韓国もリン酸鉄リチウム電池の生産を開始へ。3元系リチウムは耐久性とコストで電気自動車に向かない?

日本人の多くは「全固体電池で挽回する!」と思っているようだけれど、開発の大幅な遅れにより実用化できてもコスト競争で勝てないと解っていたMRJやH3ロケットと同じく、成功したって厳しい。すでに中国や韓国の方が開発で先行しているし、量産化しても生産規模で全く歯が立たないからだ。そもそも全固体電池は実用化まで下を見て10年くらい掛かると言われます。一方、現在主力となっている三元系リチウムイオン電池じゃ材料コストも寿命も厳しい。

中国生産のbZ3Xはリン酸鉄リチウムを採用

その間の主役は安価で寿命長く安全性に優れるリン酸リチウムになることだろう。なのに日本勢はリン酸鉄リチウムを最初からバカにして本気で取り組まなかった。ほぼ全てのメーカーに対し(スズキやダイハツとは話をしていない)、リン酸鉄リチウムの開発について聞いたのだけれど、皆さん全くやる気なし。技術レベル低く、重くて大きく高性能化が出来ないという返事である。しかも極低温に弱いという点も否定の大きな材料になっていたことを思いだす。

そんな日本勢を横目に、テスラが真っ先にリン酸鉄リチウムに目を付け、上海工場で生産しているスタンダードモデルへ採用。メルセデスも採用を決めている。BYDのATTO3だってリン酸鉄リチウムだ。5年後の世界標準はリン酸鉄リチウムしかないと思っている。という中、三元系リチウムを主力にしていた韓国勢がリン酸鉄リチウムに軸足を移し始めた。良いと思ったらバカにしないで開発するというコンセプト、日本も重視すべきだ。

ちなみにトヨタやホンダが中国で販売する電気自動車の電池は現地生産のリン酸鉄リチウムになる。ホンダとLGで立ち上げるアメリカ工場の電池もリン酸鉄リチウムになるようだ。日本勢も危機感を持っているのだろう。海外生産車についちゃ世界標準にしようとしているらしい。されど日本で販売される電気自動車は当分三元系リチウムだと思う。日本のユーザーは高くて寿命の短い電池を買わなければならないのだった。このままだと海外勢にやられます。

PS・4月1日の記事はエイプリルフールだったようです。

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2 Responses to “韓国もリン酸鉄リチウム電池の生産を開始へ。3元系リチウムは耐久性とコストで電気自動車に向かない?”

  1. ツナミ より:

    中国の研究開発者は競争が激しくて、いい意味でガツガツしているので、どんどん実用化に結び付くアイデアを出してきますね。日本の大企業も大企業になる前は、おそらくそんな感じだったのではと思うのですが。

    ところで、昨日の記事には見事にだまされてしまいました。今から思えば、冒頭の全日本云々で、すでにアウトでしたね。特に今はChatGPTを使えば海外の犯罪者も自然な文章が書けてしまう時代になってしまったので、先が思いやられます。

  2. トヨタ車ユーザー より:

    私は、日本勢は製造が難しくバッテリーマネジメントも厳しい3元系リチウムイオンバッテリーをよく自動車に乗せたなと思います。というか、当時はこれしか距離の稼げる必要なバッテリーはありませんでした。そしてこれなら中国にまねされないとも思いました。
    一方、中国は北京オリンピックの頃から鉄電池をEVバスに乗せて使い始めました。乱暴な使い方でしたが、それを改良し、自分たちのモノにしました。
    この2種類の電池は同じリチウムイオンでも開発対象が異なると言って良いほどの特性・性質の違いがあります。だから、選択肢をまちがえたとは言わないまでも、もう少し楽にオペレーションできる電池を選べばよかった。
    マジメな日本人がそのまじめさゆえに迷路にハマり、撤退できなくなっているんだろうなあと。
    別に撤退を負けと考えることなく、別の用途(メンテナンスが行き届いて安全に使えるもの)を探すのもいいかと思いますが。

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