ホンダ「OBは一切口出ししない=サラリーマン社長が失敗しても責任取る必要なし」。こりゃダメでしょ

先日、15年ほど前にホンダの役員を卒業されたOBの方と意見交換した。以前から感じていた事なのだけれど、ホンダの課題が改めて明確になった次第。広く知られていることながら、ホンダの上層部は引退した後、いくつかの限られたポスト以外、他の仕事につかないという約束をする。同時にホンダに対しても関与しないということになってます。潔く引退してね、ということ。

今こそ鈴木久雄さんや川本信彦さんの出番です

いつ頃からそうなったのかは知らないけれど、少なくとも本田宗一郎さんは引退してからもホンダに来て「意見」という命令をしていたように思います。OBになったら何も関与しないというコンセプト、徹底しており、今のように先が心配な状況になってもOBは口出ししない。そればかりか、OBと話をすると、現役の時はホンダ好きだった人ほど無関心を決め込む。

その理由がイマイチ分からなかったのだけれど、今回判明しました! つまり「ホンダのことは気になるが、口出し出来なければ何のチカラにもなれない。隔靴掻痒イライラするだけ。だったら無関心を決め込もう」ということです。かつてMr.ホンダのようだった「スズキュウ」さんや「ハシケン」さんのような人ですら、引退してからホンダと距離をおいている。どう考えておかしい。

なるほど自動車の黎明期は、今までの知識や経験などタイしたことじゃなかった。むしろ固定化した考え方の方が進化の道を狭めた。ホンダの「先達のご託は不要!」でよかったと思う。しかし今や自動車技術は引き継ぎ無くして成立するほど簡単じゃない。今回話をしたOBも「以前にもやって失敗したよ、と言いたいことがたくさんありますね」。同じ失敗を繰り返す。

雇われ社長であり、なおかつOBになったら知らんもんね、でOKな立場で会社を任されたらどうか? 当然ながら長いスパンで考えるトヨタのような”創業家に近い経営”と全く違う方向性になることだろう。八郷さんもそうだったけれど、三部さんだって引退したら会社と縁が切れる。そして先達OBと同じ「どうでもいい」になっちゃう。ホンダの社長、サラリーマン社長の王様なのだった。

今からでも遅くない。ホンダはOBの知見を借りるべきだと思う。一昔前なら新人でもクルマ作りは出来た。ゼロスタートでよかった、と言い換えても良い。されど近年のクルマはノウハウの塊。ソフトまで付いた部品を買って使うだけじゃ、トラブルが起きた時の対応すら出来ない。アメリカで起きているホンダのADAS系トラブル、ボッシュから買ったシステム問題あると考えます。

ホンダは日産と並び世界で最も早い時期からADASを手がけてきた。OBなら簡単に問題点を見抜いたことだろう。川本さんあたりが音頭を取り、OBは知らんぷりを決め込まなくちゃならないというホンダの「鉄の掟」を破るべき。クリエイティブムーバ-を立ち上げた有沢さんとか筆頭幹事ですよ!  ホンダに無関心と言いつつ『本田技研工業株式会社 社友』という名刺を頂き、強く思った。

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3 Responses to “ホンダ「OBは一切口出ししない=サラリーマン社長が失敗しても責任取る必要なし」。こりゃダメでしょ”

  1. やまうら より:

    バイクでは、トヨタやベンツやフェラーリのように世界トップレベルな凄腕の職人がいるホンダ。
    クルマの市販車ではそうでもないホンダさんが不思議です。クルマのデザイナーはいないネ。
    技術は相変わらず有ると思うので、機能として、見てくれとしてのデザイナーを世界中から呼んでこれれば、いいなぁ~

  2. 二級人 より:

    設計開発は、無から有を作る仕事。面白いこともあるが、混沌とした難しい仕事でもある。
    ホンダなど日本企業はいまだに勘と経験と度胸に頼っていて、過去のデータや設計ツール、手法など、必要なサポートがないのかもしれない。

    あるソフトウェア屋さんから、アルゴリズムやフローチャートがないと言われて驚いたことがある。コンピューターサイエンスを駆使する海外のIT企業に太刀打ちできるはずがない。
    自動車業界も同じだとは思いたくない。

  3. トヨタ車ユーザー より:

    やっぱりホンダにはカリスマ性のある社長がいないからダメなんだと思います。ブランド力もあったはずですが、それは生かすことはできずフェラーリやポルシェにはなれませんでした。
    いまは官僚か銀行屋さんがトップを務めているイメージ。ま、儲かっているから大丈夫かな?あとは知らんけどとか思っていそう。
    自動車メーカーにカリスマ性のあるトップがいればどうなるかはトヨタを見ればわかります。

    本田宗一郎氏は引退して口は出さんと言っていたけれど、ちょくちょく開発にやってくる間にできたのが初代NSXで、本田氏はその開発進捗をえらく気にしていました。本田氏とともにF1を経験した技術者が技術を持ち合い、市販スポーツカーに落とし込んだ車です。つづいてVTECのインテグラやシビックが出て来てピークを迎えます。
    今のホンダにそういったブランド力はありません。
    現代ではレーシングカーの技術を市販車に直接落とし込むのは難しいかもですが、市販車をレーシングカー/ラリーカーに近づけることはできると思います。それがGRカローラ・GRヤリスであり、ダイレクトCVT・ダイレクト8ATと4WD技術です。トヨタは市販車をWRCカーに近づけることで車好きを魅了しています。ホンダにもそういったことができたとは思うのですが。。。

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