水素、不思議な気体です。液体にすると1Lで70gしかないことは案外知られていない

私のWebを見ているような人は普通の人より圧倒的に水素の知識を持っていると思う。とにかく不思議な元素です。まず軽い! 圧倒的に軽い。水素を-253度まで冷却すると液体になるのだけれど、水だと1Lで1kg。液体水素は1Lでどのくらいの重さなのか御存知だろうか? 驚いたことに70gしかない。20Lの灯油タンクを満タンにしても1.4kgしかないのだった。

宇宙ロケットは液体水素を使う。ロケットの中身、ほぼ燃料タンクだと思っていい。軽いから飛べるのであり、ガソリンのように重い燃料だったら厳しい。ただ液体水素、徐々に抜けていくため、宇宙ロケットは飛ばす直前に燃料注入を行う。打ち上げ中止になると液体水素はいったん全て抜きます。だから液体燃料ロケット、軍事用のミサイルに向かない。飛ばすまで時間掛かる。

ちなみに液体水素は気体の800分の1の容積になると言われている。MIRAIの充填圧は82MPa。大ざっぱに言うと820気圧だ。ここで聡明な人なら「あれれ?」と思うかもしれない。820気圧といえば、体積を820分の1ということ。液体より重くなってしまう。私は深夜これに気づいたのだけれど「そんなことあるのかとね」と寝られなくなりました。

グーグル先生に聞いても解らなかったからだ。気体の密度が液体を超えることってあるの? こらもう誰だって「あり得ないじゃないか」と想像できる。一方で800気圧の水素も存在する。極端な話、地上の水素を水深1万mに持って行ったら1000気圧の水素になる。そうなった時、水素は液体より密度の濃い気体なのだろうか? 聡明な読者諸兄なら御存知かと。

掲示板に答えを書いてみてください。最初の正解者になんかプレゼントします。また、水素は危険だと思っている人も多い。水素は圧倒的に軽いため、大気中に漏れたらあっという間に核酸してしまう。ガソリンや都市ガス、LPガスなどよりはるかに安全。水素を怖がる人がガソリン入れているのを見ると不思議でならない。危険性あるとすれば圧力だ。水素に限らず 大気だって圧縮したら危険。

トラックのタイヤは10気圧近くあるが、バーストすると横に立っていたら命を失うほどのダメージを受ける。ダイビング用のタンクは200気圧だけれど、腐食して底が抜けると数キロ飛ぶそうな。MIRAIのタンクは前述の通り82MPa(820気圧)掛けて充填しているため、安全確保が最大の技術課題だった。普通に水素を運ぶならダイビング用と同じ200気圧で問題ないらしい。

実際、金曜日に取材した地熱発電所では水素を普通の気体と同じように扱ってました。また現在使われている水素には2つのタイプがある。純度の高い水素と純度の低い水素だ。製鉄などでできる「複製水素」は純度が低い。発電やエンジンで燃焼させるなら全く問題ないものの、燃料電池で使うと目詰まりしてしまう。水を電気分解すると、極めて純度の高い水素と酸素が出てきます。

そうそう。水素というと中途半端&時代遅れのな知識しか持っていない人は「脆化する」とか「漏れる」などと言うが、それは普通の気体として扱った時のもの。自動車産業で使っている水素に接する素材や材料はそんなレベルじゃない、MIRAIのタンク、5年そのまんまでも漏れないし20年は脆化しない。水素って奥行きの深い元素で、とっても楽しいです。

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