尺時定規で原理主義

国交省ならキレ者の官僚が一人や二人いるかと思ったのだけれど、やはり目立ちたくないということなんだろう。まぁ何か事故でも起きたら責任を取らされる。何もしない方が無難というチョイスになってしまうらしい。16日から本格的に動き始めた米軍を見ていて、いろんな意味で日本の問題を考えさせらました。

津波の翌日に仙台空港のヘリ映像を見て「救援の拠点にすればいい」と思った。滑走路は水が引いていたからだ。それを私のWebで書いたところ、反対意見や「出来ない」という書き込み多数。もし官僚が「仙台空港を使えるようにしましょう」と意見具申しても、役所や政治家から同じように反発されるのだろう。

実際、事故が発生した空港を再開させるための手続きと来たら、そらもう大変。国交省のチェックも受けなければならない。けれどアメリカ軍は瞬時に「ここを使う」と判断。ヘリ飛ばして簡単な整備を行い、続いて路面清掃車など積んだ2機の
C130ハーキュリーズを降ろして、あっという間に使えるようにした。

ちなみにこの間、国交省は羽田空港から路面清掃車を1台陸路で派遣
させようとしていたのみ。早い時期に使えるようにして入間基地からC1輸送機をあるだけ使って飛ばせば、ヘリのベースとして使えた。初期の救難ももっと広範に出来たことだろう。地震起きたのは11日。5日間も仙台空港を放置したのだ。

メディアのヘリが人命救助や物資輸送できない件は日記で紹介した通り。勝手に低い高度で飛んだり、着陸したら免許を剥奪される可能性大。しかしアメリカは違う。孤立している避難所を見つけたら(道路が無いので上空から判断できるそうだ)、全く躊躇わずパイロットの判断で着陸してしまう。

16日からアメリカ軍のヘリが物資輸送に加わり、早くも大活躍を始めた。11日から全く物資届いていない避難所を次々と攻略し始めたのだ。それまで手を振っても助けてくれなかったヘリが突然高度を落として着陸。
ドア開くとアメリカの兵隊さんが待望の食糧を届けてくれるというもの。

アメリカ軍からしても、かつてないくらい気持ちの良い作戦らしい。
他の国のように奪い合いになることもなく、どこの避難所でも丁寧なお礼をされるという。良いループです。日本の原理主義者もアメリカには文句を言わない。
自衛隊やメディアのヘリが勝手に着陸なんかしたら大騒ぎになることだろう。

・一次情報ではないもののNHKが伝えるところによれば民主党の辻元補佐官がアメリカ軍の物資配給に抗議したそうだ。

翻って我が国はドタ
バタである。16日の夕方になってなり、やっと警察はタンクローリーの通せんぼをやめた。それまで出発地点の警察で事前の複雑な手続きをしなければ通行許可が下りなかったのを、高速道路のICで書類を書けばOKになった。これでガソリンや灯油も流通し始める。

ただタンクローリーの絶対数が少ない。被災したガソリンスタンドも多い。やはり緊急避難的にドラム缶で燃料を運ぶことを許し、そこから直接給油出来るようにしなければ追いつかないと思
う。物資の配給も同じ。役人に任せたようだ。こうなると「早く」より「平等に」となってしまい、時間掛かります。

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5 Responses to “尺時定規で原理主義”

  1. ゲイン より:

    政府側の誰かが現地で指揮すれば良いのですが、ヘリ搭載出来る艦艇を調達して指揮するアイデアぐらいありそうですが、民主党の主流派にそれが出来そうな人がいません。こういう時は政権与党が自民党でなかった事が悔やまれます。
    物資を船から港に運んだら、受けとるトラックがなかったとか…衛星電話とか持たせればいいのに、やっぱり現地に陣頭指揮取れる政府側の責任者が必要です。本来は菅総理が現場を指揮して欲しいのですが、原発事故で動けません。

  2. kine より:

    いろんな情報をありがとうございます。
    私の兄が、津波にあった車から燃料を抜き取ってはと言っていました、注意をして燃料タンクを取り外せば危険も少ないと思います。
    トラックや漁船の燃料は病院などの非常用発電機の燃料として使えるはずです、県や市、警察や消防と共に集める事をしても良い気がします。
    火事場泥棒と呼ばれそうですが、目の前に有る燃料を有効に使えればと思っています。

  3. tm256 より:

    >出発地点の警察で事前の複雑な手続きをしなければ通行許可が下りなかった
    なんで、この非常時にそんなアホらしいことやってるんですかね。本当、呆れます。そういう人達は、被災地の方々の苦難の声を聞いてないんでしょうか。
    被災地の支援にしろ、福島原発の火消しにしろ、所詮日本ってアメリカ無しじゃ、何もできないんですね。
    >民主党の先生方に言いたい
    まったく、同じ日本人として本当に情けない話です。

  4. 針谷光一 より:

    国のトップが危機管理を語った際ある方が「自らの管理の甘さを危機管理に言い変えるな、これは明らかに国のトップの管理危機だ!」このスピード感のなさに、その方の意見に納得です。そんな中、配給に順番待ちをして清々と列び、少量の物はシェアし、救援物資の略奪や放火や暴動は全く起きていません。この日本人の秩序感は多国の方々からすると驚愕でしょう。先日被災地のガソリンスタンドのノズルから1リットルのガソリンを盗んで捕まったとラジオで言ってましたが。
    復活を強く信じる者として、今回の被災者の方々の秩序ある行動は世界中に日本人のポテンシャルの高さと品格を強力に印象付けることになるでしょう。その点の世界的評価は国のトップとは真逆かと感じます。

  5. かず より:

    確か、東京電力にピンポイント送電が出来ると提案したけど、手間かかると拒否されて説得した国交省の話とか。
    みんな縦割りだから、官邸及び内閣が横繋ぎをして全省庁の総力を発揮させないといけない筈ですが…。
    警視庁機動隊の高圧放水車の件、原発事案発生時点で各省庁の車両リストアップや、特殊任務出来る人員の把握をしておかないと。
    警視庁機動隊の高圧放水車が最後の手段みたいな、報道と最後の手段みたいな状態にしてしまった政府の後手後手に、げんなりです。
    千葉や横浜の身内や友人も、自宅待機です。

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