空洞化の向こう側

円高や労働条件などにより工場が続々と海外へ移転していく、という話は昨年あたりから様々なメディアで取り上げられるようになってきた。仕事を失った人達に対する同情の声も多い。しかし。現場を見ると、どうやら空洞化による雇用機会の減少というステレオタイプは当てはまらないんじゃないかと考える。

昨年11月のこと。三重県の亀山でシャープの亀山工場に出荷する液晶を作る『カメヤマテック』の従業員を送迎しているマイクロバスが大型トレーラーと衝突。10名以上の重傷者と6名の死者を出すという痛ましい事故となった。驚いたことにこの6名、全員フィリピンの人であります。外国の従業員なのだ。

シャープの亀山モデルといえばメイドインジャパンの代名詞。調べてみたら、決して賃金の節約のためフィリピンの人を雇っていたワケじゃなかった。むしろ日本人の期間工より高い労賃を支払っていたという。なんのことはない。日本人が集まらないワケ。外国人の従業員で作れるなら外国の工場でも作れる?

日本の自動車メーカーを見ていると、今や新工場の建設や工場の増設は九州や、これまで自動車関連工場が少なかった東北地方ばかり。九州はレーバーコストの安さで。東北は雇用の容易度という点で魅力的らしい。といったことを考えると、いわゆる「雇用の流動性」に課題を抱えているのかもしれません。

つまり「仕事はあるけれど条件が合わない」というもの。なるほどうなぎ屋ギョウカイも若手の職人はほとんど居ない。バイトを探そうとしても難しいです。近所
のお寿司屋さんに聞いたら「若手は入ってこねっす」。大型トラックの運転手だって若手少なし。「なんでもやる!」という人が減ってきてしまったらしい。

今や斜陽のジドウシャヒョウロンカのなろうという人もおらず。こういった状況、「税金を投入してどうの」ということじゃないだろう。こいつを打開できるとす
れば、教育や環境である。言うまでもなく内部から変えようとしたら時間が掛かるに違いない。というか、一部の人に負担を掛けるため無理だと私は考えます。

いや、本当は負担を掛けてもやらなくちゃならないのだが、そんな実力のある政治家は存在しない。とはいえ今後ドンドン厳しい状況になっていくこと確実。滝の上流側で泳いでいるようなモノ。かくなる上は、一生懸命働いてアタマを使って、滝に落ちないよう泳ぎ続けるしかない。みなさん、頑張りましょう!

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7 Responses to “空洞化の向こう側”

  1. ぱんだねこ より:

    私は自動車評論家になりたいです。
    ただ、運転はあまり上手ではなく、学部も電子電気系です。また、いま細々とサプライヤで働いているのは、労働意欲があるからではなく、エレクトロニクスが機械であった自動車にどのように食い込んでいくのかを見たいからです。
    そんな者でよかったら弟子にしてください。(^^;

  2. tm256 より:

    豊かで平和な時代に慣れすぎた日本人は、贅沢になったのだと思います。
    「3K仕事」という言葉がありましたが、皆キツイ、汚い、危険な(あと、かっこ悪い)仕事をやりたくなくなったので、楽できれいで安全、かっこ良い仕事ばっかりに人が集まって、そういう仕事にあぶれる人がたくさん出てくる。
    なんて、あまり人のこと言えないかも知れませんが。
    と、言いつつ人が良くて?段取りと要領が悪いので、この年末年始はロクに休みなしでウチでも仕事してます。
    (EVS25とかLA Showの忘れかけてる記憶を思い出しつつ・・・)
    今年はもう少し、仕事の段取りとかやり方を改善するのが目標です。
    >今や斜陽のジドウシャヒョウロンカのなろうという人もおらず。
    普通の自動車評論家には興味ないですが、EVやPHEV、スマートグリッドなんかの評論には興味あります。
    それで食っていけるなら良いのですが・・・
    自分の場合、いわゆる3Kは多分無理ですが、必要なら日本の外に出稼ぎしてでも食っていくという覚悟ならできてます。頑張りますよ!
    ・・・と、与太ってきたので、今日はこの辺で。^-^;;;

  3. あーさん より:

    滝に落ちないように泳ぎ続けるしかありませんが
    泳ぐスピードが遅くなっていると感じます。
    3Kで働かなくても頑張らなくても食べていける日本ですから
    しかし、先人が築いてきた日本と言う御神輿にぶら下がっているだけだと、支える人が居なくなった時に
    ぶら下がっている人を押し潰すのではないでしょうか。
    空洞化については、一部電機メーカーが工場の全自動化を進めていますが、自動車メーカーも更に自動化を押し進めて行くと考えています。

  4. ao より:

    妙な個性重視をする学校教育やスーパーアイドルグループの
    歌った曲が流行っちゃう風潮も問題でしょうか。
    ナンバーワンがオンリーワンなれる唯一の方法なのに。
    人事採用にいる同期も「自分に合う仕事が世の中にあると
    勘違いしてる子が多い。その子がやれる仕事が世の中にある
    だけなのに」と嘆いてます。
    しかも、学力的に低い子ほど勘違いの傾向があって、
    運動部等の活動も無いか、見るべき活躍の無い子に多い
    そうです。
    努力せずワガママを通す事は、自分らしさや個性の尊重じゃなく
    嫌な事からの逃げでしかないと思うのですが。
    工場の仕事や就職への問題だけじゃなく、言いようの無い
    不安感があります。

  5. いけだ より:

    日本の主力産業が自動車だとしてアメリカ合衆国の主力は金融だとします。
    ウォール街で働く中堅どころの人の年収は5千万円ぐらいが最低ランクらしいということを
    リーマンショック後のニュース映像で知りました。
    自動車メーカーだと中堅クラスの設計技術者ということになるでしょうけど、
    その人たちの年収はいくらか。
    製造現場に至っては、
    人が集まらなければ給料を上げるというのが経済学の常道ですが、
    割安な値段で働いてくれる外国人を呼び寄せることで賃金水準を引き下げて
    日本人が忌避するような職場にしてしまったと思っています。
    日本人だったらこれぐらいが普通だろうという生活ができるような
    ある程度の収入が得られる仕事を『仕事』というのであって、
    ワーキングプアと揶揄されるような収入しか得られない仕事は、
    もはや仕事とは呼べないです。
    そう考えると工場が海外に移転して雇用機会が減少するという以前に、
    既に工場が雇用を生み出す能力を失ってしまっているような気がします。
    そういうことでまとめると、
    仕事の定義を『働いて収入が得られる』という事にすれば仕事はたくさんありますが、
    『日本人らしい生活ができる収入が得られる』という定義に変えると仕事はほとんど無いですね。

  6. さね より:

    いやあ新年早々痛いとこつかれました。 院生の2年ですが就活を70社しましたが、採用されませんでした。もう企業は専門に勉強した人間は必要としないみたいです。先輩たちもあぶれてます。 自分て人間が駄目なのかもしれませんが、企業側は何でも素直にゆうこと聞く奴を欲しがるみたいです。自己主張強いと扱いにくいから嫌なのかな? 工学の理系を専門に勉強してると特にイヤみたいですね。 4大卒のフレッシュな若い後輩達や従順に働く人が採用されるから、大学では肩身が狭いですねなにげに。 まあ世の中こんなもんでしょう やる気も失せるし自分自身。 多くの自動車評論家先生方は自業自得でしょ仕事なくなってくのも。まず自動車工学的な目から見た論文すら見たことないし、機械の検証やそれが人の感性に合い生活を豊かで幸せにする物か?エコならオッケー的な安直な感じだし、文章に具現化して書く作業も極めて個人的かつ利己的かつ単なる感想文なだけで後はバイヤーズガイドなだけだし。ハイブリッドや電気自動車をライフサイクルアナリシスの検証もなく誉めちぎるのもどうかと…批判は時がたってから足回りやボディー剛性らへん。まあそれを続けて淘汰されるのも、もっと改革して自動車ジ

  7. CB400SF より:

    国沢さんのおっしゃる、「仕事はあるけれど条件が合わない」。この一言に今の状況が集約されるのではと思います。「自分のやりたい仕事が見つからない」「自分探し」など、よく聞く言葉です。
     果たして世の中に自分やりたい仕事をやっている人がどれほどいるのでしょうか。自分探しの旅に出ている人がどれだけいるのでしょうか。
     まずはどんな仕事でもいいから一生懸命やって、その中で自分を高めていくことから始めなければなりません。ゆとり教育になってから特に、自己主張だけやけに強い、わがままな人間が増えてきたように感じます。本当に才能があれば企業も雇うはず。日本ではまだまだ周りとうまく協調性を持って仕事ができる人材を必要としている企業が多いのではと感じます。
     

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