日産援護の記事が少しづつ出てきた。クビを捻る内容も多い。これから様々な情報操作など出てくると思う

厳しい状況になってきた日産ながら「大きな心配は無い」みたいな論調の記事も出てきた。日産だって現在の体制を守ろうとする。メディア戦略も打ってくることだろう。日産側の事情を聞けば「そうですよね~」になる? 私の記事を含め(笑)、素直に信じないことをすすめておく。以下、日産についての記事でいくつか気になったことがあるので書いておきたい。

まず日産の財政だけれど「キャッシュフローが十分あるので当面問題ない」というのがある。確かに今のまんまの決算なら1年程度持つ。為替が円高に進んだり、ルノーが日産株を急いで手放したりしないことなどが前提です。3年前と同じ1ドル=110円になればみるみるキャッシュフロー減る。日産の状況を見てルノーから「日産株を早く換金してね」と言われたら、これまた出費。

村山工場や座間工場、荻窪工場は都心に近く高く売れた

ゴーンさんが行った前回の立て直しは、換金できる資産を山ほど持ってた。有利子負債2兆円以上と言われていたが、資産を売りまくり、至る所にあった「利権」や「ムダ」を切った結果、なんとかなった。されど今の日産には資産なく、クリーンかつリーンな経営状況。利権やムダも無い。「カタ」がないから借金も出来ない。あっという間に消えるキャッシュフロー頼りなのだった。

また、決算を見て「開発予算や設備投資が堅調なので安心」という記事もある。決算の数字、日産レベルになると優秀な専門家が朝から晩まで、そればかり考えて出す。ぱっと見て内容が想像出来るワケない。そんな単純じゃありません。そもそも開発予算や設備投資が堅調なら、新型車はしっかり出てくるだろうし、工場の不備でクルマが作れないなんてことだってありえない。

実態やいかに? 開発予算についていえば以前も書いた通り。開発部門は日産という会社に規模に見合った新型車の開発を行ってきた。4~8年でモデルチェンジするというペースです。開発予算がしっかり機能しているのなら、内田さんが言うような「売るクルマがない」なんてことにならない。不思議に思わないのだろうか? 取材すれば新車が出ない理由だって解る。

開発を途中まですすめていても、日産全体の売れ行きが低迷し目標販売台数はどんどん下がっていく。その段階で経営陣から「これ売れるの?」と聞かれたら、答えられない。で、開発中止! 板金部品に代表される仕込みに時間の掛かる部品は生産手配などしているため、そいつの整備投資もパーになる。下を見て開発予算や設備投資の半分は消えていると考えます。

マー最高財務責任者に中国市場の建て直しをさせるという。日産経営陣の中に「超」を付けていい3気筒eパワー信奉者がいる。中国市場の自動車ビジネスを少しでも知っている人なら「3気筒エンジンは売れない」と認識している。日産の中国担当者だって知らないワケない。なのにエクストレイルを3気筒のeパワーを搭載して「売りなさい!」。結果、てんで売れない。

日産はエクストレイルが稼ぎ頭になっている。世界中でエクストレイル(アメリカだとローグ)売れたら利益を出せる。なのに中国は3気筒で失敗。アメリカがハイブリッド無いことに代表されるイメージダウンで失敗。日本も高い価格を付けたため売れ行き30位と低迷中。今の経営陣、やっていることがデタラメである。だからこそ1日でも早く全交替しないと一段と悪くなります。

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2 Responses to “日産援護の記事が少しづつ出てきた。クビを捻る内容も多い。これから様々な情報操作など出てくると思う”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    我ながら、いい歳した社会人の分際で、新聞を読まなくなったものだから、日産がどんな論調で語られているのかすら分からなくなってしまいました。

    ただですよ、
    口八丁手八丁で、愛社精神の欠片もない外様揃いで、売るクルマがない最悪の状態まで落ち込ませた日産経営陣から出てくる情報を、大マスゴミがありがたがって記事にしているのでしょう。

    もはや現場を取材しないコタツライターとレベルが変わらないので、あらためて読む気にもなりませんけどね。

    ちなみにですよ、
    最近の国沢さんの記事は、過去に例がないほどピンポイントかつ超辛口で、読む側も痺れております。でも根底には、「何としても頑張って立直って欲しい!」という激烈なクルマ愛を感じます。

    国沢さんの記事に対して、エビデンスで反論できず、ヒステリックに罵詈雑言を叫ぶ輩は、「会社と業界を滅ぼす組」だと思っています。

    だって国沢さんの記事の後ろには、自動車業界の心ある方、技術に長けた方、センス溢れる方、苦労を重ねてきた方、そしてクルマを愛する方がたくさんいらっしゃるはずですから。

  2. サイクリング爺 より:

    作家の楡周平さん。経済小説で次々と重厚な作品を発表しています。主要テーマは「過去例のない画期的な製品やサービスの開発に汗する人」や「その場しのぎの経営判断で市場に対応できず、みるみる衰退していく企業の再生」です。モデルはあの会社??ね、と誰でも想像がつきます。
    小説ですから絶望的な苦境に陥ります。そこに登場する勇気ある主人公が、それまでの過ちを改め、苦しいながらも正道で信頼回復に務め、新製品を苦労の末に世に問うて、再生していきます。
    本件にも、小説の主人公のような「汗する人」が現れて、苦境から立ち直ることを切に祈っております。

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