フェアレディのデザインについての一考察。赤のツートンを選んで顔をNISMOにすればバッチリです!

初代フェアレディZはクルマ好きなら誰でも「ジャガーEタイプのオマージュですね!」と思うことだろう。いや、オマージュという表現だと甘い。同じ事を中国車がやったら「パクり」と書くかもしれません(笑)。いずれにしろ初代フェアレディZとトヨタ2000GTはどんな言い訳してもEタイプのマネでしょう。ただ個人的な意見を書かせて頂くと、Eタイプよりスタイリッシュだと思う。

Eタイプは大きいエンジンを搭載するため、ノーズが長過ぎる傾向。2リッター級の6気筒エンジンまでしか考えていなかった初代フェアレディZや2000GTはバランス良い。ちなみにフェアレディZと2000GTって関連性があるというウワサもある。この件、初代フェアレディZのデザイナーである松尾良彦さんに何度か聞こうと思ったけれど、大先輩とあり、千の風になるまで叶いませんでした。

閑話休題。いずれにしろEタイプのオマージュであること疑う余地なし。イマドキこういった表現はダメながら、初代フェアレディZと比べ2000GTは女性的なシルエット(芸術的と評す方がいい?)を持つと思う。怒られるかもしれないが、正直なところ私は前者のデザインを好む。さてさて、初代フェアレディZの雰囲気、写真を見て解る通り、Eタイプと共通する「細長さ」がある。

興味深いことに2代目のS130と3代目のZ31も細長くて貧弱。強引にリアシートを確保した2by2で顕著だ。細長すぎたので売れ行き落ちた。加えてZ32を開発する時点でのアメリカは「高い横Gを出せなければダメ!」みたいな状況。結果的にワイドトレッドになる。実際、コーナリングスピードが抜群に速かった。「これなら行ける!」とアメリカSCCAのレースに出ちゃったほど。

完全ノーマルだったのに三菱車で同じレースに出ていた日本人ドライバーをコーナーで仕留めてクラス優勝すると「キャンバー変えてる!レギュレーション違反だ」とクレーム付けられ失格となったほど(オフィシャルも標準のキャンバー角を知らなかった)。前澤義雄デザイナーによるZ32は初代と全く異なるシルエットだったものの、素晴らしいデザインだったと思う。

1989年に4代目のZ32を上市した後、日産は低迷。フルモデルチェンジするための開発予算すら確保出来なくなった。2000年にルノーからやってきたゴーン氏がフェアレディZの復活を決め、5代目のZ33の登場になる。個人的には全く魅力を感じず。Z32よりワイド感を出そうとしたため、カブト蟹みたいなシルエットになってしまう。当然ながら売れ行き伸び悩む。

という状況を6代目のZ34も引き継ぐ。 「欲しい」という気持ちレベルを100とすれば、SR311LとZ32に乗ったフェアレディ好きの私すら10にも届かなかった。そんな中、登場したのが現行フェアレディZである7 代目RZ34 である。見た瞬間「こいつぁ初代S30の素敵な雰囲気を全て持ってますね!」。S30のオマージュと表現していい! 

Z34の骨格を引き継ぎながら(フルモデルチェンジじゃないから型式は34のまま)、全く違う。 フェアレディZ好きの私としちゃ買うしかありません! ただデビュー当時は納期問題を抱えた。栃木工場の生産ライン(塗装工程)に大きな問題を出し、計画の10分の1以下の台数しか作れなかったのである。結果、プレミアムも付き、転売で儲ける輩が続出。1000万円を超える相場になってしまう。

何度か購入を断念しようとしたが、2年間待って納車になった次第。おっとデザインでした。Z34と全く同じプラットフォームを使うRZ34ながら、驚くほどイメージが違う。Z34はワイド&ショートなクルマに見える。なのにRZ34ときたら、初代フェアレディと同じような“長さ”を感じる。繰り返すけれどボディの骨格(例えばAピラー)はZ34と共通。外板だけ変えたのみ。

それでいてここまで違う雰囲気を出せるのだからデザインって面白い。 そんなRZ34ながら、どうしても納得出来ない点が2つある。1つはルーフに沿って設けられたシルバーのパネル。このライン、オリジナルに存在しない。もしかしたらオリジナルのようなメッキのドアサッシを意識したのかもしれないが、だったらドアサッシでよかったと思う。

はたまたオリジナルよりボディの厚みが(天地方向)あるので、そいつを弱めたかった? 日産のデザイナーはミスマッチだと解っているからこそ、シルバーのパネルが目立たないようなツートンカラー(オリジナルには存在せず)を幅広く採用したのかもしれません。少なくとも私のオレンジには全く似合わない。購入してから半年以上経つけれど、見慣れもしない。

困ったことに取り外すことは出来ないです。私と同じような考え方の人は違う色を選ぶしかない? 2つ目は何の工夫もなくぽっかり空いたフロント・グリル。どう考えてもカッコ悪い。日産車内でも反対派が多かったようだけれど、当時、チーフデザイナーだったアルフォンソさんは変更を絶対に認めなかったと聞いた。

すると興味深いことにニスモからフロントのイメージを決定的に変えるフロント・グリルが出た。もはや文句無し!オリジナルの雰囲気も残しつつ新しさを感じさせる。 世界的に見ると、ミニやビートル、フィアット500、ルノー5など、ヒストリカルなモデルをオマージュしたモデルがいくつか出てきた。RZ34もその中の1つと考えていい。

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現代のクルマは衝突安全性や歩行者保護など、たくさんの法規的な制約を受けることになるため、スタイリッシュに仕上げるのは難しい。そんな中、RZ34のデザインって上手にまとまっていると思う。 ちなみにヒストリカルなクルマのオマージュで一番難しいのはヘッドライトである。古いクルマの場合、丸目なら2灯か4灯で、全て同じサイズのヘッドライトが付いていた。

今や標準ヘッドライトなんかない。RZ34も苦労の跡がうかがえます。RZ34は私の標準グリルだと少し違和感あるけれど、ニスモ仕様ならよく似合う。ということで私のフェアレディもニスモ仕様のグリルに交換したら超素敵になりますね。<エンジン誌Webへ>

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3 Responses to “フェアレディのデザインについての一考察。赤のツートンを選んで顔をNISMOにすればバッチリです!”

  1. アクシオム より:

    フロントグリルの件は、今年開催されたZカーミーティングで、商品企画の田村さんとチーフデザイナーの入江さんがトークショウで仰っていましたね。
    田村さんはS30ってフロントマスク中央にメッキのバンパーが入っていたからこれをなんとか入れようと入江さんに頼んだけど、ここにラインを入れると冷却性能が確保できないと入江さんに言われ、めぐりめぐってカスタマイズとNismoのデザインを担当した森田さんに相談したところ、カスタマイズエディションとNismoで解決したようですね。

    当面、RZ34は法規対応をしながら、日産唯一のスポーツカーとして当面販売されるようです。騒音規制も一部改良で対応するそうです。

  2. インハウスデザイナー より:

    新型フェアレディZのデザインはデザイナーから見て歴代で最悪だと思います。

    フロントはS30をモチーフしカクカクしていて、リアはZ32の丸っこいデザインオマモチーフにしています。歴代Zのデザインの要素をモチーフにすれば、Zらしさはおのずと出来上がります。
    そのためか前後の塊のまとまりはないし、デザインとしての新鮮さありません。

    細かな所を見ると、ボディパーティングラインはS字に曲がっていたり、面を繋げるために無理やり捻ってるなどかなり苦しい処理をしています。
    法規制などで苦しいのはどこのメーカー、デザイナーも一緒ですが、もっと綺麗に出来たのでは?っというのが素直な感想です。

    デザインの良し悪しは個人で違うのが面白いの要素だと思います。

    ちなみに私はZ33が歴代で最もキレイなデザインと思います。最小限の面数、綺麗に通ったパーティングライン、シルエットの新しさ。
    販売台数も多いので失敗作ではなく成功作です。

  3. Admiral jack より:

    私も四角いフロントグリルが気に入らなかったのですが、
    納車が大幅に遅れてカスタマイズエディションを選択出来ました。
    心配した猛暑日の冷却も全く問題なくエアコンもよく効きます。
    それにしてもあのお祭り騒ぎはなんだったんでしょう。

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