雇用の確保

脳天気な日本の政治家や官僚の皆様は、労働賃金や雇用環境についちゃ強く関わろうとするけれど、肝心となる「絶対的な雇用の確保」で無関心に近い。本来なら日本で生産されるクルマや部品が海外の工場に移転しても、カンペキに無策なのだ。おそらく雇用は水や空気と同じだと思っているのだろう。

ブルームバーグは「ルノーは韓国で生産したルノー・サムソンのSM5(ルノー・ラグーナ)をフランスで販売しようとしているものの、政府と労働組合から猛反発されるだろう」と伝えている。ちなみにルノーはマーチと同じくフランス国内販売用の『クリオ4』を、全数トルコ工場産に切り替えようとした前例を持つ。

しかしフランス国内で猛反発を受け、政府はゴーン社長に国内工場での生産継続を強く要求。フランスの工場を残すという結論になった。アメリカですら雇用を守ろうとする動きは大きい。ヌーミーを一方的に閉鎖しようとしたトヨタがどんな目にあったか、説明するまでも無かろう。それくらい雇用は重要だということ。

本来なら「母国での基本的な雇用は確保する。もし海外で販売台数が増加するような
ら、その分は海外で生産する」というのが企業のあり方だと思う。というか、母国に対する「礼」である。普通、どんな企業でも経営者でも、そういった気持ちは持っている。しかしゴーンさんから「母国の礼」を感じない。

いや、「母国」という観念を理解できないのかも。それがフランスだとキッチリと叩かれ、日本はスルーされる。もっと言えば、フランスはそういったアイデンティティをしっかり出さないと「国」という”カタチ”が崩壊するんだろう。一方、日本だと「国を裏切るヤツなんか居ない」と思っているからユルいワケです。

昨日のTOPの続きになる。現在、日本の多くのメーカーが100万円以下のECOカーを開発中で、いずれも海外の工場で生産する計画。「海外で売るクルマだから海外で作る」ということについちゃ、母国の観念をキチンと持っている日本の自動車の経営者でも全く抵抗無く行われることだろう。

これを何とか日本でも売れるような環境を作るべきだと考える。安価なクルマのマーケット、日本でも少なくないかと。といったことを政府民主党は検討しているのだろうか? まぁ政府に取っちゃ発言力の大きい安全原理主義者より、社会的評価が低くなりがちな失業者対応の方が楽なのかもしれません。

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5 Responses to “雇用の確保”

  1. 阪神ファン より:

    母国愛というのが日本のトップやマスコミに欠けていると思います。日本を悪く言うと持ち上げられ、日本を良いようにいうと白い目で見られるような気がします。
    この時期、戦争のことがTVでもよく取り上げられていますが、”全て日本の責任、全て日本が悪い”といい、少しでも異なる意見を言おうものなら激しく言い返される。先日のNHK見ていてそう思いました。
    民主党は母国について、全く何も検討していないと思います。日本の国旗を切り刻む民主党に期待するのは無謀です。また非常に危険だと思います。
    早く日本の素晴らしいところを伸ばせる政権が誕生してほしいです。

  2. ぱんだねこ より:

    こんばんは。
    今まで日本国は、「雇用」を企業の成長とともにほとんど自然発生するように思っていたのではないでしょうか。過去の景気対策は基本的に土建へのばらまきばかりでした。
    「雇用」に限らず、日本の国の発展は国が何かしたわけではなく、企業の発展と努力によって進んできました。特に技術的なことに関しては、ほとんどが企業の成果によって成長したわけで、自動車はその最たるものです。
    国は結局、税金を徴収し、アンバランスな再分配をするだけ。
    何かの事業なりを国が主体となって引っ張ってきたことはほとんどなく、企業に乗せられっぱなし。担いだ企業も悪いですけど。
    だから、今のように国が企業に愛想をつかされて、こんな国でやっていられるかと逃げられても、つまりは雇用が外に逃げても、それに気づけないのでしょう。いつも担いでくれるから今度も企業が何とかしてくれるぐらいにしか考えていないのでは?
    雇用対策などといって、ハローワークが企業研修やパソコン教室を開いていますが、そんなことで企業に雇用が生まれるわけはないのです。する仕事がないんだから、パソコンの使い方を知っていても・・・。
    円高で大変だけど「ふーん」と意外とすましているのは、海外に雇用と生産を求め、円高だからそれを輸入すればいいやと思っているからではないでしょうか。
    それは、労働者としては困るのですが、なんせ国が無策でも何とかしちゃう企業たちなので、国は何にもできないんでしょうね。

  3. tm256 より:

    この国では、政府も役人も無能なので、あるいは目先の自分のことしか考えてないので、今後も製造業の海外への流出が続くでしょう。下手をするとサービス業も。
    これからの日本人は英語か中国語を覚え、手に職をつけて海外でも食べていけるようにしていかないと、国内では生きていけなくなっていくのではと感じています。

  4. MCタイチ より:

    いつもは興味深い記事を拝見していますが、これについては些か思慮に欠けるかと。
    現在のグローバル企業にとって国籍と言う概念はありません。「母国への礼」なんていうのは、保護主義の裏返しです。
    「基本的な雇用」が何を基準にするのか不明ですが、各国が海外生産を制限すれば、割を食うのは工場が移転したはずの新興国の経済と割高なものを買わされる消費者です。
    そもそも、雇用の維持を突き詰めると、輸入を規制せざるを得ません。フランスの労働者を守ろうとすると、日本車は締め出される。それと同じ事を日本がやり返すだけです。(ちなみに労働者の権利が強いフランスは若年層の失業率が高止まりしています)。
    こうした保護主義・重商主義に世界が向かっているのは忌々しきことです。特に、エネルギー資源を持たず、交易によって豊かになった日本は、自分の首を絞めないよう短慮を慎むべきです。

  5. lucky より:

    いつも、拝見させていただいてます。
    日産に付いて、問題定義して頂き、ありがとうございます。
    ます゛立派な本社は、当初横浜市からお願いをして、進出?出戻り?してます。その後、完成前に売却し、今は、リースで借りてます。その売却益で黒字が出ました。
    次に、子会社の販売会社を連結に組み入れる為に、ただ当然で買ってます。資産が相当あるのに自動車販売の本業が赤字なので、会社の株式をマイナス評価とした為、この件裁判中と思います。
    最後に、ゴーン社長自身に付いて、幼い頃相当苦労をなさったと聞いてます。人種問題とかは肌で知ってると思います。ですから、今の地位は高決算高利益を出さないと、要らない事もわかってることです。
    こんな日産の基礎になったのが、銀行が所有してた株式です。増資分も含め過半数をルノーが所有してます。
    現在は、金融危機でルノーも政府保証しないと資金繰りが厳しいと、聞いてます。日本政府が今度は、円高を利用して、助けたら良いと思います。助ければ円安に動くかもしれません。
    日本の雇用=円安と!

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