”超”急速充電器
技術は進む。発表された資料を見た時は「ホントか?」だったJFEエンジニアリング/旧日本鋼管の『超急速充電器』だけれ
ど、いろいろ聞いてみたら相当面白いということが判明した。なんせ電気自動車のバッテリーを3分で50%。5分で70%まで充電出来るのだという。そんなこと可能なのか?
現在の急速充電器は50kWという特殊なトランスや配線が必要な電源を使わなければならない。安くなったとはいえ、簡易型の急速充電器でも設置しようとすれば500万円以上掛かってしまう。加えて充電時間もi-MiEVの場合、ほぼ空の状態から容量の80%までで30分近く掛かる。効率よくありません。
JFEエンジニアリングが開発中の急速充電器は。充電器の中に2つのバッテリーをセット(一つは短い時間に電気を蓄放電出来るキャパシタ=コンデンサだと思う)。イッキに電流を掛けることにより、前述の時間で電気自動車のバッテリー充電しようというもの。電源も15kWの普通の家庭用でOKだという。
また、15kWの基本契約料は50kWより年額で90万円も安く、メインバッテリーの容量次
第で夜間電力も使える。もちろん太陽光発電だって対応できてしまう。特にECOをアピールしたい企業だと太陽光発電で作った電力を使えるのが評価されそう。急速充電装置の占有時間が短いというのも素晴らしい!
日産リーフだと3分/50%充電出来れば70kmくらい走れるだけの電力を得られるし、5分だと100km以上走れるのだからタイしたもの。しかも設置コストは従来の急速充電器より安価だという(JEFエンジニアリングは従来型の設置費用が1000万円だとすると、その6割程度だと言ってます)。
電気自動車関連の新技術は黎明期のガソリンエンジンのように次々と登場してくる。本格的な普及が見えてきたような気がします。
<おすすめ記事>
これって良くわからないんですが、そんなに超急速充電したらバッテリーが痛みそう。と言うかそんな大電流を流そうとしても、バッテリー側の保護回路がリミッターをかけてしまうと思うのですが・・・。
下はリチウムイオン電池の「定電流-定電圧充電」について解説したものです。
http://www.baysun.net/lithium/lithium09.html
この図では、最初の定電流区間ですら1CA(1時間で空からフル充電されるペース)で流しています。EV用はもう少し速いにしても、「3分で50%」と言う事は6分でフル充電、つまり10CAで流すって事ですよね。そんな超大電流充電に耐えるバッテリーがあったら、その方が凄いと思います。
このJFEエンジの超急速充電技術、課題は標準化の波に上手く乗れるかどうか、それとEVのメーカーが協力してくれるかだと思ってます。
技術的には確かに魅力あるのですが、国内の急速充電がこの春にやっと「チャデモ」で一本化したのに、また新手の規格が・・・そんなの勘弁してくれよ、って言うのが自動車メーカーの気持ちではないかと言う気がします。
価格面でも、ご存知のとおりチャデモ規格の急速充電器が日産の仕掛けた価格戦争で既に一基当り150万円まで一気に下がりました。
日産は高圧契約の不要な中容量型もたぶん出すと思うのでそうなると、JFEエンジの超急速も600万円だとさすがにコスト的には太刀打ちできないのでは。
理想的には、チャデモ規格の一部として国内の標準の一つ、ひいては国際標準となればと思いますが、さてどうなることやら。。。
川鉄は、おもにガソリンスタンドやショッピングモールなど、あらゆる商圏に営業を掛けるそうです。
そりゃそうですよね、自動車使う人はリアルワールドのオーナーですから、普段車が必ず行くところへ設置するのが、順当ですね。
JFEがするなら、新日鉄や神鋼も近い将来に、発売する事になるでしょう。
電気自動車、案外早く普及する可能性が有りますね。
模型のニッカドの急速充電器は10CA近いのが有ったかも?です。
バッテリーの寿命に影響がしそうな気がしますが、模型の場合、空になってからの充電なので意外と使える(回数)と言う話を何かで読んだ事があります。
でも、容量の桁が違うので10CAの電流を考えるとどれくらいの電流なんでしょう?。
昨日この件についてツイッターでつぶやいたら、専門家の方から次のような返信をいただきました。
「Battery Battery 充電は90年代のエコステーションで実施済みです。Liは内部抵抗が低いので10Cは可能です。ただ高容量タイプは5C程度に設計されているので、JFEの素人の思いつきでしょう。」
急速充電器には色んなメーカが参入して来ますが、「素人の思いつき」じゃ困るので、日産のようにEVメーカ(又はバッテリーメーカ)が見本を示した方が良いような気がしてきました(価格的にも)。
あとチャデモも90年代に考案された古い規格で、今さら国際標準を狙うような代物ではないとのこと。政治力のある東電を巻き込むことに意義があるようです。
一般利用者としては充電なんぞに時間が掛かるのはうっとうしいだけですからありがたいお話。だけど車(バッテリー)メーカーとしては闇雲に急速に電流かけてもらっても迷惑な話。寿命は当然短くなるし、冷却もエアコン利用の空冷でも間にあわないので液冷で組み直さないといけないだろうし、電流量にあった配線で無いと”リーフ充電中に火災発生!”と報じられたら一貫の終わりになりかねない。
>政治力のある東電を巻き込むことに意義があるようです。
国内は確かにまとまったのでそれなりの意義はあったと言えますが、問題は国際的に通用するかどうか。
スマートグリッドに消極的な国内電力各社は、V2Gなど海外では真剣に活用が検討されている用途や技術をチャデモに盛り込むのか、懸念があります。
この辺で米国のベンチャー(GridPointなど)や中国の電力会社とEVメーカーに充電インフラの規格争いで破れたら、「ガラパゴスEV」の一丁上がりです。
(もちろん、トヨタや日産はその辺も十分に承知しているでしょうが)
国内で政治的な影響力の大きい電力会社がイニシアチブを握るのも、今後電動化が進む自動車産業では良し悪しがあるように感じます。
前から気になっていたんですけど、電気自動車の場合ACもライト類もオーディオも全て電気任せなんですよね?走行用とは別のバッテリーを積んでいる場合は、別々に充電するんでしょうか?それとも一箇所の充電口から充電しつつ、バッテリー間で適当に配分されるんでしょうか?それともナンバー付の競技車両みたいにある程度割り切って乗るべきなんでしょうか?
特に都心部では連休渋滞などが予想されますし、事故や災害による突発的な通行止めなどのため、充電施設の無い山間部を大きく迂回せざるを得ない状況も考えられますけど、そういう現実的な場面でAC系統のバッテリーが放電してしまうまでどのくらいの時間的余裕があるんでしょうか?夜間の渋滞だとブレーキランプとヘッドライトの消費電力もそれなりの負担になりそうな気がします。
これがもし梅雨の夜の事故渋滞だったりしたら、かなり厳しくなりそうで少し気になってしまいます。その辺、ぜひテストしてみてください。
なんだか、考えれば考えるほど小さな発電専用エンジンを積んで発電/充電しながら走ったほうが効率良い気がしますけど、そういう方向で考えているメーカーは主流ではないのでしょうか?
最近はやたらとエコを主張しすぎて現実的でない主張というのを見かける機会が多くなってきました。例えばエレベーターの使用を止めて5階程度なら階段を使えというポスターや(アメリカです、そのくせこちらではACは年中ガンガン効いてて、冬の室内はどこでも半袖が基本です)、オフィスの昼休み消灯(日本)、等。そういう変な流れにとらわれない、現実的な新技術に大きく期待したいものです。
「なんだか、考えれば考えるほど小さな発電専用エンジンを積んで発電/充電しながら走ったほうが効率良い気がしますけど、そういう方向で考えているメーカーは主流ではないのでしょうか?」 - Kei
その考えで開発が進んでいるのがGMのVoltですね… 搭載した電池でEVモード走行し、蓄電量がある程度以下になると70馬力ほどのガソリンエンジンが始動し発電機を回し、その電気で駆動モーターを回すという考えですが、平地で100km/hほどで巡航するなら問題ないでしょうが、追い越しや登坂時に70馬力では不足なので、なけなしの残留蓄電を放出しなければならないでしょう。 これもそう長い時間続けるわけには行かず、例えば、箱根越えで後続車の迷惑にならなければいいのですが… GMは大丈夫と言っていますが、もし本当ならこれからの車を全てこの形式(シリアル)にし、電池容量を少なくし、ほとんど常時シリアル駆動にすれば燃料消費と二酸化炭素排出問題に大いに寄与します。
>これからの車を全てこの形式(シリアル)にし、電池容量を少なくし、ほとんど常時シリアル駆動にすれば燃料消費と二酸化炭素排出問題に大いに寄与します。
GM Voltのシリーズ動作時燃費は20km/L以下なので、プリウスのシリーズ・パラレル動作の方が燃費・二酸化炭素排出量の面で数段優れています。
>電気自動車のバッテリーを3分で50%。5分で70%まで充電出来るのだという。そんなこと可能なのか?
現実問題として、日産リーフでは不可能ですね。
バッテリーには内部抵抗がありますので、充放電電力に上限があり、それを超えると過熱してしまいます。
日産リーフの充電電力は公開されていませんが、放電電力は90kWと言われています。
日産リーフのバッテリー容量は24kWhなので50%充電だと12kWhになり、それを3分で充電するには240kWの充電電力が必要になり、バッテリーが過熱してしまうでしょう。
90kWの充電電力とすると、50%の12kWhに対する充電時間は、2倍以上の8分間になります。
>電源も15kWの普通の家庭用でOKだという。
15kWの家庭用電源でその充電器に装備された電池に対して夜間12時間かけて充電すると、充電電力量は180kWhですね。
日産リーフ各1台に12Whを充電するとすれば、1晩充電あたり15台分にしかなりませんね。
24時間連続して家庭用電源から充電したとしても、1日あたり30台しか充電できず、1台あたりの充電時間が8分だからといって24時間で180台の日産リーフに充電できると思うのは間違いですね。
充電器に装備された電池も消耗品であり180kWhもの電池の交換費用は多大なコストがかかり、このシステムは非現実的と私は見ています。
いまさらですが、JFEグループ勤務者です。
急速充電には2つの問題があります。
1:電力会社側からの電力供給量
2:車のバッテリーの充電可能電流
国沢さんがおっしゃっている、充電器内にバッテリー内蔵
というのは(1)の問題への対応です。
しかしこれには他の方も指摘されているように、
充電器内バッテリーが空になりますから連続で何十台も充電できる訳ではありません。
お客様が数時間に数台しか来ない充電所ならOKですが。。。
2の問題は車側の対応が必要です。
従ってJFEエンジの提案する充電規格(大電流充電をしています)に則って設計された車でのみ数分での超!急速充電が可能となり、従来のリーフ等は普通の急速充電となります。