韓国のハイブリッド

韓国のハイブリッドを見て「技術で妥協したらバックマーカーに追いつかれる」を実感した。このままだとハイブリッド技術も液晶TVやPCのようになってしまうかもしれない。というのも現代自動車が開発しているハイブリッド、予想外に仕上がっていたからである。特にホンダ方式と日産方式は厳しい戦いになる可能性大。

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ホンダ方式。右の箱がバッテリーやインバーター、DC/DCコンバーター

紹介しよう。ソウルモーターショーに出展されていた現代自動車&起亜自動車(トヨタとダイハツのような関係)のハイブリッド、2タイプありました。主として1,6リッター以下に採用されているホンダ方式と、2,4リッター用の日産方式。アメリカやヨーロッパでの特許がどうなっているのか不明ながら、もしクリアできているなら相当イケると思う。

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日産と同様、6速ATと組み合わせている

まずホンダ方式。エンジンは114馬力の1,6リッター。ホンダと同じ位置に20馬力のモーターを搭載。さらにCVTと発進用のクラッチを組み合わせている。エンジンやモーターの出力は、シビックハイブリッドとイーブン。現代の方が優位だと思われるの、180V/5,3Ahのバッテリーだ。なんとリチウムで0,95kWhという容量であります。

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バッテリー寿命は30万kmを目標にしているそうな

プリウスの1,31kWhにゃ届かないけれど、インサイトの0,6kWhより大きい容量。もちろん燃費を稼ぐには容量大きい方が有利である。また、リチウムなのでコンパクトだ。しかもリチウムバッテリー、韓国政府が開発援助を行っている。国家事業として高性能バッテリーを開発しているワケ。企業単位でやっているホンダより明らかに有利。

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青いユニットがセルモーター/小容量のサブジェネレーター

日産方式のハイブリッドはアコード級のソナタに採用される。クラッチを持たず大出力モーターで発進(エンジンの始動は小型のモーター/ジェネネレーターで行う)。6速多段ATを使い駆動力を伝達するのも日産と同じ。こちらのバッテリーもリチウムで、電圧270V。容量はプリウスより少し大きい1,43kWh。物理的に十分成立してます。

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このくらいのデザインなら欧米でも通用するだろう

興味深いことにトヨタ方式はコンセプトカーすら無し。技術的なハードルが高いということなんだと思う。ウリナラハイブリッドの開発が順調に進めば、ハイブリッドで出遅れているメーカーもユニットで買いうかもしれない(欧米やアジア勢など数多い顧客がいることだろう)。となればますますコストダウンも進む。ナメていたら液晶TVの二の舞か?

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6 Responses to “韓国のハイブリッド”

  1. 大切な想い より:

    プリウス 燃費

    韓国のハイブリッド
    プリウスの1,31kWhにゃ届かないけれど、インサイトの0,6kWhより大きい容量。もちろん燃費を稼ぐには容量大きい方が有利である。また、リチウムなのでコンパクトだ。しかもリチウムバッテリー、韓国が国家的に開発の援助を行っている。 …(続きを読む)
    プリウス低燃費カー
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  2. アミーゴ5号 より:

    韓国モーターショー、凄い勢いですね。
    バッテリー開発が国家事業というのもアッパレです。
    日本も、15兆円の財政出動を計画しているけど、中身が問題です。
    多くが、これまで予算不足でボツになった従来型の公共投資案件らしい。
    財政出動とは、要は未来からの借金です。
    波及効果が薄い上に使い物にならず、未来の糧に繋がらない案件ばかりだとしたら、麻生さん、ニコニコ笑っている場合ではない。
    オバマ大統領の辛いところは、やるべきビジョンを示してもアメリカ産業がついてこれない事。
    日本はその真逆で、産業はスゴイのに、政治家がビジョンを示せない。
    この15兆円は、日本が、環境エコと雇用・経済を両立する社会に生まれ変われる最後のチャンスかもしれない・・・
    勢いに満ちた韓国ルポを読んで、しみじみしてしまいました。

  3. エコ より:

    >液晶TVの二の舞か?
    ようやくこの言葉を言ってくださる評論家の方が出てきてくれたような気がします。
    家電の二の舞だけは絶対避けなきゃいけないハズなのに評論家さん達は何か避けてたような印象でした。
    “徐々に日本車に近づきつつある”という程度のインプレッションは今まで紙面などでありましたが、こういうコアな技術の説明は貴重だと思いました。
    液晶TVに関しては技術面や価格などの戦略などもですが、やはりデザインで市場を奪われたという“イメージ”があります。
    ヒュンダイのデザインと品質“感”を見てると、余計にその構図が当てはまるような気がして心配です。
    最近登場するヒュンダイ・キアの車を見てると、サムスン・LGの携帯電話に通ずる、全体的に流麗なシルエットと全面に広がる“下品さの少ないつややかさ”があるように感じます。
    別に自分は自動車業界とは関係ない人間なのでそこまで心配しなくても、という気もしますが日本の経済全体を考えれば間違っていない自然な心配事だと思っています。

  4. クラウン より:

    国沢さん、お疲れ様です。国際化の時代です。現地に出向いて、自分の目でレポートすることは、いまやジャーナリストの常識になっています。残念ながら車関係者は腰が重い人が多いですね。趣味の世界から抜けられず、視野が狭い・・当然、活動の範囲が狭まってきているのではないでしょうか。国沢さんはそのような人に苦言をよく言いますが、聞く耳がない人が多いですね。正論をあえて言う人が肩身が狭い・・という業界は成長できないと思います。
    韓国の車事情を読ませてもらいました。日本のメーカーは、現実を直視して褌を締め直さないと大変なことになる、しいては日本経済の沈没につながりかねない大変重要な問題を提起したレポートだと思いました。
    一番敏感に対応しているのが、トヨタなのですね・・ハイブリッド戦略もその危機感の現れだと思います。もっと危機感を持たなければならないメーカーのほうが鈍感のような気がしてなりません。もっとも対応したくても出来ないメーカーは残念ながら単独では生き残れないのでしょうか?
    国沢さんはこれからの自動車評論家の道を切り開いている貴重な人物です。若者への教育にも熱心ですね。これからも応援したいです。

  5. 大和路 より:

    リチウムバッテリですが、ホントに車に搭載されるようになるんでしょうか?
    パソコンや携帯程度ではあれば、リチウムは充分足りるようですが、さらに車となるとリチウムの供給量は逼迫する、と聞いたことがあります。
    #確か、チリに大きな鉱山があったはず。
    トヨタもホンダもニッケル水素を採用しているのはそういう理由だとも聞いたことがあります。

  6. Ito(アミーゴ第7回) より:

    > 大和路さん
    電池の名称から想像すると、さぞかしリチウムが大量に使用されているかのかと思ってしまいますが、リチウムイオン電池の組成のうち、リチウムは約1%です。リチウム資源の埋蔵量は40億トン程度です。現在世界に存在する自動車の台数(大型車から小型車まで)は2005年時点で約8億台です。それをピュア電気自動車に置き換えた場合、埋蔵量のうちの2億トンを使えば大丈夫です。もし、これから自動車が倍に増えても4億トン程度ですし、使い終わった電池からリサイクルすればいいので、5億トンくらい確保できていれば大丈夫です。ただ、資源が偏在するので、どこまで公平に利用できるかが問題ですね。
    確かに、携帯電話などの電池に使われているコバルトは資源が少なく、自動車用をまかなうことは不可能です。しかし、自動車用は大体、二酸化マンガンを使うので、埋蔵量にしたら、EV500億台分以上の量があります。でも、リチウム資源の方が少ないのでそこまでは作れないんですが。
    ハイブリッドはEVの1/20くらいしか電池を使わないので、さらに問題は小さいはずです。
    それよりも厳しいのが、燃料電池です。白金の埋蔵量から計算すると燃料電池車を2億台作ったらオシマイです。世界にある車の1/4を燃料電池にしたら、白金は枯渇し、他のことに使えなくなってしまいます。安価で資源豊富な白金代替材料が見つからない限り、夢物語だといことです。

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