新型SX4

ジュネーヴショー1日目で最も印象に残ったのはスズキの新型SX4だった。スズキにとって欧州市場に残れるかどうか重要な車種ということもあり、大いに期待していた次第。するとどうよ! アンベールされたSX4は下の写真の通り。デザインもさることながら、新しい技術無し。新しいエンジン無し。特徴無し。

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今やこのカテゴリーの新型車は、1)小排気量過給エンジンやツインクラッチAT、徹底的な空力追求、軽量化などで燃費を稼ぎ、2)さらに自動ブレーキに代表される安全装備を盛り込み、3)特徴的なデザインを採用。4)ブランドイメージ強化し、5)それでいて価格は整備を盛り込み先代と同等をキープするという流れ。

でなければダチアの如く機能は追求しない代わり徹底的に安く、といった具合。新しいSX4は1)関しちゃ無し。むしろ大きくなったため実用燃費で厳しいかもしれない。2)無し。3)写真の通り。4)ラリーから撤退し、モトGPも休止。急速に存在感が薄くなっている。5)なのに価格は10%程度値上げになるそうな。

これで勝負できるのか、と問うたところ「今までも売れていたので売れると思います」。価格についても「ウチは代理店手数料高いので安く出来ないんです」。今までOEMで買ってくれていたフィアットが新型を扱ってくれるか未定。なんだか日本車の課題の縮図のようになっているような気がしてならない。

夢を感じないのだ。せっかくの新型車なのに世界一のクルマを作ってやろうという覇気も感じない。現行車が古くなりすぎたので、とりあえず新車型を作ります。この程度で十分売れるでしょう、と言っている。夕方「世界一燃費の良いクルマを作りたい!」という夢が詰まったVWのXL1に試乗し、アタマをブン殴られた。

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カーボンで出来たCD=0,189のボディに2気筒800ccのディーゼルエンジンを搭載した2人乗りで、燃費はハイブリッドモードだと50km/L!  日本の水増し燃費じゃ無く、実用燃費である。7掛けのJC08なら70km/Lくらいのカタログ燃費になると思う。凄く荒っぽいクルマなのだけれど、猛烈に楽しい。

トヨタは新型オーリスをステーションワゴンに追加やハイブリッドなどで売ろうとしているものの、反応イマイチ。会場でも人が少なかった。何度も書いてきた通り、2位の倍の得票数で欧州COTYを取ったゴルフ7と比べたら勝ち目無し。そうそう。VWも欧州市場にジェッタのハイブリッドを導入しましたから。

ここで再度「世界一になる!」くらいの意気込みを持たないと、少なくとも欧州市場ではジリ貧になってしまうと考えます。

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8 Responses to “新型SX4”

  1. さね より:

    先生ねおっしゃるとうり期待してただけに…ガクっ!残念。スズキは欧州も止めるつもりなのかもなぁ。バイクもホンダや赤字でも頑張ってるカワサキほど気合い入ってないし…。まだルノーのジューク版の方が日本でも売れそう。にしてもルノー日産は頑張ってるなぁ。新しいメルセデスと共同開発の2・2ディーゼル気になる。エクストレイルに積んで、オールモード4×4iトルクベタリング付にでもしたらFMCは後3年ぐらい大丈夫でしょ。本当はセンターデフ無しクラッチ式カップリング4WDの場合は、三菱みたいにフロントにトルクベタリングつけたほうが個人的には基本FFなのでよりフロントでトルク受け流した方がいい気もしますが、日産には素人じゃ分からない考えがあるんでしょう。てゆうか素直にセンターデフ付けたらいいのに…まあトルクベタリングはセンターデフ無しでも無いより有った方がいいし。メルセデスのDCTと組み合わせたら…ほしいなぁ 妄想でした。時期スカイラインになるやつも見慣れるとカッコいい。レクサスの新型ISはがっくり…。スズキSX4はグランドクリアランス低そうで出た瞬間古いし、道の悪い新興国でも受けるのだろうか? トヨタはどこにいくんだろう? スバルは絶好調ですね。PHVから新しいモーター方式トルクベタリング付シンメトリカルAWD考えてたんですねぇ、これもリアなんだよなトルクベタリングはリアの方がいいのか?あれ結局ウインドグラフィックからみて、インプレッサスポーツワゴンになるのかな? しかしスズキ残念。逆に日産見直した!メルセデスの技術やメカをフル活用、骨の髄までいだだけばいい(笑) そしたら他にアイサイトみたいな技術(早く出してよ、でも安全性に意識低い真っ先にコストダウン対象する会社だからな…)や電池などに開発費かけられるし。三菱はみかけないけど出品してるのかな?ついに欧州は捨てたか?別のモーターショウに出品する写真が公開されましたが、見たらカッコいいなぁ技術も含めて頑張ってるなぁ何故だか。 とにかくスズキ残念…。大丈夫か…ついでにトヨタも。バイクみたいな三輪電気自動車は格好はともかく乗ってみたいなぁ、けど現実的に自動車としては×だけど。出す訳ないし、なんだかなぁ。外資とつるんでる日産は元気か… 異文化が上手く交わる方がいいのかもなぁ。

  2. さね より:

    追記:だびたびスミマセン 三菱のカッコいいピックアップトラックディーゼルHVと電気自動車、ジュネーブモーターショウで出てたんですね。頑張ってるなぁランダーPHEVから急に何故か。電気自動車量産一番乗りは伊達じゃなかったのか。

  3. ごーどん より:

    ここに来て欧米各社が省エネ技術で急激に追いついてきましたね。そうなると、ここから先はクルマ作り哲学・感性の勝負の世界に突入していくと思います。これまでの車のカタチにとらわれないデザインの自由度が与えられたわけですから。日本車、外装はおいといて、内装がやっぱりセンスいまいち。。。 っていうか、車作りの優先順位で「デザイン」が下のほうに来ちゃってる感じがするんですよね。。。そりゃ、「子供を迎えにいって自転車ほいっと乗せられる」とかも大事かもしれませんが。。。

  4. 土浦の裕紀(ひろのり) より:

    VWのXL1 良さそうですよね。
    国沢さんに乗ってもらいたい車です。
    ここまでではなくても、高くて燃費がスペシャルな車がもっと発売されて欲しいです。
    低燃費マニアみたいな人はすごく多いですし。
    初代インサイトやコンセプトカーだとTOYOTAのFT-Bhみたいな車も市販のラインナップにあって欲しいなと思います。
    FT-Bhは低燃費なスペシャルモデルとして250万円くらいの価格で2015年頃に発売されるような予想もありますし楽しみです。
    低価格だとどうしても燃費は思ったより伸びないですので。

  5. かず より:

    ダントツの何か売りって、大事ですね…(o^・^o)
    それこそ、その会社の企業イメージに直結!!VW社の企業イメージに魅力を更に上げたというか…。オーリス、っていうかいわゆるカローラの欧州バージョンとして、何だろう、今を表現するというか、流行なんて陳腐なものでないもっと深みのある現在をイメージさせる何かが、欠如してるのかな…。SX4も4~5年前ぐらいなら、なかなかデザインもよく、素直に誉められてたかもしれませんね。SX4について、まだなんとも判断しかねますが、オーリスに関して言えば、テストデータでは、ライバル凌駕のボディ剛性うんぬんで自己満足した、浅い車…。クラウンはまだそれに気付き、一歩前進。デザインはトヨタに限れば、まだ販売力でなんとかなりますが、走りと環境性能そして安全性、この3つは他社と差がなかったらちとまずい…(ToT)。愉しいな、って思える車造り出来ないなら、環境性能と安全性そして信頼性ぐらいは、世界一じゃないといけませんね。トヨタファン35年の私が、最近思います。(´Д`)

  6. 真鍋清 より:

    なんじゃこりゃ?
    スズキの新しいSX4、これって新しい韓国車?いやいや韓国車に対して失礼だ。中国メーカーの新型車か?
    ホントにマジでそう予感した小生なのだ。
    国沢さんの記事「輸入車とファーストフード」に述べられていたように、このSX4ぐらいのサイズ/セグメントはうまく育てれば「目下絶対的勢力の軽自動車/コンパクトカー」の一段上にあって「これで十二分だ!これ以上要らない」と我が国ユーザーに思わせる絶妙な領域であると信じて疑わない。
    しかし実際にはスズキはその可能性を自ら捨ててしまった―個人的にそうとしか思えない。
    同社は軽四輪各種およびスイフトまでは一定以上の執念を持って技術・コンセプトの熟成に勤しんでいる跡は見える、ところがその上のCセグメントともなると(中型セダンキザシの失敗もあってか)途端に無気力に「ダシア(ルーマニア)や起亜(韓国)に対抗出来ればそれでいいや」というノリになってはいないだろうか。
    スズキ自身、このSX4なる商品をどれだけ採算につながると考えているかは知る由もないが心の底では「継子扱い」しているフシもまんざら無きにしもあらずなのだ。
    それより何より、同クラス周辺ではトヨタが米国市場を当て込んで開発した「カローラフーリア」、こいつに新鋭1.4リッター級ダウンサイジングガソリンターボならびにプラグインハイブリッドを新搭載して2014年辺りに日本市場にも是非リリースしてもらいたい、現行のルミオンなんて言う四角四面なオカシなハッチバックやら「中途半端で半煮え」のSAIの置き換えを兼ねて!!

  7. nogawan より:

    SX4を見て・・・目標管理制度の弊害を思いました。年度の初めに各従業員に1年間の仕事の目標を提出させ、年度末に成果の達成度を評価して給料を決める制度です。この制度で上手くやるコツは、目標を低めに設定すること。SX4は各従業員が低めに設定した目標をそつ無く達成した結果…という雰囲気じゃありませんか?リスクのある高い目標や長期にわたる研究には不向きな制度です。パナもソニーも目標管理制度の弊害で、革新的な研究がなくなって没落したように思います。
    小生がS社に在職中は、毎年、夢のような目標を立て、一方、仕事は状況に応じて重要な所から進めました。その結果は、上手く行って"目標をほぼ達成"でB評価。社外から見れば"新しいカメラシステムを開発する技術者"ですが、社内の評価は万年Bで、とうとうリストラ名簿に…高い目標なくして良い成果が出るはずはなく、日本の企業の復活には、まず目標管理制度を止めるべきと考えます。
    小生は、現在、独立行政法人の研究機関に在職してます。昨年度から、一般企業に習って目標管理と似た制度が始まりました。今年は世界初の技術を実証できたので、自己評価を"A"にしたのですが、上司の評価は"計画通りだからB"となりました。…こんなんで腐ってる暇はありませんよね。日本のために頑張らなくちゃね。

  8. はる より:

    売れる・売れないは欧州市場に集まる消費者の心理次第かと。SX4やVWの評論は日本人の僕はずばりだと思いますが、この世界のVWが開発した車を、例えば地元ドイツ人はどう感じるんでしょう?それはオーリスも同じです。欧州の消費者心理って最新版はどうなんでしょうか?
    企業は単にシェアを奪われたくないから仕方なく新型車の投入をしてるような感じがします。夢のある車作りってころころ変わる経済情勢では資金調達さえ難しいと思います、なにせ一般消費者には無縁な「シェア拡大」の信念を、一度企業側が無視するぐらいの傾向がないと到底無理だと思います。あの中国の事件とは別にして。

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