どうやらトランプさんの落としどころは「工場をアメリカに作れば関税猶予」のようだ

日本からアメリカに輸出される台数は年間140万台ほど。1981年度の、アメリカが決めた”いわゆる自主規制”の時の台数は168万台。当時日本の自動車メーカーはアメリカで1台も生産していなかった。つまりアメリカで販売されている日本車が168万台だったということ。翻って2024年のアメリカに於ける日本車の販売台数は588万台である! 3.5倍になった。

そんな上得意から「もう少しアメリカでクルマを作って欲しい」と頼まれたら、ある程度聞くしかあるまい。半分の70万台程度はアメリカに生産の拠点を移すべきなんだろう。アメリカに対する投資になるし、雇用だって生む。ちなみに70万台以上は現実的じゃない。アメリカの工場を増やすの、日本勢だけじゃ無いからだ。GMもフォードもヒョンデも、です。

トランプさんの落としどころは「アメリカに工場を増やすなら関税を猶予する」ということになるようだ。とはいえ新たな立地を見つけ、サプライチェーンを作り、雇用をすすめるのは任期中じゃ無理。基本的に既存の工場の生産台数を増やすことになる。ここでメーカーによる「厳しさ」の差が出てくるかもしれません。余力あるの、トヨタ。資金だってある。

ホンダも資金あるが、発表済みのカナダ投資をどうするか? こらもうカナダ政府に頑張ってもらうしかない。辛いのが日産だ。日本だけでなくメキシコの工場も移転しなければならない。相当額の投資が必要。このタイミングだと辛い? 同じくマツダも負担大きい。日本からの輸出台数多く、メキシコ工場だってある。円高になると一段と資金繰りに困る?

スバルはアメリカで66万台を売り、29万台が日本からの輸出。こいつを半分くらいしなければならない。工場一つ作るか? スバルの問題はスバル本体より、北関東の産業空洞化だ。15万台規模の生産がごっそりなくなると、雇用やスバル関連で働いている人の仕事が無くなる。自動車産業に変わる産業が見当たらず。全国規模で70万台失うと影響大きいです。

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3 Responses to “どうやらトランプさんの落としどころは「工場をアメリカに作れば関税猶予」のようだ”

  1. 昔のベストカー読者 より:

    北米への輸出台数半減となると、マツダとスバルは国内軽カーに再度参入ってことになるのでしょうか?
    少なくともマツダはマツダ2クラスにもう1度注力して開発した方が良いと思いますね こういうクルマを持っていた方が不況期に強いですよ。
     国内需要の40%が軽カーですよ この先この数値はもっと上昇しそうです 日常生活の道具としてのクルマなら現行の軽カーバリエイションなら充分ですね
    需要が在るのだから利益があまり見込めなくても造るべきです これをやらないと またリストラの嵐が吹きますね。
     

  2. Jun より:

    トランプサポーターへの分かりやすい”成果”と言うか、某芸人さんの、海で魚を銛で突いて”捕ったぞ~!”的な”獲物”が欲しいんですよね、トランプは。

    画像のヒョンデ会長の米国への巨額投資発表では、誇るべきハレの日である会見場で、やたら早口に発表する会長が、まるで誰かに恫喝されているようにも見えて…。
    確かヒョンデは国内生産に関して貴族労組の影響が強く、人件費が独ベンツより高額(貴族労組の世襲制度まで…)、そして反発を恐れて簡単に製造を海外に移転する事も出来ずに苦労していたかと。そこにトランプ関税爆弾ですから、もしかしたらヒョンデ会長はこの外圧を使って製造拠点をアメリカに移す絶好のチャンスと捉えたかも。
    ただ、韓国(特にメディアと労組)に本心を悟られたくはない。いかにも「脅されて仕方なく投資します…」風に見せたい。また、競合他社に先駆けての巨額投資は米リベラル層への受けも悪い。テスラの二の舞を避けるためにも、会長がまるで恫喝されて仕方なく投資をしているようなリアクションの不思議な会見になったのかも…。邪推です。

  3. 鷹巣 より:

    友人の勤務先ですが、アルミ製品の前段階の源料を加工する仕事をしています。
    別の会社に渡り製品となって輸出されるまで半年から1年かかります。
    先行きが不透明なため4月中頃から生産調整に入り、夜勤シフト&残業無しの日が続いています。給料も大幅に減るだろうと話していました。
    身近なところでトランプ氏の影響が出てくると、存在の大きさを改めて実感します。

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