”広報力”低下が顕著になってきました

当たり前ながら私らメディアにとって一番大事なのは「情報」である。その情報をたくさん提供してくれるのが自動車のメーカーの『広報』という部門だ。自分で情報出すというより、社内の様々なセクションに橋渡しをしてくれ、公表出来る出来ないは別にして「なるほど」と思える結論に至ってきた。

しかし最近になってゼロ回答が少なくない。近々ではスマートキーのリレーアタック。納得出来る情報を出してくれたメーカーもあれば、何も答えられないというメーカーも。一番困るの、ユーザーです。ワケワカランうちにクルマ盗まれちゃう。この件を含め、ゼロ回答を何度か受けた。

こうなると広報の役割はなくなる。だって直接開発担当者に聞かなければならないですから。私の場合、40年近くこの仕事をしてきたこともあり、顔見知り多く直接聞くことも少なくない。それでも3回も激しい人の入れ替わりがあった三菱自動車とか知り合い皆無になりましたけど。

さて広報の役割です。当然ながら良い情報も悪い情報もある。普段から情報を提供してくれているなら、悪い情報の時はそれなりに配慮する。といっても私の場合「書かない」ということにならない。それをやらなければメディアでなくコマーシャル。私には無理です。悪い情報も出す。

それなりの配慮とは、例えば以下の通り。「良いけれど高い」と書くところを「高いけれど良い」。はたまた「問題無いと言っているが心配」と「心配ながら問題無いという」。同じ情報です。険悪な関係にある広報だと、基本的に悪いニュースしか入ってこないため一段と酷い状況に。

一昔前まで広報部門といえば会社の花形だった。実際、ジャーナリストの心構えを教えて頂いた大森実さんは「広報が言ってることは社長の言ってることと認識しなさい」。けれど最近の広報を見てる「都合の悪いことだけ隠す超感じ悪い社長だ」と思うことが多くなってきた。悪い社長もいる?

ここまで読んで「最近厳しいのはホンダと日産とマツダ」と思うかもしれない。ホンダの八郷さんとマツダの小飼さんはとっても良い人です(日産の代表に会ったことないので知らない)。逆に言えば、社長を良い人に見せるのは広報の仕事だと思う。企業も広報の意味をもう一度考えたらいい。

今のままだとユーザーにとって必要な情報が最後まで出てこなくなり、その間、消費者が被害を受ける状況も出てきてしまう。イキナリ台風来てしまった100年前に逆戻りだ。私らメディアは天気予報のようなもの。危険を察知し、情報として知って貰うのが役割。次の世代に引き継げるか苦慮している。

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