ロータリーエンジンはマツダの主軸になるだろうか? どう考えても難しいと思うのだけれど……
マツダのCTOである広瀬さんは先日開催された『マルチパスウェイ・ワークショップ』で、トヨタの新世代小型エンジン、スバルの主役となるストロングハイブリッドと同じようにロータリーエンジンを披露した。メディアは「2ローターもあるぞ!」とはしゃぐ。本当にロータリーエンジンは二酸化炭素という敵を倒す戦力になるのだろうか? ナニを隠そう最初に買ったクルマがSA22C(サバンナRX-7)というロータリー好きの私が可能性を考えてみたい。
広瀬さんのCTO就任は丸本前社長が決めた
最初にレシプロに対するロータリーエンジンの優位性を挙げたい。1)小型軽量であること。2)振動を伴わないこと。3)どんな燃料でも使えること、の3点でいいと思う。1)についていえば、PHVやレンジエクステンダーを作る際、発電機のサイズをコンパクトに出来るという優位性を持つ。実際、MX-30ロータリーEVに搭載されているシングルローターを見ると「小さいね!」と思う。さらにシングルローターでも通常回転になれば振動を出さない。
3)も広瀬さんが強調していた。水素でもガソリンでもeフューエルでも燃やすことが可能。以前、テストコースでガソリンと軽油を混ぜた燃料など使ってみたところ、何とか走れましたね。水素やeフューエルなら普通に回る。ということで電池搭載量の多いPHVの発電用エンジンとして使うなら、燃費が極端に悪いという弱点を持っていても長所を活かせるということなんだと思う。実際、200km走れる電池を搭載すれば、ほぼ使わないで済む。
今やレシプロもコンパクトになった
次に公平さを追求すべく弱点を挙げておく(燃費の悪さは書いたので忘れる)。MX-30ロータリーEVで一番気になったのがエンジン音。ロータリーエンジン、ローター数が増えれば音はドンドン良くなっていく。3ローターとか4ローターの音ときたらシビれます。ロータリー好きの私に言わせれば、防音カプセルの中に閉じ込めればいいと思うのだけれど、そうするとロータリーエンジンの楽しさ(独特のエンジンフィール)が無くなり本末転倒ですね。
さらに深刻なのは排気ガス規制。ホンダのCVCCと並んで米マスキーを一番乗りでクリアしたロータリーエンジンながら、これから始まる規制はそう簡単じゃない。ガソリンを燃焼して出る排気ガスだけでなく、エンジンオイルも燃えており、それの処理だって必要。冷間始動になると触媒だって暖めなければならない。そういったことを総合して考え、トヨタは3気筒でなく4気筒を選んでいる。もちろん今やレシプロだって様々な燃料に対応出来るし。
つまりレシプロエンジンは1970年のマスキー法開始から多くの自動車メーカーの技術者の手により55年間進化してきた。一方、ロータリーエンジンといえばマツダだけの開発である、途中長い時間のブランクもある。ロータリーエンジンの長所と言われてきたことをレシプロもカバーしていると考えていいだろう。むしろ厳しい排気ガス規制『ユーロ7』のクリアなど考えればロータリーエンジンの法が乗り越えなくちゃならないハードルは多い。
当然ながらロータリー直結駆動モードあり!
そして決定的なのは熱効率だと思う。アメリカで必要になってくるのは電気自動車プラットフォームのハイブリッドとPHVだ。ハイブリッド用のパワーユニットとしてロータリーエンジンは100%使えない。燃費が悪すぎるからだ。PHV用の非常用発電機としては有用。ただ有利な状況は非常に限られると思う。本来なら500km走れる電池を半分降ろして発電用エンジンを積むとしよう。毎日の走行距離が200kmまでならレシプロでもロータリーでもOK。
それ以上になると燃費の悪いロータリーエンジンは厳しい--ということを毛籠さんは認識しているに違いない。毛籠さんが考えているロータリーはマツダの次期主軸で無く、マツダの象徴かと。すなわち作るとすれば2ローターのスポーツモデルです。少量生産で趣味性の高いクルマ用として考えるなら、大いにアリだと思う。このあたり、意地でもロータリーと考えている広瀬さんと毛籠さんは少し温度差があるように見える。いずれにしろ主役にはなれない。
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クルマにはワクワクドキドキが必要で、ロータリーエンジンはまさしくワクドキの象徴だと思います。
これまでコスモスポーツやRX-7だって、マツダの主力ではなく象徴でした。販売の主力は、レシプロのファミリアやカペラでしたよね。
マツダは、象徴と現実路線の両方が噛み合うと、とてもいいクルマを出してくれるメーカー。マツダ社長には、大いに期待しています。
よく分かる解説、ありがとうございます。勉強になります。
たしかにPHEVスポーツカー限定なら象徴としてのロータリーはアリですね。
※それだけしか用途がないという厳しい現実はさておき…
いっそのこと、旅行用ケース位のサイズに全て収まるようにして簡単に脱着可能な発電ユニットというのもいいかもしれませんね(笑)
BEVとして売りつつ、航続距離に不安のあるユーザー向けにメーカーオプションで発電ユニット(脱着可能)を提供とか(笑)
法規の問題は置いといてですけども。
RE駆動に対してスポーツカーに限定しても反応するのは今の50代より上の人とカー雑誌に関わる評論家の人だけではないでしょうか。
ほぼATしか運転したことがなくまたBEVのスムースさを経験したことのある人にとってRE駆動のアドバンテージを思い浮かびません。
但しRE-EVはトランスミッションをもたないシンプルさとコンパクトさに価値があるのかも知れないなと思うレベルです。
マツダのブランドイメージ向上策として、スポーツモデル用の2ローターは良いかもしれませんね。発電専用でも良いと思います。
ロータリーエンジンの話題が出るたびに、どこか別の会社もローターリーを開発して切磋琢磨していたら、もっと認められるエンジンになっただろうなと思います。特に、アペックスシールが何とかなれば、圧縮が上がりオイルも燃えなくて済んだのにと考えています。燃えちゃうオイルも植物性の物で何とかなったら、カーボンオフセットの考えが使えたかもしれません。
レシプロエンジンだって、可変バルタイやEGR、トランスミッションやHEVシステムが無かったら、早いうちにEV(電気モーター)に置き換わっていたかも…。
そんなこんなで「主軸」にはなれないのですが、そんなにローターリーエンジンをマツダ自身が大事だと思うなら、今走っているRX-7やRX-8が現存・保有できるようにパーツの再生産をしてくれよと思います(笑
2ローターの少量生産スポーツ、電気の力を借りて9km/Lくらい走れば合格でしょうか?
ちなみに純エンジンの718GTS4.0は街乗り8.5km/L、高速12km/Lくらいです。
FD1型には24年間も乗ってましたが、コンスタントに6km/L以下でした。
RX-8に乗ってます。
REはマツダのシンボルであり呪縛。
REスポーツを望む声がありますが、量産するには開発費や型費の償却を考えると1,000万円超えは必須、2,000万円を超えるんじやあないかな?
まあ、それでも量産するならレクサス LFAみたいな存在でしょうか?
REのシンボル的存在。
若年、高齢の普通のサラリーマンが手にすることのできない超高嶺の花。
でも現実的なPHEVにするならATしかなく地面に直接REのトラクションを書けることはないRE車、そんな車REマニアは欲しくないだろうし、そんな車になったらマニアも評論家も批判だけでしょ?(笑)
REのトラクションで甲高いサウンドで走るREエンジン車はRX-8が最後だと思いますよ。
もうロータリーはイタ車のスーパーカーみたいに一部の金持ちが買える趣味の車で良いんじゃないですかね?
効率とか言ってたら絶対に使えないエンジンですから。
燃費や効率ではレシプロエンジンに勝てないし、モーターのように回るとか言ってもEVのスムースさには勝てないし。いっそミツオカあたりにデザイン外注して好きなように作ってオロチみたいなスポーツカー?で¥3000万円とかで良いんじゃないかな?誰も買わないだろうけど。