日野自動車、大げさな表現じゃ無く存続の危機。少なくともエンジンは終わりだと思う

日野自動車のディーゼル不正問題、状況は深刻だ。そもそも「なんで不正をしたのか」となれば、技術レベルが届いていなかったからに他ならない。コストダウンや手抜きによって規制値をクリアできなかったのであれば比較的短い時間で対応できるし、現在販売済みのクルマのリコールだってできる。けれど真剣に開発して規制値を達成できずインチキしていたとなればお手上げだ。

販売済みの車両をどうするか、という話になる。エンジンを他社製に積み替えるか、買い戻すかみたいなことしか考えられない。前者だと時間掛かるしディーゼルエンジンって高い。費用対効果を考えると使用期間に応じた査定をして買い取るしかなかろう。その間、規制値を超えた排気ガスを出して走る車両をどうするか、という点だけれど、大型車の場合、代替車両も簡単に揃わない。

デュトロEV

このあたり、速度違反と同じでどの程度厳密に考えるかで幅は出てくる。インチキしていたエンジンであっても、北海道や沖縄で走っている「後ろに付くと死にそうになるほど汚い排気ガス出すディーゼル」に比べれば圧倒的にクリーン。かといってペナルティ無しだと皆さん納得しない。国交省がどのあたりを落としどころにするのか注目したいところ。今の国交相に大岡裁きはできるか?

日野自動車製ディーゼルエンジンの再販売は相当ハードル高い。そもそも現時点で技術でクリアできるかどうかも不明。クリアできたとしても、耐久性試験などは相当時間が掛かる。2年や3年じゃ無理。そうこうしているウチ、厳しい二酸化炭素の排出規制が始まってしまう。我が国は2030年に排出量46%減を国際公約にしている。2025年くらいから燃料電池や電気に切り替えないと無理。

私は日野自動車のディーゼルエンジンは終わったと考えている。今後トラックやバスを作るなら、他社からエンジンを買ってくるしかない。ただいすゞにしろUDにしろエンジンの生産キャパシティは現在でギリギリ。今後2~3年は駆け込み需要だって相当多い。日野自動車に供給する余力など無いと思う。増産しようにも、前述の通りエンジン需要は今度減っていくからできない。

ポンチョ。EVバス

日野自動車を存続させようとすれば打つ手は一つのみ。燃料電池と電気車両専門のメーカーになることだと思う。幸い燃料電池はトヨタから供給を受けられる。電池は3000~4000回の充放電回数を持つリン酸鉄リチウムを使えばいい。400kmくらい走れる量を搭載しておけば160万km走れます。その時点で電池交換しても、軽油より圧倒的に安い電力料金でペイできることだろう。

長距離用は燃料電池。近距離用や配送車などは電気自動車という棲み分けでいいと思う。このくらい思い切ったことをやらない限り日野自動車の将来は無いだろう。

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2 Responses to “日野自動車、大げさな表現じゃ無く存続の危機。少なくともエンジンは終わりだと思う”

  1. CX-60 より:

    不正の原因は、パワートレイン実験部=評価する部署がデータをごまかした、それをチェックできない体制も問題だったというのが、日野側の訴えだ。
    初めのころは社長も技術はあってプロセスの問題と答えていた。
    しかし、解決策(リコールの改修方法)が出てこない事、そもそも規制クリアできる技術があれば不正しないじゃないかという論にもなって、いよいよ後に引けなくなっている。
    UD、三菱ともに一度は外資と組んで事の解決にあたってきて、日野だけほぼ自立でやってきた。しかし、その裏でこのようなことが起きていたとは残念です。
    日野はVWとの提携(あくまで電動パワトレの分野ですが)があるので、おなじ術中にはまってしまったのか。電池についてはBYDとの提携があるから何とかなるかもしれない。見守ると公式にコメントを出したトヨタは手に余ると思ったかもしれない。

  2. 非常に残念な事案ですね。
    たしかにここからドンデン返しするなら
    記事のようにいっそエンジン辞めて電気車に特化
    という程の改革が必要かもしれません。
    それなら今までのリコールも含めて電動化キットを
    幅広くそして初期の頃は厄払い生産も含めて
    赤字覚悟で安く提供し、インフラを勝ち取ってしまう
    という戦略もあるかもしれません。
    このキットは日野/トヨタ車に限らず三菱やいすゞ
    などの他社車両にも対応でリリース。
    確かにイヤダイヤダ言っていても確実に電気車主流時代は
    来ると思います。いまこそジャパンの底力を見せてほしいです。

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