業界天気予報。日産

これからの5年は自動車メーカーにとって生き残りを掛けた戦いになります。1)日本車にとって最大の収益源になっているアメリカ市場対応。2)自国のメーカーが有利になりつつある中国市場対応。3)これまたトヨタを除く日本勢にとって厳しい欧州市場対応。4)もはや欧米向きのクルマを売ろうとすると高価すぎてしまい専用車が必要な日本。5)中国勢の猛攻を受ける東南アジア、だ。

アメリカの課題は、エンジン車から電気自動車への移行時期。次期大統領がバイデンかトランプかでずいぶん景色は変わる。トランプなら電気自動車の普及開始は最大4年遅れ、2030年くらいまで燃費の良いガソリン車とPHVが主役になります。すなわちハイブリッドやPHVを豊富にラインアップしながら、おそらく急激にニーズ出てくる電気自動車の生産体制を作らなくちゃならない

日産は2026年までに100万台の販売増を目指す中期経営計画を発表した。内容は業界を震撼させるほど楽天的だったため、株価は発表直後に下落。そもそも過去最高値を付ける株高の中、日産だけ置いてけぼりだったのに、一段と下がった。誰がどう考えてもダメでしょ、ってことです。米国は123万台から2026年までに33%増やすという。今でさえ在庫増で困っているのに。

目標達成だけ考えインセンティブ(広義の値引き)付けリース販売しようものなら、リースバックする3~5年後は酷いことになる。3年すれば今の経営陣は一人もいなくなるから「後はヨロシク!」ということかと。ふざけるな! と文句を言う人もいないから、現在進行形で日産車の値上げし、充電ケーブルをオプションにするよう今の日産をダメにしている「キーッ!」(笑)が残ってる。

アメリカで販売台数を伸ばそうとすれば燃費の良いハイブリッドやPHVが必要だけれど、いずれもトヨタに勝てるような技術を日産は持っていない(eパワーは高速燃費悪い)。5年後は必要になる電池も計画こそ発表しているものの、頼りのAESCは中国資本なのでアメリカがどう出るか読めない。リン酸鉄リチウム電池も開発しているようだけれど、規模や工場のアナウンス無し。

もっと厳しいのが中国の「生産台数20万台増」。ウチ10万台は中国から海外に輸出するという。御存知の通り中国が得意とする電気自動車は、多くの国で輸入制限掛かる。東南アジアも工場進出が条件の有限措置で輸入が認められているだけ。中国で作った日産を販売出来るのは日本くらいだと思う。そもそも中国も20万台伸ばして100万台にするというが、直近で大幅減続き。

それ以前の問題として中国で販売する日産車の競争力は低迷しており、台数をキープすることさえ不可能だと言われている。そして日本は9万台増やし60万台を売るという。日産、値上げで1台当たりの収益は上がっているけれど、絶対的な販売台数を落とし続けている。中期計画で新型車の投入をアピールしたが、トヨタに勝る魅力を持つニューカマーは存在するのか?

東南アジア市場はヒジョウに厳しい。自社開発のミニバンが売れず三菱自動車からエクスパンダーのOEM供給を受けているものの、日産のブランド力が弱い。先日「ホンダと協業するかもしれない」という発表を行ったものの、日本だけでなく東南アジアでもOEMで担当分担をするのだろうか。今までの例だとOEMって売れない。このままじゃ日産の5年後は土砂降りです。

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4 Responses to “業界天気予報。日産”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    土砂降りで存続しているなら、まだマシ。

    トップが火遊びをしていれば、そりゃあ会社は腐ります。

    5年後、日産が中華資本の中産に生まれ変わっていることに、100万ペリカ掛けます。

  2. 永遠の十字路 より:

    まあ、なんと言うか、トヨタ以外みなダメですね!
    あなたの予想が外れる事を祈るのみです。

  3. トヨタ車ユーザー より:

    日産は久々のニューモデルと記事がでまして読んでみたところ、QX-80というランクル対抗馬。でも、V8で5L超だったかで、思いっきり「もしトラ」狙いというか空気読んでないなと思いました。
    トヨタみたいにランクルでもHEVがあれば別で、アメリカのGM・フォードだってライトトラックにBEVやHEVがあるのに。
    一応のフラグシップ(Z,GT-R,QX-80)はあっても、それで台数は稼げません。e-powerも大排気量版(大容量モーター版)はありません。
    エキスパンダーの例を見ると、日産より三菱のほうがxEVの展開技術があるのかなと思ってしまいます。
    (三菱に助けてもらう番なのかも)

  4. TONO より:

    この企画面白いです!

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