整備士不足の件、キレイ事だけじゃ解決しない。でもやがて”稼げる仕事”になると私は予想します

整備士不足について書いたら、ド正論のコメントがあった。まぁ100%その通りです。私はそれ以外にもう一つ課題あると考えている。給与体系だ。普通の会社員は、自分が会社でいくら稼いでいるのか解らない。直接お金のやりとりをする営業部門だって自分が稼いでいる金額など不明。ましてや売れないクルマを開発した人たちなんて会社に損害を与えている!

間接部門も自分の仕事を金額として換算することだって不可能。しかし! 整備士だけは解ってます。時間工賃で計算するからだ。1時間の工賃って1万円程度で請求する。8時間仕事したら8万円稼いだことになる。部品交換で利益出ていたら、もっと稼ぐ。残業無しで20日間仕事すると160時間=160万円。それと自分の給料を比べてみたら「う~ん!」になります。

お笑いで「タチの悪い芸能プロダクションは半分抜く!」みたいな話が出るけれど、整備業界はもっと凄い! 当然ながら給料安いという不満になる。会社側からすれば工具や整備する場所の維持コストなどが掛かるということになるのだろうけれど、遠からず仕事した時間を勘案した歩合制を取り入れるようになると思う。じゃないとフリーランスの整備士なんか出てきちゃう。

残業分は時間工賃の半分支給というシステムなどもいいだろう。はたまたデントリペアなど特殊技能を習得させ、そちらだけ歩合制(半分は整備士に)とするみたいな方法もあると思う。実際、整備士は特殊技能。能力あればしっかり稼げるため、それなりの収入あってしかるべきだ。近い将来、きっとそうなる。だからこそ私は整備士になることを自信を持ってすすめます。

以下、正論の一部を紹介しておく。全文は2月14日のコメント欄で。

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ネットで誰でも世界に発信できる時代に生まれ育った世代の人たちは、大切な仕事であっても裏方に徹すること自体を辛く感じるかもしれません。簡単にいうなら承認欲求ですね。非常に大事な職業ですし整備士という職業をもっと前面に出して活躍している姿を多くの人達に見てもらえるようにしても、何も問題はないと思います(優良事業者ならできるはず)。

ショーウィンドウのようにガラス越しに整備しているところをお客様に見学して頂いたり、営業のようにお客様の担当を明確にしてお客様に名前と顔を覚えてもらえるようにしたり、整備士が『私が責任を持って整備をしました』とお客様に主体的にお伝えしたり、制服もお客様と接するに相応しい上質でスタイリッシュなデザインに変更して清潔な状態を保ったり、接客のトレーニングもしっかりと行うといったことなどにより、自然と整備士への注目度が高まって立場も向上するように思います。

そうなると、もはや過去の『整備士』という言葉の定義には収まらないので、横文字の新しい言葉を作ってやると、より効果的かもしれません。今まで整備士は裏方に徹してきた側面があったと思いますが、時代に合わせてもっと表面に出てきてもらうことで、お客様にも信頼を提供できるはずです。その姿を見た子供たちが、将来整備士になりたい、と思えるような仕事に変革できれば、時代に即した進化ができた証と言えるかもしれません。

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5 Responses to “整備士不足の件、キレイ事だけじゃ解決しない。でもやがて”稼げる仕事”になると私は予想します”

  1. 猫まんま より:

    需要が多い仕事で就職者が少ない。国沢師匠のおっしゃる通りにいずれは高額の報酬払って求人するようになるでしょうね。てか出来なければ業界が滅びます。
    バブル期の佐川みたいに「月収45万円」とかで募集すればお金のためと割り切って働く人も多いかと。頑張っただけ稼げればドライバーや整備士も増えるかと。
    タクシードライバーも仕事がいくらでも有るなら良い商売ですよ、現実にはタクシー利用客が減ってるからうまみは無いですが。
    結局待遇が悪すぎるからなり手が居なくなるんですよね。
    この手の話を聞くたびにSF作家の豊田有恒氏が書いた「出前持ち」って小説を思い出します。
    時は未来でなり手が居なくなって出前持ちとか新聞配達がステータスな仕事になるという話です。

  2. コメ採用されなかったモノ より:

    実際、ディーラーは経験の浅い若い人ばかり求人。
    ベテランは専業求人が多いが、専業自体廃業が多い。
    まあ安い給与で土日祭出勤なんて、バカしか選ばんでしょ。しかも最近は営業の真似事までさせる始末。
    ちゃんとした専業はそんな事してませんってw

  3. トヨタ車ユーザー より:

    自動車メーカーで働いていれば、多少は車をいじることができるんでしょうから、「売れないクルマを開発して会社に損害を与えた」LPLやデザイナーをディーラーに派遣して、整備士のお手伝いをさせたらいかがでしょう。まあ、これでは整備士の給与・労働環境の改善にはなりませんが、人手不足は多少緩和されるかも。
    ディーラー整備士を辞めた人に聞いた話で、「時間単価」が圧迫しているのもあるのですが、メーカーから「この修理はこの時間でやれ」みたいなことがマニュアルにあって、そこにはエンジンオーバーホールを6時間でやれという無茶な記載もあるんだとか(サービスマニュアルなのでもはやディーラーではやらなそうな修理の記載も一応あるらしいです)。そんなことはできないので普通はリビルトエンジンを載せる対応になりますが、こういったメーカからくる一種の縛りが収益や整備の仕事の価値をおかしているような気がします。

  4. prius30前期乗り より:

    直すのではなく交換ばかりでつまらないってのもありませんか?
    最近はゴソッと交換てのも増えたそうですし。
    趣味で知り合った街の車屋さんに持ち込むようになってから、作業見れておもしろいし安いし、ディーラーに持ち込む気がなくなりました。

  5. しんたろ より:

    前日の記事と各氏のコメントも含めて興味深く拝見させていただきました。
    コメント投稿、少し迷ったのですが「門前の小僧」として投稿させていただきます。

    小生、社会人デビューがデーラーのサービスフロント事務からスタートして紆余曲折の末、業界アフターマーケットの隅っこで自営業をしています。
    その上で出入り業者として20年以上自動車修理業界を見てきた率直な感想ですが、整備士不足の問題は少子化や車離れも大きな一因ではあるものの、根本的には労働者の所得と業界の利益率の低さ、それにつながる職人仕事の立ち位置の低さと相まった複合的なものと考えます。

    昭和、平成前期も今も自動車業界の人材流動性は他業種に比べても比較的高いと思われます。
    しかし若年流入率が激減と言って良いほどなのはやはり給料と3Kと呼ばれる程の待遇の低さ。
    その昔は学生の社会人スタートアップ先として自動車業界はトップシェアと言って良く、女性の歯科技工士、男性の自動車整備、営業職はほぼ2分されていたと思えます。
    理由はやはり「クルマ好き」であり卒業したら即免許という時代背景もあったでしょう。

    同時に業界側から見れば「安い給料でいくらでも新人は来る」ということで悪く言えば「人材使い捨て」
    実際周りを見ても3~5年程度で離職して別業界に転職ってのがほぼ定番的な流れで、残念ながらそうした構図で形成されてきたのが我が国の自動車アフターマーケット業界ではないかと考えます。

    そこに自動車の構造の変化によってただでさえ装置産業である整備、修理工場の設備投資は大きく、高度化したことで利益率が減る。
    ユーザー側は過大な税負担と保険料、そして部品代高騰と純正部品の多用によるコスト高のイメージで工賃比率は抑えられ、更に故障率、事故率の低下による点検意識の低下で修理工場は縁遠くなり、残念ながら記事やコメントのような自助努力の範疇を超えつつあると感じます。

    先のBM問題も「あくどい儲け方」をしたBMには怒りを通り越して呆れている業者がほとんどですが利益を上げるには「ああいうやり方しかないのか」という諦めにも似た意見があるのも事実。
    同時に「ああいう稼ぎがしたけりゃクルマ(の修理)屋なんてやんねぇよ(笑)」な方ばかりですが。

    残念ながら私には「即効薬」としてのアイデアは浮かびませんが「特効薬」はやはり国沢さんが最初に取り上げたボランタリーとしての八丈島のケースのような敷居を低くする試みだけでなく、自動車維持のコスト高な構図を変えることでしょうか。

    今のシェアリングエコノミーでは中小零細工場は入庫先たりえず、都市圏の大規模工場やデーラーに収れんされるかEV普及によるメンテフリー化で独立系修理工場を安楽死させるベクトルになるでしょう。
    街場の電気店や自転車店がそうなったように。

    前向きではなくネガティブな長文となったことお詫びします。

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