トヨタのハイブリッド戦略&なぜ益子さんが出てこない?(27日)

日本と北米市場を除けばトヨタのハイブリッドはほとんど売れていない、と一昨日書いた。ガソリン価格の下落と共に、一段と厳しい状況になってます。トヨタも危機感あったのだろう。昨年10月に中国で発売されたカローラ・ハイブリッドの価格を見てたまげた! 1800ccエンジンを搭載するカローラの価格は約264万円。なのにプリウスと同じ1800ccハイブリッドが245万円だったのだ。

普通エンジンのカローラはさらに安価な1600ccからラインアップされたり、若干装備内容を落としている、という状況もあるけれど、スターティングプライスが普通のエンジンより安いというのは中国人の経済観念に火を付けた。日本の場合、ハイブリッドの方が30万円高くたって売れる。アメリカなら確実にダンピングと言われてもおかしくないくらい「やぶれかぶれ」の価格設定です。

おそらく中国市場で勝負に出たんだと思う。気になるのは売れ行き。同時に「レビン」(カローラと同じ4ドア)も出したのだけれど両モデル合わせて半年で(2015年10月末の発売)4万台の受注になっている。日本から輸入していたため関税が必要となり、結果400万円以上していたプリウスが全く売れなかったことを考えれば大きな進歩と言ってもよかろう。

先日私が間違えたPHVは、プリウスでなく現地生産のカローラとレビンにPHVを追加するというモノ。戦略的な価格を付ければ、ある程度の台数が出るかもしれません。といった意味からすると、トヨタは新しいハイブリッドの訴求を始めたということになる。私の直感だけれど、ハイブリッドをスタンダードのパワーユニットにしようと考えているのかもしれません。

だとすればアメリカ市場では「100km/hまでの加速が良いハイブリッド」が。ヨーロッパ市場だと「200km/hの巡航性能持つハイブリッド」が必要。こういったハイブリッド出てくれば、トヨタの世界戦略は凄いと思う。コストダウンの成果は日本にも還流し、普通のガソリン車の10万円高くらいで買えるようになるかもしれません。そしたら普通のガソリンエンジンは勝負にならない。

三菱自動車の燃費不正問題、クルマ好きからすれば20日に表面化して以来、初めて前向きの状況が出てきた。相川社長は27日の夕方「自動車業界からの撤退は考えてない」とコメントしたのである。これは現在三菱車に乗っているユーザーからすれば最も心強かったと思う。正直な話、私もアウトランダーPHEV買ったばかりなので、どうなっちゃうか心配でした。

冷静になって考えてみれば、日本に於ける三菱自動車の販売より海外の方が圧倒的に多い。今や軽自動車の水島工場を除くと最も大きいのはタイ工場。しかも今回の問題、海外であまり大きな問題になっていない。軽自動車部門の売れ行き減だけしのげれば、何とか立て直せる可能性あります。ここで非常に納得出来ないのは、益子会長が全く出てこないこと。

益子さんのポジションはCEO。ゴーンさんと同じ最高経営責任者であるし(相川さんはCOOで最高執行責任者)、そもそも問題になっているeKワゴンとデイズは益子さん時代に開発されたクルマである。本来なら当時の事情も全て知っているCEOが出てこないとおかしい。悪い部分を全て取り除き、何とか三菱自動車が収益を上げられるようになるまで頑張って欲しいと思う。

・追記 益子さん辞任の件は三菱自動車の発表ではありませんでした。

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