2050年のカーボンフリーって実現可能なのか? 休日なのでじっくり考えてみましょう
休日のためカーボンフリーが可能かどうかの検証など。昨日「くるまのニュース」で水素中心のエネルギーになると書いた。現在の我が国は原油/天然ガスの社会です。水素中心に出来るのか? 例えば火力発電。現在石油や石炭、天然ガスを使っているけれど、これを水素に変えられるのか。変えられます。火力発電で使う水素は不純物が多くても良い。専門的には「グレー水素」と呼ぶ。
グレー水素はオーストラリアの褐炭(熟成してない石炭。現在使い道無し。大量に存在する)から採れる。2050年に日本で500~1000万トンの水素を必要とするが、発電コスト的には現在のLNG(液化天然ガス)と同等レベルになるという。ちなみに褐炭から水素を取り出す際に二酸化炭素を出すが、これは回収して圧力の高い地底に埋めることで安定した液体になります。
日本への輸送はLNGタンカーならぬ液体水素タンカーを使う。水素は液化するとLNGより効率良く運べるそうな。LNGのエネルギー量を100とすれば、同じ大きさのタンカーで運べる液体水素は160だという。現在の石油タンカーを2050年までに液体水素タンカーとすればOK。これで火力発電用のエネルギーは全て二酸化炭素フリーになります。
ちなみにマツダは未だに下のような「ウェルtoホイール」(原油井戸から駆動までのエネルギー効率)などと言ってる。これ、エンジン技術に関しては世界有数レベルの人見さんや、その右腕である廣瀬さん(現在研究開発のTOP)が全集中の電気自動車忌避論文で書いてきたこと。アタマ良い人って奥行き深いけれど俯瞰で見られない、と人見さんに何度も言ってケンカになった。
人見さん達は電気自動車も火力発電なので結果的に二酸化炭素を出す。だったら石油でエンジンで回した方が効率良いと言い張る。私は自然エネルギー使った電力ならいいでしょ、と言ってもダメ。けれどカーボンフリー社会は発電するにも二酸化炭素出しちゃイケナイ。したがってウェル(井戸)なんか使わない。なのにMX-30 EVの資料にも上の表が出てくる。
オリンピックの森さんと一緒で高齢高学歴の頑固一徹はナニを言っても譲らないっす。さて。モビリティの場合、カーボンフリーで作った電力はそのまま電気自動車に充電して使うのが最も効率良いです。したがってクルマのパワーユニットは電気自動車ということになる。一戸建てで日当たりの良い立地なら自分の敷地内で作った電力だけで家庭&クルマに使えてしまう。
いわゆる「マイクロ・スマートグリッド」(エネルギーの自足自給)ですね。太陽光発電や風力発電で作る不安定な電力も、もう少し大きな規模のスマートグリッドで柔軟に対応出来ることだろう。それでも太陽光や風力発電の容量を増やしていくと、余る。上は2月5日の東京電力の電力バランス。何と12時35分時点では30%が太陽光発電から供給されている。
太陽光発電能力を今の4倍にすると、完全に電力は余る。これに良い風が吹いていたら風力も加わります。余った電力で電気分解し水素を作る。捨てるべき電力のため、作った水素は安価。そして不純物少ないクリーンな水素なので燃料電池用として使えます。この水素で現在ディーゼルエンジンをパワーユニットにしているトラックやバス、建設機械、船舶などを動かせばよい。
少なくとも国家規模で戦略を練ればエネルギーのカーボンフリーは物理的に可能だと思う。そして巨額のインフラ投資も伴うため経済だって回ります。なにより人や自然や地球にやさしいのがイイ!
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