高性能の急速充電器、そんなモン作ること自体がECOじゃないことに国は気付かないのか?

政府や電気自動車のことが解らないメディアは、高性能の急速充電器を普及させなければならないと考えているようだ。2011年から電気自動車に乗っているヒョウロンカからすれば100%トンチンカンな話だと考える。確かにエンジン車で言えばリッター3~4kmしか走らない高性能で高価な電気自動車を走らせようとすると、高性能急速充電器は絶対に必要。

iX50は電池容量111kWh

電池を120kWh積むと、3kW/200Vの普通充電だとフル充電まで40時間掛かりますから。こういった贅沢な電気自動車を走らせようとするなら、日本で普及している50kWのチャデモじゃダメ。250kW級の急速充電器を使うことにより30分で80%まで入る。こう書くと「電池容量が少ない電気自動車なら10分で80%入るのでは?」と思うかもしれない。確かに液体ならその通り。

されど電気はそう簡単じゃない。電池容量少ないと充電性能も低くなってしまう。だからこそSAKURAは当初30kWで入るけれど、50%以上になるとガックリ落ち、70%を越せば普通充電くらいになる。250kWの高性能急速充電器をつかう意味無し! 60kWhくらいまでの電気自動車だったらチャデモで全く問題無し。250kWの急速充電器、1000万円以上の高額車用だ。

当たり前のことながらクルマは移動のための道具である。人が4人乗れてある程度の荷物を運べればいい。絶対的な加速も0~100km/hを8秒くらいで走れれば十分だと思う。イメージとしてはDセグメントのARIYAやbZ4Xで上限かと。60kWhの電池積み、実用電費7km/kWhだと航続距離400kmといったあたり。このクラスであれば普通充電で全く問題無し。

最も効率的なのはCセグ級。電費8km/kWhのCセグであれば50kWhの電池積んで400km走れる。クルマの用途が毎日100kmの通勤だとしよう。使う電力量は12~15kWhといったあたり。自宅に充電環境がない人は職場で充電することになると思う。200Vの普通充電を使えば4~5時間の充電時間で済む。寄り道して200km走ったって8~10時間。自宅か職場の充電で足ります。

ちなみに毎日400km走るというのなら、10万円くらいで導入可能な6kW普通充電を導入するといい。10時間で60kWh充電可能。来年あたりから普及が始まりそうな電池容量30kWh程度の軽乗用車級だと(N-VAN e:は30kWhくらいらしい)、2時間の買い物や通院で12kWh充電出来る。お昼休みに6kWで1時間充電するだけで実質的に36kWhの電池容量になり、240kmくらい走れます。

総合して考えると、国が税金を使う補助金で250kW級に超高速充電器を設置するなんて超ナンセンスだ。電気自動車の充電インフラで真っ先にやるべきは、公共の駐車場に安価に導入出来る200V普通充電を増やし、病院やショッピングモール、ゴルフ場、テーマパークなどは6kWの普通充電を増やしたらいい。コインパーキングも6kWを。

超高速充電器はお金持ち用の電気自動車を販売している企業が独自にネットワークを作ればいいだけ。それこそアメリカに於けるテスラのスーパーチャージャー相乗りの如く、日本でも同じことをやればOK。ということを書いても国は利権が大きいのか、超急速充電器に補助金を出そうとしている。国はもう少し本当の意味での専門家に話を聞いた方がいい。まぁ無理か。

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4 Responses to “高性能の急速充電器、そんなモン作ること自体がECOじゃないことに国は気付かないのか?”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    率直に言ってEVは、エネルギー供給面でエンジン車に大きく劣る。今のEV車は、自宅充電の専用車くらいに思っています。

    逆に全固体電池が名目どおりの性能を発揮するようになったら、エネルギー条件が大きく変わるため、今の想定レベルでは到底届かない。

    日本は日本で欧州や中国に惑わされずに、本音で現実的なモバイル&エネルギー戦略をしっかり立てるべきだと思います。

    もっとも、今の腑抜け首相と官僚には、無理だと思いますが。。。

  2. z151 サンバー愛好者 より:

    「日本政府が誇る専門家」の先生方の顔も名前も判りませんが、凄く権威ある人たちなんだろうなと勝手に想像しています。

    もうずいぶん昔の話ですが、私がとある勤め人だった頃、東大生のアルバイトを監督・育成する立場にされたことがありました。
    ええ、バチモンじゃなくあの東京大学です。「下暗し」の方でもなく(笑)。
    接客も絡む仕事だったのですが、残念ながらその子にイロハを教える前に「自分、この仕事に向いてません」と辞められてしまいました。
    まあ偏差値73とかの人が時給数百円(当時)でやる仕事じゃないよね。
    その時思ったのは「頭がいいからといって必ずしもセンスがいい訳ではない」ということ。
    まあそりゃそうです、だったらオリンピックメダリストだって日体大出身より東大出身が多くなる筈。
    日本のトップランクの大学ですが、世界の大学レベルで考えると概ね25~30位くらい。
    翻って彼らがやがて「権威ある専門家」になっていったとしても社会に出ることはほぼ皆無。
    つまり「○○の専門家」ではあるものの、現場レベルの経験はほぼナシ。
    本で読んで泳ぎ方は勉強していても、実際に水に入って浮いたこともないという感じ。

    率直に言わせていただくなら、今の政府が補助金出しているような分野って、ほとんどが「昼行燈みたい」なもの。
    このチグハグな感じ何故だろうと、頭のいい人たちがあれだけ集まってどうしてそういうアウトプットになるのか、本当に首を捻ったまま元に戻らなくなりそうです。

  3. 北東北の者です より:

    セカンドカーとしての用途であれば普通充電のみで問題ありませんが、地方では日帰り300キロの移動がザラにあり、リーフだとプラス100キロ分の急速充電に30分なんて、実用になりませぬのでアウトランダーPHEV。BEVなら200kW級充電器が必要なので、いま電気自動車買うならNACSのモデルYかなと。宿泊先の駐車場には普通充電器が必要。

  4. tonpochi より:

    日本人の平均移動距離は20km/日未満である。つまり4kwh/日程度しか消費しない。であれば20kwhの電池を搭載していれば日々の移動は殆ど足りることになりますが、スマホのように毎日充電するのは面倒くさい。
    そこで考えられるが軽くて安いペロブスカイト太陽光電池。ルーフとボンネットに1kw程のパネルを搭載すれば晴天であれば余裕で1日分の電力を充電できます。
    問題はGW、盆、SW,、年末年始の民族大移動。移動距離は数百km以上となります。この時に交換式のレンタルバッテリを追加できるようにすればいいんです。
    SA、PAには急速充電器ではなく共通規格の電池交換ステーションとそれを充電する設備が有れば効率よく計画的に運用できます。或いはガソリンスタンドが交換ステーションになればいいのでは?

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