ホワイトアウトとレーダー

吹雪によるホワイトアウトで前方視界が無くなった結果、対向車や駐まっていた車両に衝突するという事故が続発している。こういったケースを見ると「悪天候に強いレーダーなら対応出来るんじゃ無いか」と思うことだろう。実際、航空機や船舶などはレーダーで前方の安全をチェックしてます。

ボルボや日産など「2020年に重大事故を無くす」ことを目標に掲げている。なのに今回のホワイトアウトでも死亡事故が起きている。温暖化で温まった海と、極地の寒冷化で発達する寒気団とぶつかって発達する低気圧により、今後大雪に見舞われる頻度は増すと考えていい。

自動ブレーキのセンサーの説明の際、よく「カメラは悪天候に弱くレーダーは強い」と言われる。ちなみにJNCAPなどはレーダーと普通の雨でも機能停止することがあるレーザー(レーザーレーダーと表記)を一括りにして悪天候に強いとWebで紹介してた(現在はこっそり変えている)。

結論から書くと、レーダーでもホワイトアウトは全く対応出来ない。なぜか? 本物のレーダーを扱ったことのある人なら御存知の通り、悪天候時に周囲の障害物を的確に評価するのはとても難しい。船舶用のレーダーなどプレジャーボート用の簡易型すら雪の日は操作に熟練が必要。

ちなみに自動車用のミリ波を使ったレーダーは、レーダーの中でも極めて悪天候に弱い。ホワイトアウトに遭遇する確率の高い寒冷地仕様のクルマについては、雪に強いマイクロ波(ミリ波より長い波長)のレーダーを、発振体の表面に雪が付着しない工夫をして採用するしかない。

ここで問題になるのが電波法。総務省はマイクロ波のレーダーについて厳重に管理しており、ミリ波と言って良いマイクロ波(例えば24G)まで厳しく干渉してくる。ベンツなど日本導入が遅れたほど。省庁のナワバリ争いもけっこうだけれど、安全に関することだけはしっかり考えて頂きたい。

<おすすめ記事>

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ