水平対向とロータリーエンジンはなぜ通用しないのか?

水平対向とロータリーは燃費の時代に向かないと言われているし、そう書いてきた。本当だろうか? まずロータリーだけれど、物理的に熱効率を追求できない。燃焼室形状が決定的に悪いためだ。熱効率を追求しようとすれば燃焼室は”球”に近くしたいところ。圧縮比も高くしたいし、熱損失だって減らしたいところ。ロータリーエンジン、全ての点で難しいのだった。

燃焼室は弁当箱の形状。プラグを2つ付けるなど対策しているものの、レシプロエンジンにほど遠い。圧縮比は高くした途端、異常燃焼が始まってします。ロータリーエンジンで出力を稼ぐには圧縮比より上限回転数を引き上げる。熱損失も球体が最も体積少なく、弁当箱形状だと相当厳しい。事実上の2ストロークだから、排気ガスから逃げてしまう熱だって大きいです。

発電機用として使った時のメリットは滑らかな回転だと思うが、シングルローターを始動させる時はけっこう”揺れ”も伴うと考えます。さらに冷間スタート時の排気ガス対策だってややこしい。1気筒だと触媒の熱の入りが遅くなる傾向。電気で無理矢理暖めてしまうという方法もあるけれ、熱効率を確実に落とす。「意地でも使いたい」というなら別ながら意味なし!

そもそも割高で熱効率悪くなること間違いないロータリーエンジン積んでも面白さにならない。ロータリーエンジンの楽しさは、ダイレクトに駆動軸と繋がっているからだと思う。一定回転数で「ぶ~ん」と回っている発電用のロータリーに価値を見いだすヒトは一部だけかと。ブラックサタンはモータースポーツよりブランドイメージ作れると考えているようですが。

水平対向も熱効率と排気ガス対策で厳しい。1列は2気筒。3気筒あれば3シリンダー分の排気熱で直下の触媒に熱を入れられる。水平対向だと2気筒分の熱しか入れられない。現在、多めの燃料で熱を入れているが、ここで使う燃料は少なくないという。かといって4気筒まとめようとすれば長いエクゾーストパイプになってしまい、これだと触媒を近くに置けません。

また、水平対向はストロークを確保しにくいので燃焼効率を稼げないという意見が多い。1000cc3気筒より燃費良いヤリスの新型1500cc3気筒の内径×行程は80,5×97,5mm。スバルの新世代4気筒を見ると、1気筒あたり同じ500cc。内径×行程を見たら84×90mmでまぁまぁロングストロークになっている。さらにロングストローク化すると、エンジン幅が広がってしまう。

詳細なスペックは不明ながら、新型レヴォーグに搭載される1800ccターボでストローク90mmのままボアを小さくして実質的なロングストローク化を狙うかもしれない。理論的にはイケそうな気もするが、今やレヴォーグサイズのボディなら1500ccの3気筒じゃなくちゃ目標燃費に届かない思う。かといって水平対向だと3気筒エンジンなんか作れません。

石にかじりついても水平対向で、というならエンジンを根本から見直しトヨタのようなロングストロークの1800ccアトキンソンサイクル化してDセグ以上のクルマに搭載するしかないと思う。その場合も、触媒の暖気をどうするかという大きな課題は残ります。加えて、トヨタ式のハイブリッド用エンジンの水平対向、スバルらしさが出るのかどうか気になるところ。

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