広島サミットで使われたBMWの防弾車、なぜ13年以上前の旧型760iLなのか?

広島サミットでG7メンバーの移動用車両に使われたのはBMW7シリーズの『High Security』呼ばれるカタログモデルである。防弾レベルは『VR6』と『VR7』から選べるのだけれど、日本にあるのは前者だと思われる。思われる、と書いたのは警備上、スペックを公表しないからだ。つまりどんな武器に耐えるレベルの防弾車を使っているのか知られたくないからです。

普通、防弾車のレベルはその地域で使われる最大級の武器で襲撃された時に耐えなければ意味なし。といった点からすれば日本はせいぜい拳銃か動物を撃つための猟銃レベル。200kg程度の重量増で済む一番レベルの低い防弾車だって全く問題無い。ただ世界中のVIPに乗って頂くことを考えると、出回っている小銃のなかで最も強力なAK47に耐えるレベルが要求されると思う。

外板はアンダーガードを含め全て防弾鋼板になっている

RPGまでは不要。となれば『VR6』というレベルですね。上の写真はVR6のBMW7シリーズ。写真をクリックしてもらえればさらに大きくなります。窓ガラスは途中に弾丸を止める効果を持つ層を含む多層になっている(7シリーズのVR6は窓ガラスを開閉できない)。小型地雷や至近弾であれば小型爆弾にも耐えられる。車重は1200kg増しでくらいとなります。

なぜBMWなのか? おそらく、というレベルは超えないが、いくつかヒントあります。まず日本政府は2016年の伊勢志摩サミットの時、ドイツから運んだ『S600 Guard』というVR9相当の防弾仕様を持つ車両を何台か所有していると思う。そして今回使ったBMWって、2010年にAPEC(アジア太平洋経済協力)で使われた760iLに見える。けっこうな年期ものです。

2010年だからして13年も経過しており、査定ゼロ。所有はどこなのか不明ながら成田のBMWのデポに保管してあったようだ。そりゃそうです。売れませんから。そいつをBMWがしっかり整備して今回使用したカタチだと思う。気になるのは防弾ガラス。通常5年前後で防弾性能が悪化すると言われている。今回交換したんだろうか? その費用、けっこうなものになる。

そいつをBMWが負担したんなら「BMW偉い」になる。そうでなく外務省負担だとBMWは良い商売になったことだろう。といったあたりを含め、まぁ表にゃ出てこないでしょうね。メルセデスを使わなかったのは9台揃えられなかったからだと思う。サミットのように時間差で移動出来るなら台数少なくても回せるが、G7はそうもいかず。次回、ぜひセンチュリーSUVの防弾車を!

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3 Responses to “広島サミットで使われたBMWの防弾車、なぜ13年以上前の旧型760iLなのか?”

  1. トヨタ車ユーザー より:

    ゼレンスキー大統領がスタスタとテレビ中継の中歩いていてびっくり。。。
    反撃能力の保有も必要なのかもしれませんが、G7のホスト国として、こういうところの安全・防衛にもお金をかけてほしいデス。

  2. 自転車 最高 より:

    その前に日本の沿岸防衛と空港や港の出入国管理をしっかりしてほしい。
    話はそれからです。

  3. より:

    以外と入札用の要求仕様書で車種とかスペックがわかりそうな気がするけど…
    パトカーの入札要求仕様書で事実上クラウンしか入札出来ないやんけっていうのもあったらしいし。

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