんかだと30台の限定生産とも云われていますし、お値段3億円以上とか。
    できれは本当に欲しい、大切にしてくれるユーザーに届けたい。
    横流しで一儲けしようなんていう転売ヤーに渡したくないというのがトヨタの本音でしょう。
    なので大っぴらに言わないけれど「お客様を選びますよ」というのはある意味正しい。

    日産東京がダメなのは、「お客様を選びますよ」というのなら、不備のない契約をして払い込みまでさせて納車待ちなのに、そこから「抽選です」「ハズレマシタ」はないでしょ!ということ。
    「応募者多数の場合抽選になりますが、応募されますか?」だったら問題なかった。
    本当に抽選とは思っていませんが、欲しい人にクルマが届かず、悪意ある転売ヤーにクルマが渡ってしまって対策なしというのはダメダメじゃないですかね?

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