電気自動車部門は今後4年、いや長ければ8年間くらい赤字続きになる覚悟が必要です
フォードが電気自動車部門を分社化したら巨額の赤字になった。日本の自動車メーカーも今後数年スパンで兆単位の投資を行う。これらの投資、すぐ利益に結びつくかとなれば明確に「いいえ」です。電池工場などへの投資、回収は容易じゃ無い。テスラの場合、パナソニックに巨額の投資をさせて電池工場を作らせた。車体工場も初期投資はトヨタからタダみたいな金額で得ている。
開発予算などは電気自動車のクレジットを他の自動車メーカーに売って稼いだ。もう幸運の塊みたいなものです。他のメーカーはそううまく行かない。自力で電気自動車で収益を上げられるまで頑張らなくちゃならないのだった。トヨタやホンダ、日産についていえば、少なくとも本格的に電気自動車を作り始める2026年まではず~っと電気自動車部門は赤字確実だ。
また、電池の購入は現地じゃなければダメになりそう。アメリカで将来的に10万台売る計画なら、5万台の時から10万台分の工場投資をしなくちゃならない。いや、2万台の時だって10万台を見据えた投資が必要。これまたクルマの販売が追いついてくるまで赤字ということになります。そいつに耐えられる体力あるのって、トヨタとホンダ、何とか日産か? それ以外は調達に苦労しそう。
上海ショーを見ていると時間的な余裕はほとんど無い。上海ショーに行った日本の自動車メーカーの幹部が「やばいやばい」の連発だったという話も聞く。上海ショーに行った同業者は「もう追いつけない」くらいに感じたという。私も10年前に中国の自動車メーカーを見て同じインパクトを受け、以来、ずっと日本の自動車メーカーの速度感に疑問を感じているのだった。
赤字を覚悟で勝負しなければ生き残れないという背水の陣のひかなくちゃならない時を迎えた。おそらく今年大きな決断をしないと間に合わないと思う。本来ならマツダとスバルは電池で協業すべきです。その流れでトヨタと合流出来たら文句無し。日産は三菱自動車と。だからこそホンダもGMと組んだのだろうけれど、果たして思惑通りに動いてくれるかどうか見守りたい。
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EV路線なら中国優位、現実路線ならトヨタを始めHVを持つ日本勢優位。
植民地支配が大好物の欧州はどう出るか。EVで日本潰しのつもりが、チンプーのおかげで電気代が高騰しているから、大自爆の芽もあります。
アメリカの自国生産という雇用最優先の戦略が、今のところ一番低リスクなのかもしれません。太陽光発電も、自宅でガンガンできそうだし。。。
EVが事業が赤字、しかしそこへ乗り込んでいかないと欧米での電動化や環境規制に勝って自動車を生産し続ける未来が見えてきません。
ただ、中国でのEV事業についてはどうなのかと思うことがあります。諦めたり負けても良いとは思いませんが、すでにあちらは「消耗戦」になっており、ご指摘の通り補助金なしでやっていけないメーカーは淘汰されています。
そこへあえて乗り込んでいくのは企業活動として正なのかと思うことがあります。例えば値下げについては、コストダウンの結果正常に行われたのか、ただの無理やダンピングなのか、後者なら淘汰され無駄に血を流すことになり、実際にはその両方が起きているのが中国市場です。
これをこれから電動車が普及する東南アジアの国でやったらどうなるのか。EVを出してみて「無理でした、撤退します」となってはかえって迷惑をかけることになります。中国企業がインドで実際にやった「新幹線を安く作ってあげますよ、でもダメでした。」と同じです。それを避けるには、考え方は欧州で値段は中国レベルで、というのが必要で、東南アジアで中国企業と勝負しなければならばいもう1ラウンドが残っている気がするのです。