トヨタの自己評価

NHKスペシャルの『激動トヨタピラミッド』で、トヨタの内部文章が画面に出た。大雑把に書くと「走りの感性評価でVWに大負け。現代自動車に対し大きな危機感を持ち、自社が有利なのはハイブリッドだけ」。的確に評価できていると思う。少し安心したのと同時に、間違った方向にいかなければいい、とも感じます。

間違った方向って? ライバルに勝っているハイブリッドを徹底的に伸ばそう、と判断してるなら、少し違うと思う。ハイブリッドだってトヨタだけの技術じゃないです。ここにきてフォードや日産、GM、そして現代自動車、ホンダが極めてレベルの高いハイブリッドのシステムを完成させたか、リーチ状態にあるからだ。

最新のトヨタの動きが伺えるのは、北京ショーでのハイブリッドやるぞ宣言。中国でハイブリッド戦略を推し進めていくという。ハイブリッド技術の素晴らしさについちゃ何より私が知っている。されどハイブリッドの有効性は高価なガソリンを使うときだけに限られるのだった。天然ガスとかだと意味を持たない。

なぜか? 以前も書いた通り、タイでハイエースを天然ガスで走らせたら、200km分のエネルギーコストは500円。プリウス級のクルマなら300円くらいだという。タイのガソリン価格で言えば3,5リッター相当。燃費の良いハイブリッドでも、リッター57km走らせることなど出来まい。

こう書くと「CNGを燃料に使うハイブリッドを作ればいい」と思
うかもしれない。200km走って300円のエネルギーコストを150円に引き下げでも「ハイブリッド代」など出ない。そんなことでハイブリッドは世界の常識じゃないと考えます。日本とアメリカに代表される限定された国や地域にのみ有効。

トヨタだけでなく多くの日本人がハイブリッド技術を凄いと思っているようだけれど、今やガラパゴスになるつつあるのだった。でなければ製造原価で普通のエンジン車+5万円くらいの上乗せで作れるハイブリッドを開発するか、です。この点さえ解っていれば弱点を認識しているトヨタを心強く思う。

・ECOカーアジアは「クルマの原点はマン島TTとパイクスピーク

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7 Responses to “トヨタの自己評価”

  1. ねこまんま より:

    アメリカと日本が好景気な時は車もどんどん売れますのでハイブリッドもいいと思いますが、
    これから伸びてくる新興国などを考えると低価格の実用車が必要になるかと。
    あと、燃料が変わってくれば当然今までの常識は通用しなくなるわけで柔軟な対応が必要になってくるかと思います。
    最終的には電気自動車になるとは思いますが、それまではディーゼルがいろいろと汎用性の点で良いのじゃないですかね。
    ただ、技術者の端くれとして気持ちはわかるんですよね、やっぱり複雑なギミックに燃えるわけで。
    いまさら二気筒やガソリンエンジンの地道な改良は面白くは無いでしょうから。
    トヨタのハイブリッドは本当に素晴らしい技術です。
    日本はハードには強いけどソフト(運用面)が今ひとつなんですよね。
    これから伸びてくる新興国などでは難しい理屈はどうでも良い、
    誰でも乗れて維持費の安い車が欲しいというのが現実でしょう。
    商用車ベースでディーゼル、価格を抑える、モデルチェンジなど20年ぐらいしなくて良い。
    はっきり言ってその程度の車ならどこのメーカーでもすぐに作れるでしょう。
    もちろんそれだけではダメで新技術の開発は絶対に必要。
    どこでも作れるということは同じ土俵で勝負するということですから円高などの要因を考えるとそれだけではかなり苦しくなるでしょう。
    日本のメーカー(車に限らず、家電なども)開き直ってもう一度一からチャレンジするのが必要です。

  2. オヤジ より:

    あれだけ大きな組織を運営していくには、膨大な経費が掛かるんでしょうね。同クラス車の見積りを他メーカーと取り比べると、ビックリするぐらい高いです。
    フィールダーのそれと、インプレッサを単純比較してみると…?
    必要経費が、なんでこんなに違うんだろうか!!
    トヨタの張りぼて車で…
    言い過ぎでしょうか?
    いぃえ誰でも。

  3. 阪口 正輝 より:

    まず、トヨタのライバルはトヨタ社内の保守層です。
    VWに大負け… 個性のない走りをしていたら当然です。
    トヨタの看板技術 HVは燃費に貢献するモーター音とCVTが運転する気力を失せさせます。
    一方、VWの看板技術 TSiはタイムラグなくエンジンは回り、段付きATやDCTが運転の楽しさを引き上げます。
    トヨタが大負けのVWでさえ、BMWには及ばない。
    トヨタがBMWに
    勝てないってことは、レクサスも勝てないことになります。
    HV・エコ一辺倒のと、走りに関する既成概念を払拭しない限り、何も変わらない…
    壊れない・環境にいいというイメージと、強力な販売網が理由で売れている現状では、他メーカーが同じイメージがついたら終わりということを早く気付いて欲しいです。

  4. 真鍋清 より:

    私事になるが今朝訳あって所有車のレクサスIS350/2009年式を駆って埼玉県志木市の自宅〜都内新宿区のホテル〜河口湖のカチカチ山ロープウェイ〜練馬区光が丘のホテルカデンツァと一走りして夕方帰ってきた所です。
    同車、都内ではあらゆる路面の突起やつなぎ目を円くジュータンで包んでしまうが如き感触を、中央道では速度を上げれば上げるほど(区間によっては秒速50mまで記録した!)フラットさを増すサスペンションセッティングを見せつけてくれ、確かに厳かな乗り心地ではあろう―その荘厳さ・滑らかさが実は表層的な「化学調味料で味付けされた」ようなものであることに気づくのにいくらもかからなかったことを伝えたい。
    不快な横揺れやボトミングこそ皆無な一方で、レーンチェンジ時のサスペンションの揺り戻しが一定サイクルで見受けられ、パワステの直進復元性もまたサスペンションと舵角の間に不自然なタイムラグが見られるという寸法だったという辺りどこか「お里が知れた」ような感を受けてならないのだ。
    こうした安普請な手応えは旧世代KYB製ダンパーの欠点であるのと同時に、トヨタ自身の「コストダウンと本物志向の間の相克」の縮図に思えてならない。
    小生のレクサスISも、トヨタが同族経営から離れて「質より量」のボタンの掛け違いを行なっていた時期に開発されており、それをベースに日増しに成熟させていこうという同社技術開発陣の努力が見受けられる反面、どこかゼロクラウン由来の量産プラットフォームの限界が感じられるのもまた事実だと言っておく。
    かくもトヨタ全般の変革への模索を感じさせるレクサスISシリーズ、それでもここ1〜2年は超弩級IS-Fへのザックス製ダンパーの採用などトヨタも勘所を取り戻しつつあることは認められよう。
    そんなIS350が本場ヨーロッパでは北米直輸入で新車ならメルセデスC350を上回りアウディS4/シトロエンC6に迫る価格で販売され、3-4年落ちの中古車でさえもBMW328iやボルボS60 T6の新車並みの正札で出回っている事実(※注)に何とも形容しがたい複雑な感慨を抱きつつ、最新プラットフォーム採用第一弾たる新型GSの卓越した完成度を見るにつけ、ゼロクラ〜IS/先代GSと使いまわされてきた従来FRプラットフォームは天寿を全うしたものだと強く思うのだ―そう、「迷走トヨタは死に向かい、全社挙げて逆襲の狼煙を上げている」と。
    プリウスαやアクアの動的特性には小生も心惹かれるものがあるのである。
    (※注)
    上記拙文の内容に関連して、フランス市場での北米並行のレクサスIS350の新同車〜中古車の価格データを添付ファイルにて(国沢さんの連絡先に)送付致しますのでご覧になっていただければと思います。

  5. G35X より:

    トヨタはVWに感性評価で負けていると自己評価のことですが、きっとVWでは信頼性とHV技術でトヨタに負けていると自己評価していることでしょう。 北米ではドイツ車信奉者が故障が多いにも拘らず買うのみです(マゾ系の人たちか?)。 購買層を広げようとしているのかVWのニューモデルにはトヨタ化の影が見え隠れしています。
    消費者の好みは時代と共に変って行きます。オーディオ機器最盛期には中学生でも聴く音楽の種類によりレコードプレーヤーのカートリッジを替えたり、LPからCDに移る過度期にはディジタルの音は云々と色々うるさい要求が出たものでした。それが、現在ではみなmp3の音をイヤフォンからチーチキ出る音で満足しています。 車も安全で故障せず経済性に優れA点からB点まで行く道具として使えればそれ以上あまり要求しないのが昨今の一般消費者です。 トヨタとホンダはその消費者心理に合った車を売っている...というよりこの2社が消費者心理そのものを創ったと言えます。 最新モデルでは改善されたとはいえプリウスの動力性能や乗り心地はけして褒められたものではありませんが、日本ではベストセラー、アメリカでも5月には乗用車販売数の9位に付けています(現代ソナタより上)。 多くの消費者が車を月賦で買うので車所有に要する毎月のキャッシュフローが重要で、少々車のローン代が高くてもガソリン代で節約できれば環境問題やエネルギー問題の意識からプリウスを選ぶ消費者も多いと思います。また、プリウスは故障の少ない車として最上位にあります。これは、駆動系の複雑さから見れば驚異的なことでトヨタの評判を上げています(数々の意図的なネガティーブキャンペーンにも拘わらず)。
    技術の先端を行く企業は、天然ガスも含め有限の化石燃料をいかに引き伸ばして使ってゆくか、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の排出をいかに少なくするかの観点からも動力源の熱効率をさらに高め範を示すべきです。 ガソリンやLNG、LPGエンジンの効率は少しずつ向上しつつあるとは言え、せいぜい30パーセントに届くかというところでしょう。発展途上国でもこの非効率は改められるべきです。プリウスの動力機構をブラックボックスと見れば、同様出力の内燃機が熱効率40パーセント以上になったとみなすことができます。将来的には60パーセントの効率が得られるコンバインドサイクル発電と都市ガス(天然ガス)から電気を作る燃料電池が車も含め一般のエネルギー源となるでしょう。

  6. サーティ より:

    トヨタは国産他社の長所をつぶしてつぶしてのし上がってきたメーカーだ。だからって言って国産メーカーは日産以外に高級車を作っているメーカーはいなくなってしまった。
    日産のフーガシーマもパッとせずに市場自体がなくなりつつある。
    トヨタが真似すると、そのカテゴリー自体が消滅してしまい、トヨタから新しいカテゴリーを産み出さないので国内市場はトヨタの功罪でつまらなくなった。
    これからは86をはじめとしてトヨタが国内市場を面白くしてくれることを願ってやみません。

  7. 志士 より:

    MAZDAとスバルのDNAをトヨタに注入、MAZDAとトヨタが良い意味で合併すれば解決できる部分が多々ありますね。トヨタの弱い部分に強いMAZDA、MAZDAの弱い部分に強いトヨタ、この二社が良い意味で合併したら世界最強ですね。

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