追突された時の安全性、日本では緩い規定しかありません。アメリカ基準適合車だったら‥‥

湾岸で起きた危険運転車の追突事故、ポルシェ911GT2RSの写真を見た時は速度差50~70km/hと考えた。なぜか? 下はIIHSのスモールオーバーラップ衝突試験の動画です。911ではないけれど、64km/h程度で車体前面の25%程度が衝突すると、どんな車種であっても必ず前輪はAピラーから伸びる構造材を押す。事故を起こしたGT2RSの前輪、ほとんど位置が変わってませんでした。

そこで追突された車両とGT2RSの車重(エネルギー差)などを勘案し、50~70km/hと考えた次第。けれど実際は100km/h以上の車速差があったと思われる。なのにGT2RSを見ると車体損傷度合いで50km/h以下相当。結果として乗員無傷である。追突された車両を見ると、損傷極めて激しい。衝突基準が2世代くらい古いため、高速域からのオフセット衝突モードも適用されていません。

マツダCX-8の後突対応構造

いや、正確に書けば、今でも日本じゃ高速オフセット衝突モードが義務づけされていない。基準として存在するのは「50km/hのフルラップ追突」であり、しかも乗員に対する基準無し。ガソリンタンクから燃料が漏れないかどうかだけです。アメリカの場合、80km/hの70%オフセット基準だ。3列目までアメリカの追突基準を満たしたマツダCX-8のようなクルマに高速で追突したらどうなる?

クラッシャブルゾーンの長さからすれば明確にCX-8の方が長い。後部のボディ構造だって圧倒的に強固! 少なくとも911のボディ前部と比べたら強い。どちらが大きいダメージを受けるかとなれば明確にGT2RSだ。アメリカの厳しいオフセット追突モードをクリアしているモデルなら命を失うのは追突した危険運転者です。最近の売れ筋になってるSUV、追突には強い。

このクルマもオフセット後突にメチャ強い!

無謀運転に殺されるのは釈然としないです。ちなみに3列シート車で3列目までの安全性を考えているのはアメリカで売っているモデルだけと考えていい。カタログに対応を明記してあるという条件を当てはめれば、前述のCX-8とボルボXC90となります。2列シートモデルもアメリカで販売している新世代モデルと共通フロアなら80km/hの高速オフセット対応だと考えていい。

もっといえば、新型車に乗って80km/h出してる無謀運転のドライバーがカーブではみ出してきて、1994年以前の設計である旧世代の60km/h走行のクルマとオフセット衝突したなら、前者は無傷。後者だと相当の確率で死亡することだろう。コレを言い出したら最終的にトラックが勝つという人も居るけれど、確率論だ。少なくとも無謀な運転者が生き残るのは釈然としない。

といったことを考えるなら、アメリカで売っているモデルと共通ボディのクルマに乗るのが最も安心でしょう。その上を望むなら、基準+αの衝突安全性を持たせているボルボ。私が毎日の足としてXC60に乗るようになったのは、そのあたりの事情を知ったからに他ならない。その昔、シートベルト無しで平気だった。安全を知ると、やはり弱点のあるクルマは怖くなります。

人を殺したら死刑になるのが解っていても殺人事件は起きる。無謀ドライバーを非難したって居なくなりません。自分は安全運転していても、厄災に巻き込まれる。ということを総合すると安全なクルマで流れに乗ってジェントルな走りをするのが自分&社会に対するストレスないかな、と思う。

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