日本経済の足を引っ張っているのは農業か?

何度か書いてきている通り日本政府が競争力のある工業産品を輸出出来ないようにし、結果的に工場の海外移転を迫られ、技術を抜かれてしまう原因といえば農業にある。言うまでもなく政治家にとって最も大切なのは国家や政策じゃなく選挙。なかでも投票率が高く、大票田になっているのは一次産業の多い地域です。よって安い米や食材が入ってこない外交に終始してきた。

写真/ニューホランド

政治家の活躍もあり日本から完成車を輸出出来る国はアメリカと欧州しかなくなってしまった。コスパの高い軽自動車なんか輸出出来る国も地域もありません。半導体や液晶、太陽光パネルが国内から逃げ出したのも全て選挙のためです。できあがったのは先日来紹介しているインバウンド天国だったりする。そして日本の中でも2極化が進む。今後さらに顕著になると思う。

ここまで読んで「国沢は農家が諸悪の根源だと言うのか?」と思うだろう。ビミョウに違います。悪いの、農政だ。農業には生産規模でコストを追求する産品と、手を掛けて高付加価値を生み出す産品がある。このウチ、決定的な弱点になってるの、前者です。稲にしても小麦にしても芋にしてもトウモロコシにしても、規模が小さいと競争力を持てない。

216万7千円の除草機 写真/MINORU

我が国の農家の大半は鉄板を手叩きしてクルマを造っているようなモノ。田植機一つとってもミニチュアの如し。そもそも田んぼが小さい。明治維新で多くの人が小さい農地を持つようになった名残です。そしてたくさんの農家が票田になっているため、米は輸入制限を掛けてる。莫大な補助金も入れてる。ウルグアイラウンドを受けた予算措置なんか6兆円を農村にバラ撒いたほど。

補助金で細々喰わしてもらっている農業なんて若手からすれば全く魅力無し! 当然の如く次世代は離農。休耕田なども増え、食糧自給率を落とし国家的なリスクを増大させるというデタラメなことを農政はやってきた。このまま食料自給率が下がり、通貨安となった時にアメリカや中国で凶作など発生しようものなら、たちまち我が国の食料事情は困窮するだろう。

スマート農機/クボタ

打つ手はいくらでもある。明治維新、敗戦に続く3回目の近代改革が起きれば(なるはやで希望)、小規模農地は統合。海外並の規模にする。無人で24時間稼働する深耕可能な大型農機を導入し、水分や肥料などセンサーで常時チェックして最適値をキープ。広域で防虫、防獣、防鳥、防病対策を行う。これで農産品の関税や非関税障壁を設けずに済み、貿易の自由化を訴えられる。

千枚田に代表される傾斜のある耕作地は、治水や観光資産としてしっかり予算(補助)を付け、人の手を掛けたブランド産品を作ればいいだろう。前述の「手を掛けて高付加価値を生み出す農産品」は今でも日本農業のストロングポイントになっている。利益の上がる農業を行うことで次世代を担う人が出てくることだろう。そして農業製品の低コスト化=食料自給率の増加になります。

離農者が多いのは国として本当に危険な状況です。

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20 Responses to “日本経済の足を引っ張っているのは農業か?”

  1. 3回目の近代改革、大賛成 より:

    田舎に住んでますか゛本当に休耕田が増えていますよ。
    小さな耕作地しかない農家でも持ち家はとても立派。
    サラリーマンとの家と全く違う事が分かる位の立派な門構えの広い庭の納屋有りの新しい日本家屋が多いです。

  2. ひまわり より:

    よく日本と同様に平地が狭いオランダの農業は
    成功してると言う人がいますが、たしかに高付加価値の
    農産物で成功してますが、主食の麦は輸入に頼って
    いるんですよね。そして日本人も米よりパンの人が
    多くなってしまったからいかんともしがたい。

  3. piro より:

    選挙制度が変わって以来、政治家は地元のことより党本部の意向に沿うようになった。
    中選挙区の場合は、同じ党でも複数立候補する場合が多かった。
    地元の支持がなければ、当選は難しかった
    ところが小選挙区では、1人しか当選せず、党本部の推薦が重要になった。
    今までは自民党ならば、知名度、資金面、宗教団体などで有利に選挙を進められ、地元より党本部の意向で当選が決まった。
    農業は衰退の一途をたどっており、農協も農家のことより金儲け優先になった。
    自民党の最大の後援者は今や農家ではなく経団連
    自民党の政策は経団連中心で進んでいる。
    官僚も局長クラスになれば、天下り先だけでなく死ぬまで完全に面増を見てくれる。
    米国からの外圧もあり、買わなくてもよい農産物を買わされ、今や日本の農業、食料自給率は風前の灯となってしまったのである。

    • とも より:

      もっと歴史を学んでください。はっきり言いますけど、日本の今の苦難は、地方の有権者の判断ミスが原因です。

      あなたのように中選挙区制への回帰を求める人は多いですが、公共事業がらみの汚職が蔓延した時代に回帰してくれって、本末転倒もいいところ。
      日本の企業が挑戦的ではなくなった原因の一つは、公共事業汚職の主導者である建設業者へのけん制として導入された株主代表訴訟制度が、他の業種、特に製造業で猛威を振るっているからですよ。チャレンジしても失敗して株主代表訴訟を提起される可能性があるなら、大過なく過ごしたほうが合理的です。

      また、何とかの一つ覚えで経団連を持ち出しますけど、一票の格差で地方は都市部の約3倍の議席を持っているのですよ。つまり、地方の声が国政に反映されやすいのです。これは、中選挙区制時代から変わっていません。
      では、そういう政治家がどんな判断をしたか?プラザ合意に始まった日米貿易摩擦で、日本がどんな選択をしたを思い出してください。アメリカと正面切って交渉することなく、「対米輸出の自主規制」に逃げたのですよ。アメリカの日系自動車メーカーの労働者と日本の自動車メーカーの労働者の大幅な給与格差は、あの時地方が選んだ政治家がもたらした判断の結果ですよ。
      そういう状況では、経団連だって政府の尻をたたかなければならないでしょうに。

      今の農村の苦境だって同じこと。「ガイアツ」によって農家への補助金が問題視されてしまったのに、当時の政治家がそれを跳ね返せなかったのが直接的な原因ですが、その政治家を選んだのは、地方です。

      皆さんに申し上げたいのは、今の日本のありようは、繰り返しになりますが、プラザ合意から始まっているのです。そして、バブル崩壊の時に、農協救済という、地方重視の、そしてあの時に取るべきではなかった政策をやったことによって、バブル対策そのものができなかったことが原因です。非正規問題だって、自由化にかじを切ったのは小渕政権ですし。

  4. 小林茂樹 より:

    私は土いじりが嫌いで 申し訳程度に ナスとかピーマンを植えてるんだけど この間 JA の ゴルフに行ったら 高原野菜を作っている 農家は 何億単位の 売上だと聞きました その代わり 海外の出稼ぎの人を 使って 朝1時から 電気をつけて仕事をする ただしその農家さんは 監督 だから 出荷の運転とかをするだけで 仕事終わりに 朝10時過ぎの ゴルフに出かけて 1ラウンド回るそうです

    • 田舎町 より:

      トップクラスの農家はすごい。
      でも、そこで働く人はワープアであってはいけないし、ただのハケンの品格みたいに搾取産業でも日本経済にはマイナスでしか無い。

  5. 川口太郎 より:

    田んぼや畑が小分けにされたのはGHQからの指示と言われる、
    昭和21年の第2次農地改革、俗にいう農地解放からですね。
    「戦前はあっちからこっちまでぜーんぶウチの田んぼだった」
    なんて愚痴を小さい頃に爺婆からよく聞いたものです。
    土地の問題と言えば相続税も、ですね。切売りして現金化しないと
    相続税が払えず、田んぼが住宅地に変わってしまったりします。
    農地関連の問題一つとっても省庁横断で今後の農業を
    どうするのか、どうしていくべきか、は自給率の問題もあるし
    政府には早急に考えて欲しいものです。

    • S より:

      まあ既得権益まみれの農協改革をやろうとしたら猛反発でしょ。
      アレでもう日本農業に未来は無いと思いましたよ。

  6. 薫くん より:

    米作りの低コスト化は、大規模化しても、うちの所では不可能ですね。
    水代(水利費)が高過ぎます。
    一反(300坪)あたり約2万円です。

  7. もずもず より:

    米づくり、どんなにコストカットしたところで、どうにもならないてすね。
    1反あたりに採れる収穫量はせいぜい16〜18本(30㎏/本)程度。
    うちは2.5反作って、だいたい45本程度。一本を破格の2万で売れたところで90万にしかならない。ここから経費を引いていくら残る?
    実際の農協出荷額はだいたい6500くらい。
    まぁ、まともに産業として考えたら無料ありすぎ。治水と一体化して考えなきゃね。そう思います。

  8. 農家です より:

    アメリカの農家は値下がりすると国から補填されます。
    半国営です。この点は報道されないので、大規模集約農業は正しいという風潮が蔓延ってます。
    そもそも国のテコ入れがなければ海外でも農業は厳しい。
    日本の農家は値下がりすると国や消費者から歓迎されます。
    値下がりし続けたコメは物価換算で1/8まで下がっています。
    それでもなんとかやっているのは高齢者が年金注ぎ込んで稲作しているから。
    先祖伝来の土地を荒らしたくない。
    荒らした水田はみっともない。
    という善意や見栄があるから。
    高齢になり、営農リタイアした水田があちこちに見られるようになりました。
    大規模集約された企業体も補助金がなければ採算がとれない。

  9. アクシオム より:

    神奈川で建設業の傍ら、足柄茶の栽培しておりますが、まず神奈川県では農業関連で補助事業は他県と比べて恐ろしくないに等しいくらい出ないです。
    そのくせ、原産地と原料の問題から足柄茶の生産を増やせと言ってくる。
    農地を集団化をするのであれば、土地改良事業で耕地整理をして、作業の機械化ができるようになければなりませんが、そこにたんまり補助が出るのは農業県。まぁ全国土地改良事業団体連合に設計から、農地を区画整理後各地権者に元の土地から区画後の土地を引き渡すまでの換地という作業を委託しないといけないんですが、そのトップはご存じ和歌山県の2Fセンセイです。
    お茶の栽培でも機械化はしており、静岡県の2大乗用機メーカーがありますが、正直な話、今後本格的な自動運転化やセンシングを活かした効率的な機械を作るのであれば、静岡発祥のホンダやスズキにやってもらった方がいい気がしますね。
    専業や兼業農家に任せるよりも、建設業や自動車会社が農業に本格参入する方が手っ取り早く持ち直すかも知れませんね。

  10. トシさん より:

    アメリカ農家(経営者)の平均耕作面積は160haで、日本は1.07haです。1haで米作りをすると約-50万円ほどですね。まさしく赤字。耕作地10haを超さないと利益が出ません。15haで利益280万円(労働時間2500時間)ほどの年収です。実質一人で米耕作するのは1haでも大変ですけどね。60kgあたりの生産コストを12000円以下に押さえるのがカギになります。
    日本の95%の農家さんは赤字なのですが、農協は利益が出るという、いわゆる賢い経営なのであろう。

  11. しんぶんし より:

    皆さん、車のことしか興味無いと思っていたら、結構コメントあってビックリです。感じてること現状で。デフレの時は収穫した米を早く売る。持っていても安くなるだけですから。
    今は土、肥料、除草剤全てが値上がり。仮に2倍とする。そして米を売る前に支払いをしなきゃいけない。蓄えもなく仕方なく、お米の2倍量で支払う。今、米を作っているのに米が無い状態です。来年は倒産してるかもなぁ。あと、バック米の輸出が伸びている記事がありました。在庫に影響を、与える程の量では無いのですが、補助金出して推進して、日本の米が足りなくなったらどうするのだろう?今年は大丈夫だと思いますが、来年の9月頃は危ないかと。かと言って買いだめできるものでもないし。

  12. スカラ より:

    数年前に自動車サプライヤーの連合会のメンツで某有名農機メーカーの工場見学に行きました。玄関に展示してあったやや大型のトラクターは1千万円近いという。工場に入るとそこは何だか昭和の匂いのする懐かしいような光景。生産現場を日々改善している自動車業界からすると学ぶところは少なく、これで高価な農機具を買わされている農家さんはかわいそうだなあという声もありました。ホンダは小型の耕運機は出していますが本格的に進出すれば業界全体の底上げにもつながるのではないかと思います。

  13. トヨタ車ユーザー より:

    朝どれ野菜が安くスーパーで買えるのは、外国人実習生=低賃金労働者と補助金を使っているから。
    でも、円安と労働環境の悪さ(評判はすぐにネットで知らされる)で日本に来る人もなく、思いがけず日本語学校も失業。コロナで日本に留学に来ないわけではなかった。

    それでも、安い賃金労働者が欲しいから国に何とかしてくれという。文句の言い方、努力の方向を間違ってはしないか。留学生の母国だっていつまでも手で野菜を取っているわけでもなく。。。

  14. すでに破産の農家さん より:

    私のような小規模農家には未来も現在もありません。農業経営会社や農協に土地を貸しても殆どタダです。貸賃タダで税金はコチラ持ち。赤字が貯まったところで相続税で借金を背負いトドメを打たれます。政府の小規模農家を潰す政策には抗えませんね。農地は農地法のしばりで売れませんしね。頼みのツナは、法の目をくぐる中華資本に売ることですかね。クソのようなこの国に期待を持っては負けです。

  15. 大吉 より:

    田舎住みです、親父は米を止めてお茶に変えましたがお茶作りも止めます、兼業農家は労働力は家族なんで人件費考えたら大赤字なんですよ、来年は太陽光発電に変わります

  16. ひまわり より:

    日本では技能実習という名の低賃金海外労働力があり、
    アメリカの農業も、南米等からの不法移民が低賃金で
    働いてくれるから成り立っている面もあるらしい。

  17. 30代農家 より:

    農業は難しいの一言。風が吹けば収入が減り雨が降れば収入が減る。雨風が無くても収入が減る。教科書通りで出来る事は皆無。近年、企業参入の大規模圃場も増えて来ていますが…成功例の話は聞いた事がありません。自動車でも皆がプリウス工場やNBOX工場をどんどん大きく一杯作れ良いわけではありません。

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