EVは簡単に作れる?
最近いろんな人から「EVの時代になれば家電メーカーがクルマを作れるようになりますね」みたいな話を聞く。先日もベンチャー企業の方から質問されました。どうやら著名なアナリストに聞いたそうな。その根っこを探るとアメリカの『テスラ』にたどり着く。徹底的にイメージ良いらしい。
ちなみにテスラとはロータスのシャシに台湾製のモーターと、日本製のリチウムイオンバッテリーを搭載したスポーツタイプのEVで、航続距離350km。最高速200km/h。0〜100km/hは3.9秒という素晴らしいパフォーマンスを持つ。価格は邦貨にして約930万円。すでに大量のバックオーダーを抱えている。
こいつを見て「凄い性能だ。EVはベンチャーや家電メーカーにもチャンスある」と評価したワケだ。確かにテスラのような1000万円級のEVなら、少ない投資額で作れるだろう。けれどロータス・エリーゼというバスタブタイプのボディ構造を持ち、しかもガソリン車なら700kg台も可能という軽量なシャシが無かったらどうか?
おそらく実現は不可能だったろう。後続距離を伸ばそうとすれば、チカラ任せにバッテリーを搭載すればいい。テスラはiーMiEVの2倍を超える(300kg以上)のバッテリーを搭載しているハズ。クルマ感度の低い人からすれば、見えるのは1)走行可能距離。2)性能。終わり。なんだと思う。バッテリー搭載量や価格など見ない。
クルマの難しさは「安全を確保しながらコストを低減する技術」にあると考えていい。モーターとバッテリー、インバーターという電気系の部品だけ揃えてもクル
マなど出来ないということです。テスラだって独自のシャシを開発するということになれば、莫大なコスト増を覚悟しなくてはならない。200万円でEV作るのは難しいです。
テスラのようなクルマ作りをするなら、ロータスのようなバックヤードビルダー規模が限界だと言う
ことです。も少し詳しく書くと、ロータスだってエンジンとミッションはトヨタから買っている。テスラが商売になると見切ったらロータスだってEVセットを購入してEVのスポーツカーを作るだろう。そうなればブランド弱いテスラなど買わぬ。
家電メーカーやベンチャーが自動車に参入するには非常に難しい。「無理」と言っていいかもしれません。というか自動車メーカーってそんな弱くない。
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新興国だったらできるかもしれません。日本車のパクリが多いですが、10年も経ってないうちに、電池メーカーのBYDも車作れるようになって今しっかり成長しています。初めてのマイカーに対しての憧れが大きく、自国ブランドに寛容な心を持っているお客さんに売ればいいということです。
今の時代PLなどは昔より厳しく、車のノウハウがないことで発生する安全に関わる品質問題がマスコミに無限大に拡大されてしまう可能性もありますが、ある意味で伝統ガソリン車などに比べて仕上げしやすく、韓国の自動車メーカーのように後発してある程度のシェアを取れるシナリオも考えられるではないでしょうか
デジタル時計が全盛期の1980年代に
家電メーカーが一斉に参入してきましたが
カシオ以外の異業種は、とっとと退散してしまいました。
同じように、一人乗り電気自動車が流行った2002年ごろ、
チョロQやゼロスポーツが参入しましたが
やはり生き残っている会社はトヨタ車体(旧アラコ)だけ。
早まったベンチャーが出てくると
これと同じ状況になるのでしょう。
堅実に電池ビジネスだけに専念したほうが
家電メーカーには旨みは多いでしょうから
こちらは参入してくることはないと思いますが。
自動車の専門家ほど電気自動車は疑問だと考えているはずです。特にメーカーのお偉いさんは小回り効きませんから、ベンチャーでなんとか小回りを効かせようという話になるのでしょう。
きっと韓国や中国の自動車メーカーが電気自動車の先導をとってくるでしょう。彼らは高度なエンジン、ミッション技術を持ち合わせていませんから、それらを捨てて電気一筋ということもあり得ます。
日本のモータ技術と比べたら彼らの技術は大したことありませんが、粗削りのまま製品としてどんどん出してきてしまうでしょう。
日本メーカーのアイデンティティって?と考えると若干将来が不安になります。
昔はアメ車、最近は欧州車を模範として車作りをしてきた日本はこれからは、先導をとるべきだと思うのですが、日本にはその勇気がないですね。初代プリウスで半歩踏み出した気はしますが、それ以上のことはできていません。
家電メーカーが乗用車を簡単に作れると思っている人には、『クルマはかくして作られる』三部作を読んでもらったほうが良いかもですね。
>>家電メーカーやベンチャーが自動車に参入するには非常に難しい。「無理」と言っていいかもしれません。というか自動車メーカーってそんな弱くない。
少なくとも自動車会社の方はこんな慢心は持っていないと思います。
隆盛を誇った産業でも環境が変われば、廃れていきますし、主要技術を握った会社が自動車会社を飲み込むこともあるでしょう。
20年前、ソニーやパナソニック(松下電器産業)が一眼レフ・カメラを作ることを誰が予想していたでしょうか。もちろん、ビデオ・カメラをその当時作っていましたが、キャノン、ニコンのカメラの世界に参入するなんて誰も考えられませんでした。
電気自動車産業に異業種が参入するビジネス・チャンスは、十分あると思います。バッテリはもちろん、モーターも現在の水準をはるかに越える製品開発する環境が、自動車メーカー以外にも平等にあるからです。
ソニーはアメリカ、カシオはイギリスに自動車工場を持つなんて時代が20年後にくるはずです。さすがに、トヨタが1億画素の立体カメラを発売するなんてことはないでしょうが。
現在、家電業界が自動車を作れる力を持っているとは思いません。でも今後家電業界が部品メーカーに甘んじるとも思えません。何故ならば、家電市場よりもはるかに大きな市場になる可能性があるからです。
自動車メーカーから言えば、最新鋭の部品を安価で安定供給が出来る家電メーカーを囲い込みたいでしょうし、家電メーカーから言えば、有利な価格で買ってもらえるメーカーに供給したいと思うでしょう。なかには自動車メーカーを傘下ににおきたいとも思うところも。(三菱自動車は格好のターゲットになるのでは?)
自動車メーカーの浮沈は、世界で最も優れたバッテリーとモーターを使うことが出来るかどうかです。
トヨタだってそれに乗り遅れると沈むこともあるのではないでしょうか。
EV化によって今までのメーカーの序列が崩壊する可能性だってあるし、家電メーカーとのボーダレスな再編成だってあり得る。又、EV化の混乱に乗じてベンチャー企業がメジャーに変身することもあると思います。
EV化は自動車の大革命だと思います。
ですから、EV化によって「自動車は家電製品の一部」という著名な経済学者がTVで言っていましたが、そんな簡単なものではないと思います。
『クルマは家電量販店で買え』ではありませんが、
今後、他業種メーカーが参入してくる=EVの値段が下がる
にならない限り、EV普及とならないかもしれません。
少なくとも、半導体メーカでないソニーやカシオ参入はないでしょう。
日立や東芝、せいぜいパナソニックあたりなら解りますが。
逆に、台湾勢も強いかもしれません。EeePCみたいなことが起こる可能性も否定できないと思っています。