トヨタに続いてホンダも二酸化炭素削減への動きの鈍い日本の製鉄産業に三行半か?
ホンダが「POSCOと本田技研工業株式会社は、カーボンニュートラルの実現に向けた包括的パートナーシップの検討を開始しました。両社は、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速するためには、環境対応技術や電動化技術といった互いの強みを持ち合い、将来的な協業を見据えた検討が必要と考え、今回の合意に至りました」というリリース出した。
協業の内容はトヨタと日本製鉄で訴訟沙汰になっているモーターに使う「無方向性電磁鋼板」や、二酸化炭素の排出量削減が必要な鋼板、電気自動車用電池の正極材や負極材、さらには電池のリサイクル分野まで含む。本来なら日本の製鉄産業と協業すべき内容。まぁトヨタも可及的速やかに日本製鉄への依存率を下げようとしているのを見ると、日本の製鉄業界は厳しい?
おそらく”ほぼ”国策会社になってしまったため、自動車メーカーに代表される顧客より国を見てしまっているんだと思う。実際、鉄を作るためのエネルギーをどうやって2030年までに46%減らすかのロードマップが全く見えない。製鉄会社は国がなんとかしてくれると思っているのだろう。このままだと二酸化炭素出して作る日本製のスチールを使っていたら輸出出来なくなってしまう。
選んだ企業が韓国のPOSCOというのは微妙な気もするけれど、中国の企業じゃ政治不安でやっていけない。欧州の製鉄業は広域の騒乱でそれどころじゃない。アメリカはアメリカで調達することになるだろう。韓国もいつ反旗を翻すか解らないという状況にあるものの、総合して考えたらPOSCOがベストチョイスという判断なんだと思う。日本の製鉄業、右肩下がりです。
言うまでも無く自動車産業って製鉄業のお得意さんである。軽量化や安全性を追究するため高い製品を買ってくれます。建材などで使うH鋼と単価が違う。それこそ無方向性電磁鋼板なんか利幅大きい。そういった特殊鋼の多くを海外のメーカーに持って行かれたら収益率がガックリ落ちることだろう。トヨタにケンカ売った日本製鉄も同じような運命になると思う。
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国沢さんの投稿はいつもしっかりした現場情報と科学的な社会観を持ち、是々非々で論じているので大変共感します。
日鉄との訴訟問題の原点についても、1年以上前(訴訟時)から歯切れ良く論理的に述べ、過去経緯や大局的観点からも日鉄の行為に疑問を投げかけていました。
経済評論家の多くは勿論、同業の自動車関連記者の中にも、国沢さんのように「科学的かつ問題の本質」を「堂々とフェアに、他に忖度なく述べる」人が最近は大変少ない。