車屋四六の四方山話/第二次世界大戦開戦時点で最も優れた戦闘機は間違いなく零戦だった

ドッグファイト=格闘戦。格闘戦のスターといえば戦闘機だろう。第二次世界大戦=WWⅡ中の代表選手は、独メッサーシュミット、英スピットファイアー、米ノースアメリカンP51(高性能版P51後期型登場は戦争後半)、そして日本のゼロ戦だった。開戦直後この四戦闘機が戦えば、間違いなくゼロ戦が優勝しただろう。

それほど強かった。論より証拠と言うが、米軍はゼロ戦との格闘戦を禁じた。ゼロ戦1機に対して米機1~3機なら逃げろ、4機なら攻撃してよい、但し格闘せず一連射して逃げろという命令だった…速度だけは米機が速かったのだ。

多分ラバウル基地/増槽付だからポートモレスビー豪州軍基地攻撃か

米軍がゼロと呼ぶので、日本人がゼロ戦と呼ぶようになったのはWWⅡ以後のことで、正式には零(レイ)式艦上戦闘機だが、戦中の報道では海軍新型戦闘機だった。敗戦で、日本軍の兵器は破壊するか敵国に引き渡した。その中のゼロ戦が米国で飛べる状態までにレストアされた。

1942年4月米空母ホーネットを発艦し日本初空襲を敢行したのがB25

ロサンゼルス近くのチノ市に航空博物館がある。世界各国の名機が復元展示され、料金払えば飛んでくれる。私が乗ったコンソリデイテッドB24リベレイター爆撃機は、ワンフライト800ドルだった。

チノ空港着陸寸前に機首銃座から撮影。

1998年にチノの博物館で、復元したばかりのゼロ戦に出会った。尾翼に旧海軍の所属識別番号・X-133が。帰国してから、ふと見たNHKーTVのニュースで、X-133が飛んでいる。ナレーションでは、サンタモニカ航空博物館に向かって飛行中とのことだった。

ゼロ戦は、三菱の堀越二郎技師の傑作で昭和15年に完成、太平洋戦争では真珠湾攻撃から終戦まで活躍し、最後は特攻機として務めを果たした。全長9mx全幅12m・自重754kg/全備重量2412kg・発動機{栄/中島製}空冷星形14気筒940馬力・最高速度533粁・航続距離2220粁(+増槽付3350粁)・7.7㎜機関銃x2・20㎜機関砲x2(最終型の栄は1130馬力・最高速度565粁)

独軍メッサーシュミット戦闘機/スミソニアン博物館

①後方視界良好な房滴型風防はゼロ戦で登場し以後世界が真似た。②落下型燃料タンク=増槽もゼロ戦で登場し世界中が採用し航続距離を伸ばした。

英軍スピットファイアー。両機操縦席後方はプレーンバック

長い航続距離は日本戦闘機のお家芸。欧米の開発コンセプトは300粁強先の戦場で30分戦闘後に帰還=700粁+30分だから、ロンドン空襲でドイツの爆撃機は護衛戦闘機なし、また連合軍のドイツ奥地爆撃も護衛なしだから双方被害甚大だった。

真珠湾攻撃と同じ頃、日本軍のマニラ空襲にもゼロ戦がいた。空襲後、米軍は血まなこでフィリピン近海の日本空母を探した。彼らの常識では、1000粁離れた台湾から戦闘機が往復するはずがなかったのである。

ノースアメリカンP51ムスタング後期型/パリのブルージェ博物館で/分捕りゼロ戦を研究後の改変で房滴型キャノピーになり増槽装備で航続距離伸びてドイツ全土の爆撃機援護が可能になった。

さて、米国には飛べるゼロ戦が数機あるが、栄エンジン搭載は1機だけと聞く。他は米国製プラット&ホイットニー/P&W R-1830・空冷星形14気筒・1200馬力なので、発動機のカウルが少し太っているが、並べなければ判らない。<車屋四六のブログ

<おすすめ記事>

2 Responses to “車屋四六の四方山話/第二次世界大戦開戦時点で最も優れた戦闘機は間違いなく零戦だった”

  1. 裸の将軍 より:

    2023年現在、過去の栄光に溺れ、現状を理解できず
    「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
    賢者は圧倒的に少数
    太平洋戦争当時もそのことを理解してた民は「非国民」と罵られ、主張はいつの時代も当時は理解されることはない
    ホンダと日本の凋落、現状見事にシンクロしている気がします
    国沢さん、がんばれー

  2. z151 サンバー愛好者 より:

    時代は80年前であり、対象が戦闘機であるものの、起こっていることはまんま2次電池の開発競争と同じ根っこということですね。
    開戦前夜もしくは開戦直後は「世界一の性能」だった零式戦闘機ですが、物凄いレベルの開発力と工業力であっという間に旧式に。
    「終戦に間に合わなかった」とされる紫電改がもし間に合っていたら?
    …ジェット戦闘機の時代になっていき、やはり大勢は覆らなかっただろうと思います。
    それに機体を生産できても、ドッグファイトできるパイロットがもういなかったでしょう。

    帝都の大本営は100年前から基本的に進化していない、進化を拒絶しているともいえます。

    三元系リチウムイオン電池が三菱零式戦闘機とすると、リチウム鉄電池がグラマンでしょうか?後にヘルキャットとか出してくる前段階の。
    現代の2次電池開発戦争ではアメリカではなく中国というのが色々考えさせられます。
    でも20年後ならインドが経済の主要キャストになっていてもおかしくなかったりして。

コメントを残す

このページの先頭へ