熱海のトラック事故

TV朝日の『やじうまテレビ!』から「熱海のトラックの事故の取材に行くのだけれど同行してコメントをお願いします」という連絡が入り、現場に向かった。熱函道路の熱海側は長くてキツい勾配で知られる。果たして現場に着くと、正しくキツい勾配の最後の区間。しかも場所はカンペキに熱海の市街地という状況。

ドライバーは6km以上にもわたって続く下り勾配を、慣れないレンタカーで下ってきたという。すでに事故現場の200mくらい手前でフェードは始まっていた
らしく、1台目のバスに衝突。さらに100m近く速度のコントロールをできず、下の写真の交差点手前で2台目のバスに激しく接触したそうな。

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上の写真の前方からトラックがやってきた

交差点は完全に対向車線にハミ出している。ただ2台目のバスに衝突するあたりで満身の力を込めてブレーキを踏んだらしく、後輪だけロック状態になったようだ。左側タイヤのスリップ痕が明確にセンターラインに残ってます。リアがロック気味になりながらも、道に沿って左に曲がり、カメラの位置は避けた。

上写真の横断歩道の停止線には2ヶ月のお子さんの乗る軽自動車が止まっており(赤信号で突入したということか?)、左に回頭しながら激突。重量8トンのト
ラックなので、乗員合わせて1トンの軽乗用車など軽くハネのける。この間、ずっとブレーキ痕は残ったまま。おそらく後輪がロックしたままだったのだろう。

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軽1BOXカーの位置に軽乗用車は止まっていた

そしてガードポールをなぎ倒し、消火栓と隣のビルの間からクリーニング屋さんに飛び込んだ。上の写真の交差点は、その上の写真の交差点です。また、この写真はクリーニング屋さんからトラックが突入してきた方向を写している。つまり左に曲がりながら、歩道を乗り越えて飛び込んだワケです。長い暴走だ。

赤信号ながら歩行者や自転車、バイクもおらず、2ヶ月のお子さんも回復に向かっているという。死者が出なかったことが信じられないような事故現場だった。も
しレンタカーに乗っていた運転者が排気ブレーキを使っていなかったとしたら(トラックはエンジンブレーキがあまり利かない)、明らかにミスである。

この事故から得られる教訓はなんだろうか? ということを考えなくてはならない。

・ECOカーアジアは「電気軽トラックは大ブレークする!

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5 Responses to “熱海のトラック事故”

  1. さね より:

    またも事故ですか悲しいニュースが続くなぁ…。先生のおっしゃるとうりトラックでも普通自動車で乗れる4トンロングなんかでも明らかにブレーキは効きません。あくまで乗用車との対比でですけど。事故の意見は見てもないし控えますが、そもそもトラック運転する時はそれにあわせて運転する必要があると思います。乗用車も同じですが性能の違やボディ形状によってですが。物理の法則には逆らえないんですねやっぱり。だいたい小さい車でも1トンもの重量を慣性の法則で考えても、物凄い力が働いているんでしょう車って。それだけに燃費も勿論ですが、現代の車の性能でもヒューマンエラーで事故は起こるのですから、自動車の基本の止まる、曲がる、をもっと追求してほしいです。日本専用車とか日本事情に適したとか言い訳はいいので大切な所に金かけろですかね。内装もしょぼけりゃスタイルもしょぼく走りは二の次、燃費だけ。 よくまあそんな車が日本車とくに日本仕様には多過ぎることかと思う今日この頃です。 なんだか商売だからある程度コスト管理は大事な事はわかりますが、良心て物が感じられない車が多過ぎなんだよなぁっ気がします1消費者として。

  2. 牧場主 より:

    こんにちは。
    国沢さんの記事にある、"慣れないレンタカーという記述"が気になりました。事故を起こしたのは、50代の男性…という事は、中型限定免許だった?ということでしょうか…それとも、大型免許をもっていたのか…?
    大型乗りなら、排気ブレーキの事くらい知っているはず。…最近は、燃費が伸びないから必要な時以外ほとんど使わない、なんて人もいますが…
    過積載のため、ただ単に排気ブレーキだけでは対応できなかったのか…
    折角中型・大型免許なんて区分があるのだから、免許更新時の講習を違反にかかわらず実施すべき!!
    …極端であるとは思いますが、私は大型トラックに乗る人間には、物理学を学ばせるべきだと思っています!コーナーにあり得ないスピードで突っ込むドライバー、いくらでも居ますから…そんなに横転したいのか…?
    事故を起こしたトラックは型が古い中型なのでどうなのかわかりませんが、最近のいわゆるダウンサイジングされたクルマ(知り合いの、VW ゴルフVトレンドラインなど)は、エンジンブレーキの効きがやたら弱い様に感じます。
    小型トラックの3リットル車の排気ブレーキも、以前に比べてやたら弱くなった様な…ダウンサイジングするなら、ブレーキも強化しないといけないんでしょうか…?
    写真を見たところ、事故を起こした中型トラック…フロントブレーキはドラム?欧州車の様に、ブレーキをディスクにするか…GTマシンの様に、水冷ブレーキにするか?…ムリでしょうね。
    長々と駄文、失礼しました。

  3. kine より:

    1.5トンのトラックに乗っていますが排気ブレーキは付いていません、何トンくらいのトラックから付いているのでしょうか?。
    排気ブレーキは強力です、だいぶ昔ですが三国峠の群馬県側を走行している時トラクターヘッドが3〜4台連なって下っている後ろを走行していたのですが、中間のトラクターヘッドは時たまブレーキランプを点灯させていましたが私の前のトラクターヘッドは全くブレーキランプを点灯せずに下り切って行きました。
    排気ブレーキでブレーキランプが点灯するようになるかなり前でした。

  4. オヤジ より:

    大型車(バス)のドライバーとしての意見です。
    先ずは、自家用車とは性質の全く違うトラックを特別に訓練(練習)もなく、今からすぐにでも運転しようと思えばできてしまうところに問題があると思います。
    確かに、現代の大型車(中型)は技術の進歩で自家用車感覚で運転することは可能ですが、特に圧倒的に違うエアー式のフットブレーキだけは絶対に知識と慣れが必要です。
    「トラックはエンジンブレーキが効きにくい」
    それを補う為に「排気管を塞いでエンジンブレーキの効きを高める排気ブレーキ」や「電磁石を使ったリターダブレーキ」や「吸気バルブを閉じたままにしてポンピングロスを利用したパワータードブレーキ」などの補助ブレーキが付いていますが、同じ車でも、「排気ブレーキ無しのパワータードが二段階だけ」のように事業所の判断で組み合わせが違ったりするので始末が悪いです。
    さらに、同じ車で同じ仕様でも、使用頻度による「踏みしろの違い」や「整備後の調整の差」(ほんの少しの差でもタッチの差が大きく異なる)などで怖い思いをした人もかなりいます。
    中型車に乗るには、免許はあっても何かしらの講習を受けるべきだと考えます。
    クレーン付き、空車、積載時、取り付けられているタイヤの種類、などの状況での操作感覚の違い。
    乗用車感覚で運転されているのを見る度に恐怖すらおぼえているのはオヤジだけではないと思います。
    滋賀県にある某大手運送業の研修施設(クレフィール湖東)で大型車の限界走行を体験したことがありますが、物理的な限界を越えると本当に怖いです。

  5. お祭好きの電気屋 より:

    この事故、第一報を聞いたときには「まさかリコール騒ぎに発展か?」とも思ったのですが、詳報を聞いてみたらば「なんだよ、、初歩的なミスじゃん」と。しかし、これには車社会背景もあると思います。要するにATの蔓延です。乗用車であればブレーキ性能が飛躍的に高まった(パッドなどのパーツの耐久性も含めて)為に、
    ノーマルで一般的な走行なら実は箱根の山越えですら
    2速落とししなくても降りてこられたりします。しかし、車重のあるトラックではそういうわけにいきません。MTに乗りこなしている人であれば体が自然にシフトダウンを行い、積極的にE/Bさらに知識のある人なら他の人も書かれている通りリターダやEx-Bを
    使用しますがAT漫然運転に染まってしまいますと
    よほど意識しない限りフートブレーキのみで抑速するでしょう。そして最近では中型クラスでもかなりATやセミATが普及してきたという面もあります。 安全面でもこれ以上ATの蔓延を放置していて良い物かと考えさせられます。ATだからと免許が簡易になるほどドラテクや知識が少なくて済むなんて事はないのです。むしろ
    MTより難しいことすら有ります。山越えとかはその最たる物です。

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