最大のスポンサーになっているトヨタ、オリンピック関連を宣伝素材にしない

トヨタ自動車が東京オリンピックについての宣伝を行わないことにしたという。このニュースを受け、皆さん「良いことだと思う」という評価をしているようだ。この手のニュース、普通なら賛成反対入り乱れるものだけれど、見事なくらい「間違った判断である」という意見は少ない。むしろ現在進行形でオリンピックを宣伝として使っている企業に対する風当たりが強い。

クルマ業界の人なら御存知の通り、トヨタ自動車は2015~2024年までの10年契約になる『ワールドオリンピックパートナー』という1社限定の最上位スポンサーだ。スポンサー料は年額およそ200億円だから総額2000億円。もちろん東京でオリンピックを行うことにリンクしている。そして2014年3月に豊田社長が「2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会・副会長」に就任した。

章男さん、モータースポーツだけでなく普通のスポーツに対する造詣も深く、御自身のSNSでもトヨタ自動車でサポートしている様々なスポーツを紹介している。依然として企業がバックアップしていかないと予算的に厳しいスポーツって多い。スポンサーに文化は支えられてます。利益を出している企業は積極的にスポンサーになって欲しいと思う。

前述の通り国民的な視線になればトヨタのオリンピック離れは英断である。けれど企業的に考えれば東京オリンピックのために最上位スポンサーになったのだから、宣伝に使わないのはもったいない、という声も出てくるだろう。東京オリンピックを宣伝に使い続ける企業はそういう選択になったんだと思う。企業毎の判断なので私は仕方ないと考えます。

ただトヨタ自動車の根っ子は「顧客第一主義」。東京オリンピックについて言えば顧客の支持を得られないと判断したんだと私は思う。もっと言えばここでオリンピックを宣伝材料として使ったってプラスイメージにならない。オリンピック終わって頑張った選手を激励してあげれば100点だ。今年分の200億円だけ諦めればいい。

もっと深く考えたらプロモーションに使わないという判断そのものが200億円分以上の「良く判断した」というブランドイメージになるかもしれない。実際、多くのメディアでトヨタを取り上げており、顧客層も「トヨタさすがだ!」という評価になっている。車両提供などもムダな投資になってしまったかもしれないが、天候不順の農業や不漁に出くわした漁業と同じだと思って諦めればいい。

そうそう。豊田章男さんは2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会・副会長になったと前に書いた。2014年3月のことです。そして2015年12月に辞任している。辞任についての正式な理由説明はなかったけれど、2011年からのモリゾウウォッチャーとしては「組織を見てイヤになったんでしょうね~」。自動車業界は政治的なドロドロなど付き合いたくない。

豊田社長、開会式も欠席です。興味深いのは皇族の方々。宮内庁によれば陛下こそ名誉総裁になっているためお出になられるようだけれど、皇族の観戦は全て見送られるという。興味深いのは「見送られる」で十分だと思うのに「全て」と強調している点。やはり皇族は国民のお手本という認識を持たれているんだと思う。政治家のドロドロをここでも感じます。

<おすすめ記事>

コメントを残す

このページの先頭へ