タタ・ナノ
タタ・ナノの納車が始まった。受注開始するやあっという間に新型プリウスと並ぶ20万台のオーダーを受けたものの、用地問題により主力となる工場の建設は大幅に遅れ、当面年産10万台に止まるそうな(受注を一時停止している)。プリウスのアンチテーゼとなると思われるナノを改めて紹介しておきたい。
まず基本的なスペック。ボディシルエットは三菱『i』をそのままコンピューターで短くしたと思えばよい。ただ車幅は軽自動車をわずかに超える。車重約600kg。リアにアルミブロックの623ccの2気筒エンジン(ボッシュのインジェクション付き。排気ガスはユーロ4相当)を搭載。最高速105kmの0〜100km加速23秒だという。
スペアタイヤはボンネット内にフルサイズを搭載。コストダウンのためノンアシストタイプのブレーキ(真空倍力装置無し。バイクと同じ)を採用している。インパネもメーター類はアナログ式のスピードメーターのみ(デジタルの方が安いと思いますけど……)。スペース効率はなかなか。大人4人乗れるサイズを持つ。
意外なのが日本のサプライヤーの多さだ。主要構造となる鉄板の一部を始め、ハンドル(ジェイテクト)、ライト類(スタンレー電気)、ワイパー(デンソー)、東海理化(スイッチ類)、その他、NOK(オイルシール)や矢崎総業(配線類)なども採用されている。これらのメーカーに聞くと、口を揃えて「利益だけではありません」。
日本の強さは自動車メーカーだけでなくサプライヤーも頑張っている点にある。世界一安いナノ用にパーツを供給出来ると言うことは、世界一低いコストのパーツを供給できる技術力を持つこととイコール。その気になれば日本のメーカーだってナノと同じ価格のクルマを作れるポテンシャルを有すのだ。
現在複数のメーカー(2〜3社)がリーズナブルなベーシックカーの開発に取りかかっている。この中にトヨタは入っていないけれど、ナノにパーツを供給しているメーカーを見ると案外トヨタ系が多かったりして。ナノにエアコンなどを付けると40万円近くなる。となれば日本車も十分戦えるかもしれません。
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日本のサプライヤーが世界一低いコストのパーツを供給できる技術力を持っているから、日本の自動車メーカーが強いのだと思います。
国沢さんが、韓国の液晶テレビの強さを記事に書いていますが、実は韓国の液晶テレビ部品の50%以上は日本製部品です。
自動車以外でも日本のサプライヤーは強いのです。
ナノの内容から考えると、とても安いと思いません。中国のQQという車、一番下のグレートは確かに日本円で30何万円です。0.8Lの3汽筒でナノよりちゃんとした車ですしね。やはり英語喋れる民主主義国の製品は、注目されますね。