クルマ好きなら気になるシングルローター『8C』について考えてみました

MX-30 R-EVに搭載されるシングルローター『8C』についてマツダは排気量を含め何の数字も出していない。したがって他の記事を見ても排気量に触れてないです。私は830ccと書いたのだけれど、欧州のサイトを見たら日本より圧倒的に濃い情報がたっくさん出ていた。ちなみに排気量は830cc。昨日60~80馬力と書いた出力は75馬力でした。日産eパワーの1200ccと同等。

8Cは2010年あたりに開発がキャンセルされたレクシスと呼ばれる16Xの片側だと思う。Xは航空業界などで使われる「次期モデル」という意味。8Cという型式からすれば16Cだったかもしれません。特徴は12Aや13Bよりローター径そのものが大きいこと。12Aと13Bはローターの幅が違っている。レシプロエンジンで言えばボアアップと同じと考えればいいだろう。高回転型になる。

16Xはローターそのものが大きい。レシプロでストロークに相応する回転半径は120mmで13Bの105mmより大きく、ボアに相当するローター幅といえば76mmで80mmある13Bより小さい。ロングストロークになったと思えばいいだろう。また16Xの売りは直噴を採用することと、レシプロだとストロークアップすることにより熱効率を20~30%上げられることだった。

当然ながら8Cも直噴だと思う。圧縮比は11.9と9.4だったRX-8用の13Bよりずっと高い。830ccあれば触媒に熱を入れるのも容易。13Bで鋳鉄を使っているサイドハウジング(シリンダーのようなもの)はアルミになっている。点火プラグは2本だった13Bと違い1本。おそらく直噴で燃料の”球”を作り、そこに着火するからだと思う。いやいや見れば見るほど面白いです!

車両のスペックも発表されていた。モーター出力は170馬力で、MX-30EVの145馬力より上がっている。ただ最高速度はMX-30EVと同じ140km/h。0~100km/h加速9.1秒で9.7秒のMX-30EVより速い。欧州で販売されるPHVだと140km/hは少しばかり物足りないように思う。そしてドイツでの価格も発表されている。ベースグレードの『PRIME-LINE』で3万5990ユーロ。

MX-30EVのベースグレードが3万5990ユーロなので、電気自動車と同じにしてきた。これも電気自動車より高いだろうという予想はハズレ(泣)。日本でMX-30EVは451万円スタートということを考えたら、おそらく同じような価格設定にしてくるんじゃなかろうか。少なくともMX-30EVを買うんならPHVの方がお買い得だと思う。返す返すもMX-30のボディじゃ無い方がよかった。

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4 Responses to “クルマ好きなら気になるシングルローター『8C』について考えてみました”

  1. Nobutsuna より:

    僕はマツダに好意的だけれど流石にMX-30はいただけません。「女性目線デザイン」で「案外いけるかも」のノリだったのかもしれませんが、魂動の「コ」の字も無いデザインや工夫無く奇をてらっただけの観音開きドア。まぁトライアル要素の強いEVやこのPHEVを載せるためのモデルだったのでしょうが、それにしてもね。
    できればCX-30辺りで出して欲しかったですね。

  2. うまい坊 より:

     バッテリー容量を小さくしてコストを切り下げ、小型高出力のロータリーエンジンのPHEVにすることでEV仕様に比べて余裕の航続距離を実現。普通に良いじゃないですか。レンジエクステンダーに拘らなかった判断は正解なのでは。これは軌道に乗って、他のスモールアーキテクチャモデルにも拡大採用されて欲しい。

     

  3. Rotarycoupe より:

    写真から興味深い点がいくつかあります。

    高圧縮比らしく燃焼室の窪みが浅く、しかも二段掘りになっています。しかも中央でなくリーディング側によっている。

    この非対称な燃焼室はREAPS5の12Aに採用されて燃費改善に貢献しました。しかし13Bには使われなかった。パワーに余裕があって低負荷で使われる13Bだと失火するから、と当時のマツダは大真面目で説明していましたが。

    これが復活したのは低負荷で使わない表れですね。また吸気ポートの形状からパワー重視でも低速トルク重視でもない、最大トルク重視なのが分かります。

    運転領域を絞るなら、ペリ吸気に長い吸気管を組み合わせると面白かったかも。スペースが必要ですけど。

    また16Xの片割れなら、将来16Xそのものが復活する可能性もあります。ロータリーは設備投資の回収が大変なので。そう考えると以前の330ccは、実はシャンテ用の360ccに近い、13Bの厚みを半分にしたローターだったんじゃないかと勘繰りたくなります。

  4. CX-60 より:

    xEVの時代にロータリーは難しいんじゃないかなと、思いながらプロジェクトXでロータリーエンジンが取り上げられた回を見ています。
    そのころは、ピストンエンジンを組み立てるのも難儀でしたでしょうから、このロータリーエンジンで、日産・トヨタに立ち向かおうとした気概は分からないでもないです。その気概で純粋に頑張っていれば、途中で多チャンネル化の失敗や直近のナントカXも冷静に自己評価できたのではないかと思います。
    かといって現代の目で見れば、同じ目標を同じ技術で何とかしようとすると、電池からモーターまで購買力の差も出てしまうから、違う手段で成し遂げたかったんじゃないかなと思います。(かなり、好意的に見て)
    RX-7は高いけどRX-8はまだ手に入りそうなので、こちらを今のうちに買って、思いを馳せながらハンドルを握るのもアリなんじゃないかなと思います。

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