振り子式特急に乗ったら、解らないことだらけ。鉄道ファン、追求が足りないっす

燃料電池船の取材に行った際、博多駅から小倉まで『ソニック』という特急に乗った。するとどうよ! コーナーでバンクする振り子式である。この手の鉄道車両、初めて乗ったのは1976年のこと。『しなの』という特急です。調べてみたら『381系』という日本初の振り子式列車らしい。これ、コーナーで妙な挙動を出す。当時すでにバリバリのバイク乗り。”傾き”は慣れてる。

少しばかり子供っぽいデザインです

されど381系、コーナーに入口で少し外側へのロール傾向となってからグイッと傾く。パッシブ(受け身)制御ですね。最大バンク角は5度とのこと。S字カーブの切り返しなど、けっこう激しい挙動になる。そらそうだ。そもそも線路自体に『カント』という傾きが付けられている。狭軌を採用しているJRの場合、最大5.6度とのこと。つまり振り子式だと最大10.6度になる。

S字の切り返しだと行ってこいのため21.2度ということ。体に感じる横方向のGは少ないけれど、車両後方席に座っていると、風景の傾きが21.6度も変わる。こりゃ気持ち悪くなるでしょう。ということで883系と呼ばれるソニックです。どうやらアクティブ制御を行っているらしく、381系で気になるコーナー入り口の妙な挙動無し。滑らかに倒し込んでいる。

後で調べたら線路に設置されている『ATS』と呼ばれる信号装置から情報を読み取ってバンクさせるのだという。最大バンク角はどんなモンかと調べてみたが、情報無し。鉄道ファンは気にならないのだろうか? また、速度によってカント+バンク角が作る最適の総合傾き度は変わってくる。これをどうやってコントロールしているかについて調べた人もいなかった。

おそらく開発の狙いはバイクやヒコウキと同じくカーブでも横方向のGを感じさせないことなんだと思う(レールに対する横方向のGは通常車両並)。381系のように自然な振り子運動をさせてやれば速度による傾きが釣り合って横方向のGがゼロになる。アクティブ制度すると調整をGセンサーなど使って行うか、プログラムで決めるかになる。どうしてるんだろう? 御存知の人、いますか?

クルマもカメラと速度で適正な数値をプログラムして(1990年代のアクティブサスはコーナーの先読みなんぞはしていないから今の技術ならパッシブですね)振り子のような役割をする制御を取り入れたら横方向のGを感じさせなくなり、ゲロ吐く子供を減らせられるかもしれません。

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10 Responses to “振り子式特急に乗ったら、解らないことだらけ。鉄道ファン、追求が足りないっす”

  1. 1701F より:

    いろいろ検索で出てきましたが、これですかね?
    1)目標傾斜角は文献「低コスト振子制御システムの開発」(検索ででてくるリンクをクリックするとダウンロードされます)の図3
    2)実際に採用されている目標傾斜角は下記文献中、表3のCAモード
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic1979/53/496/53_496_2588/_pdf/-char/ja

  2. Tomo より:

    名古屋まで初代振り子式『しなの』乗りましたね~
    確か・・・中央西線が電化されてディーゼル式特急から変わった時だったような?
    三半規管にダイレクトに訴えてくる傾きは、ゲロ量産機でした。

  3. まどか より:

    関係ないけど、P3Cは最大バンク45度までらしいです
    今はほとんどが電子制御なんですね

  4. やま より:

    私は繁忙期のしなの(381系)に座れず、立って乗りましたが、しっかりと酔いましたね。

    381系は特に制御はしていなくて、遠心力によって傾けるだけです。
    ですから、高速で急カーブほど傾いて低速の場合は傾きません。

    ソニック等の新世代は381系の自然振り子作動に、ダンパー等で制御(どちらかと言えば
    傾きすぎないように振り子装置にブレーキしている)を加えています。
    それによってカーブの傾き加減やS字カーブ等におきる変に感じるのを押さえています。

    制御は基本的にセンサーで走行位置を検出していますが、そのセンサーは主に信号機に
    使っているATSだったり、専用な物を設置したり、GPSもあったような。

    中には、先頭車両をセンサーにしているものもあります。(その場合は先頭車だけ変な動き
    になる)

    最新の物(新幹線やあずさのE353系)は遠心力に頼らずに左右の空気バネをパンクさせたり
    加圧して傾かせています。

    傾斜角度は車両限界(あまり傾きすぎると架線柱やトンネル壁に接触するので)の関係で
    5°が最大なようです。
    それでも、明治期のトンネルは断面が小さいので、あずさは相模湖のあたりは振り子を
    殺していると思いました。

    基本的に動作をプログラムして走っているので、その線区以外で走るときは制御を殺して
    走ります。

  5. Tatsuya より:

    電車の振り子は
    重心を普段より
    更に外へ変位させてるから、
    していない時よりも
    軌道に掛かる力は増えてますよ。
    そこに当初目的のスピードアップまで
    させるので、かなり増大です。

    バイクのように重心を内へ倒し込めてはいないので、
    乗り心地のために横G消しは
    出来てますが、全体状況は違います。

  6. yasgur より:

    ソニックの振り子をちゃんと体感するなら小倉からではなくて中津から大分を往復してください
    初見の子供は必ず吐き戻しますし、週刊誌や新聞を読めば確実に気分が悪くなります

  7. あかてぃ より:

    他の方が言及してますが、傾斜角度の制御は行いません。

    振り子機構による傾斜角度は5~6°に決まってると思い込んでた(?)ので、
    国沢さんのように考えたことはありませんでした。
    非振り子の車両より遠心力の外側に重心がかかる構造となり、軌道への負担が大きい。
    架線とパンタグラフの離合への対策なんかで妥協で決められたそうです。
    近年は、構造が複雑な振り子の代わりに台車空気ばねの加圧を行うアクティブサスが主流ですが、
    傾斜角度は控えめで意欲的ではないですね。
    ただし、アクティブサスへの圧縮空気の供給量が予想以上で容量不足と判明したことから、
    再度振り子を採用する例もあるようです。

    一時期、JR北海道が振り子にアクティブサスを付加して最大傾斜角8°を目指したことがありましたが、
    事故多発による施策見直しで開発中止になりました。

    381系のS字カーブでの揺れか~。伯備線の特急やくもの置き換えまでに一度体験してみたい。

  8. bj より:

    曲線の半径と傾斜から、速度や望ましい動作角度は単純に出せます。
    それだけだと乗り心地が凄まじく悪いため、遠心力の変化や切り返しを感じにくくする動作調整プログラムを、年単位の時間をかけて作りあげています。
    走るルートが半永久的に固定されてるから出来る手法ではあります。プログラムがない区間や路線を走るときは振子の動作止めてますしね。

  9. hssakamoto より:

    まず、381系の5°から基本的に変わっていませんので、追求が足りないのではなくて、コロやガイドベアリングの振子は5°が常識であるという認識があるため、調べる必要がありませんでした。

    なので最近の振子を制限した381系1000番台が3°であるとか、空気バネ制御式が2°であるとか歴史が浅いものはわざわざ書いてあると思います。

    この5°という数字は381系の元ネタに当たる591系試験車で6°を採用して長期試験を繰り返した結果出された結論で、これ以後5°以上を採用したのはJR北海道で先日廃車された高速試験車の6°(ベアリングガイドのみの数字)のみです。

    仕組みについても鉄道ファン誌で振子車両というタイトルで特集された号が存在してますので、そちらを見れば詳述されています。

    ざっくり言うと、ATS地上子の位置と定期走行線区全ての線路配置とレールの長さ·車輪回転数を制御装置にプログラムとして記憶させ、エアシリンダでカーブに入る前から必要な方向に予め押しておく事でカーブに入ってからの移動距離を短縮する事で揺れを軽減するというものです。

    検査で車体を持ち上げたり車輪を削り直したら数字が変動するので、営業走行中にはGPSと実際のATS地上子の位置を読み取り直して最適な振子制御を補正しています。

    で、博多~小倉間で振子を語らないで頂きたいです。そこは大阪しなのの名古屋以西やくろしおの天王寺以北と同じで振り子をフル稼働させていません。

    そこは振り子なんて無くても485系の時代から120km/h出せる区間です。他の方も指摘していますがソニックの本領は日豊線の大分県に入ってからです。

    あと振子車両の押圧はかなり大きいため、基本的に383系以降は自己操舵機能が付いている筈。

    バイクがタイヤ接地面を中心にバンクするのと違い、鉄道車両は振子の有無を問わず、車体の断面の中央部と台車中心線と車体部分の高さの中心が交差する点(381系なら正面から見てヘッドマークの中心点付近)を中心に傾くため、台車中心と車体中心は動かさず車体台枠付近(床面付近)が外へズレるので、どう足掻いても足元を掬われるような揺れが起こります。

    これが押圧を起こすので、一般車と同レベルという事は物理的にあり得ないです。

    この3月に運用開始した287系やくもはどういう仕組みか揺れないと絶賛されているようですが、それ以前の振子車はコロやガイドベアリングに常に乗っていて台車の横梁に車体が据わっていないため、曲線通過後の揺り返しも発生しやすい他、直線部で不安定な細かい横揺れが発生しやすく、381系は制御装置も高価な専用品のため加速力が良すぎて余計に不安定になりやすかったと考えられます。

    基本構造は2台エンジンの逆回転で安定させる気動車以外は変わらないので、どう足掻いても不自然な揺れが来ますし、バンクのバンクとは基本原理は全く違います。

    検証として書くのなら根拠もない自己判断で決めるのではなく、まず鉄道ファンに体験としてお勧めの区間をいくつか聞いてから体験された方が良いでしょう。

    その上で鉄道ファンを侮る記事が書けるか、もう一度考証してみては如何ですか?

    • NN より:

      博多〜小倉間は長い直線がある一方でR800以下の
      カーブも多く中にはR400のカーブもある。そういうカーブではしっかり振り子使ってる。少なくとも大阪しなのの名古屋以西やくろしおの和歌山以北とは全然違う。

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