役に立つ空気抵抗
30年前は燃費というと平坦な道を一定の速度で走った時のデータしか公表されていなかった。というか「モード燃費」というコンセプトが存在しなかったためである。しかし実際のクルマの運用を見ると、一定の速度で走ることなど皆無に近い。そもそも一定の速度だと変速機の種別だって関係なし。大雑把な目安にしかならず。
それと同じことが今だに空気抵抗の計測で行われてます。ECOカーにとって空気抵抗は非常に大きいファクターを占めている。100km/h走行時に受ける抵抗のウチ、超大雑把に言って70%前後が空気抵抗だと考えていいだろう。その空気抵抗を計るのに、真正面から受ける整流された風しか考えていないのだった。
実際の走行条件で無風ということなどありえない。高速道路上の空気は他車が巻き起こした乱流だらけ。車体姿勢だって絶えず変化している。このあたりは加減速を全く無視した定地燃費と同じこと。70%もの抵抗を受けるファクターの指数としちゃ大いに問題があると思う。空力を追求すればするほど、怪しくなっていく。
しかも今や80km/h以下での空気抵抗を減らそうとしているほど。走行中に受ける風の「素直さ」はどんどん薄れていく(300km/hならほぼ正面になる)。ちなみに現時点でも多くの風洞は斜め方向から風を当てることが出来るけれど、残念ながら騒音のチェックなどに使うのみ。空気抵抗係数変化などは計っていない。
そろそろ「モード燃費」ならぬ「モードCD値」が重要になってくると考える。とりあえず簡単でいいからナナメの風と車体姿勢を少しずつ変化させながらの空気抵抗計測くらいしたらいいと思う。難しいというなら、空気抵抗が計れる機器を開発し、実車でチェックするのもいい。タイヤの転がり抵抗より効くんじゃなかろうか。
・ECOカーアジアは「自動車用燃料電池はモノにならない」
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4輪よりも姿勢変化が大きい2輪でも、日本メーカーでかなり空力研究が進んでいるところがあります。
こちらは燃費のためというよりは、ハンドリングや操縦安定性の向上が主な目的ですが、街中程度の速度でもかなり変化が体感できるそうです。