ベンツ古い?

ベンツCクラスは、ベンツジャパン曰く「ニューモデルより大きな変更を行ったマイナーチェンジをしました」。最近「ソフィ
スティケート」(あえて意味を書かない)を感じないクルマに興味が無くなりつつある中、先日VWパサートに乗り「ドイツ車は大きく進化したのね」とウナッたのでベンツの試乗会にも行ってみた次第。

ちなみに「優れた性能持つクルマに興味を感じない」という意味じゃない。競技車両のように速いことが積極的に是とされるモデルは相変わらず魅力を感じます。ストリートファイトについちゃ否。ルールある格闘技上等。ということでセダンに求められる「ソフィスティケート」とは、やっぱり燃費の追求でしょう。

という観点から評価すると、もはや完全に古い。ドイツ本国を見るとSクラスに2,2リッターディーゼルエンジンを搭載するなど頑張っているものの、少なくとも日本に於けるベンツのイメージは
(販売している側、と言い換えてもよかろう)、「ガソリンを大切に使う」ことに対しあまり感心がないようだ。

長い間、ベンツは時代のニーズの最先端を行くメーカーだった。ホンの10年前まで「自動車の技術=運動性能や動力性能」。だからこそ世界中のメーカーがこそってベンツを目標にしたワケです。でも今や自動車に求められる最先端技術は「エネルギー問題との共存」。日本でベンツを見てると”鈍”に感じる。

前述の通り本国では環境技術も頑張っているけれど、VWのように「本当の意味で効率を追求しようとしている」ワケじゃない。巨大な高級車を電池で走らせる、なんてエコじゃなくエゴ。ベンツそのものの価値観が通用しなくなっているような気がしてならない。ベストカー6月10日売り号で書いた通り、脅威はGMとVWで
す。

10年前なら、いや私の場合、20年前なら大マイナーチェンジしたCクラスのハンドルを握って「素晴らしい完成度ですね!」と感心したことだろう。でも2011年6月8日の水曜日に乗ったCクラスは、古さしか感じなかった。「Cクラスに乗ってどう感じるか?」が、自動車に対する分水嶺になるかもしれない。

Cクラスに乗って「素晴らしい!」と手放しで感心したクルマ好きは、今のウチに20世紀の良いクルマに乗っておくべきかと。自動車関係者で「これぞ自動車!」と感心した人は、今後開発するクルマにタッチしない方がいいと思う。「プリウスの乗り心地を少しでもCクラス並にしたい」と反省するのは大いに重要です。

・ECOカーアジアは「燃費良ければデザインなんか?

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5 Responses to “ベンツ古い?”

  1. 那須与一 より:

    ベンツ!割り込みが通用するのは、昔のベンツだけ(笑)
    けど、それらも中古でボロボロ.。
    今は日本車より迫力が無いマスクになってしまいました。だから、今でも新車でベンツを買う方を見ると、逆に見栄を張らない人だな。と感じます。
    高級車は沢山売らなくていいんだと思いますが、BMとMBは日本のマーケットは既に放棄したのでしょうか?
    最近、アウディに乗るブルジョアの方が多いような…。

  2. 小林 英弘 より:

    今度の休みにCクラスの試乗に行ってきますね〜。今時、新車で買った初代フィットAから中古トルネオSiRに乗り換える程のバカですから多分「素晴らしい!」と思うでしょう(笑)。

  3. アミーゴ5号 より:

    数年前、現行Cクラスをレンタカーして、一泊二日の家族ドライブ旅行に行きました。
    何しろがっしりしたボディが印象的でした。また1.8Lスーパーチャージャーを搭載し、当時としてはダウンサイジングをいち早く目指していましたね。
    走りでは、高速域の超安定感、中速域の敏捷さ(BMW対抗でアジリティって表現していた)、と低速域の鈍さ(ベンツの伝統?)の3つの特徴が同居していました。何とも不思議な気がしたものです。
    走りはどうかというと、超強固でかつ粘るボディがもたらす走りは、国産車では相手になりません。では買うかと言われたら、同じ買うならBMWを買います。
    エコかと言われれば、エンジンのダウンサイジングを図っています。十分かといえばVWの戦略やハイブリッド車には及びません。
    オーラがあるかといえば、ビンビンにあると思います。では魅力的かといえば、かつての様な新しさはなくて、むしろくどい感じがします。
    でもですよ、貴重なFRメーカーだから、頑張ってほしいですね。
    クルマがパッケージングの多様性を失ってしまったら、本当に無印の移動ツールに成り果ててしまいます。

  4. samine より:

    ダイムラー・ジャパンは日本の利用層が古い観点で「ベンツ」を好んでいることを理解しているのでしょう。エコなんか求めちゃいない、と。
    迫力云々は、私はむしろメルツェデスらしさが戻ったと感じますね。エラそうだけど威嚇的ではなく、ズッシリと重々しい感じが出ていると思います。SLSを見ると、やはりメルツェデスはメルツェデスの伝統や「らしさ」を大事にしてると思います。
    ただ、同時にメルツェデスほどエコを重視してるブランドもないと思いますがね。VWは商売に繋げるのが上手くてエコカー商売をしてますが、メルツェデスは完成して納得が行くまでは出さないつもりでしょう。それこそ、いかにもメルツェデスらしいかと。
    日本市場は数が余り出ないから、最近の風潮ではドイツでもその他ヨーロッパでも日本を余り重視しない姿勢でしょうが、それは仕方ないと思います。ベンツに左ハンドルが多いとか、上級車は左ハンドルしかないというのはそもそも日本のユーザーが求めてのことでしょうしネ。
    しかし、エコカーでも走りを忘れず実用燃費を最重視する真面目な姿勢はVWをはじめヨーロッパの自動車メーカーの車屋らしき所でしょう。日本車にも見習って欲しいんですがネ、プリウスをはじめ、去勢された様な走りでカタログの数字重視で実用燃費を軽視したエコカー「みたいな」車ばかり作ってないで[E:bleah]

  5. 真鍋清 より:

    小生、根が石頭?なだけあって、新発売のメルセデスC350ブルーエフィシェンシーの306ps直噴3497cc、CO2=159g/km(VWゴルフ1.4TSIと大差なし!)と二桁台の実用燃費の両立にぶっ飛んだものを感じる上、ここしばらく見放してきたブランドであるメルセデスに大いなる敬意を払い始めた所だ―新開発V8直噴搭載のCLSやCLクラス改良型、欧州仕様S500/S350共々。
    我が「心のふるさと」メルセデスが久々に本道に戻り始めたのは実に心強い限りだ、お陰で低重心の一般的ハッチバックスタイル(そう、VWゴルフやランチアデルタの同類となる)を採用する次期A/Bクラスが待ち遠しいのが正直なところだ。
    同社のメイン商品たる1.8L過給器付きのC200-E250CGIに至るレンジは、一時期のエコカー減税を当て込んだチューニングの呪縛から解放されて本来の持ち味を取り戻しており、「4気筒の限界を極める」コンペにてVWのパサートからポロに至る直噴TSIレンジやプジョー/シトロエン連合の1.6L直噴ターボユニットと並んで一廉の地位を築いていると思う。
    そんな、1.8L/4気筒という「ザコキャラ呼ばわり必至」のカテゴリーのエンジンに、上限のオーナーカーの為のベストパワーソースとしての手形を与え、やがては近い将来にハイブリッド化を見込んでSクラスに搭載し「VIPリムジンのパワーユニット」としての道を開こうとしているメルセデス技術陣の功績にはひたすら頭が下がるのも本音だ。
    それは、パワーユニットを包むボディ骨格がダンパー/サス設定の妙と相まって設計通りの動きを示すことと決して無関係ではなかろう。ボディのフレームや骨格全般の剛性を徹底追求し、ゴムブッシュは消耗品に徹して数年サイクルでこまめに交換を要求する―そんな設計意図はドイツ車を筆頭にヨーロッパ車共通と言え、メルセデスはそうした路線の試金石ではあり続けていよう。
    その一方で、メルセデスの代替エネルギー路線はまだまだ及び腰というか、お手並み拝見の感も否めないと思う。従来型ガソリン〜ディーゼルエンジンの熟成は世界トップレベルであることは異論はないはずだが、燃料電池の煮詰めを見ていると率直言って模型レベルを大きく出ていない「未熟さ」も散見される。
    以上、メルセデスは「内燃機関路線の盟主」ではあってもクリーンエネルギーでは日本勢やVWに譲っており、その点でも今後の同社の巻き返しに期待する余地はあろう。
    PS
    小生が目下所有しているレクサスIS350は、その2GR-FSE型3456cc/V6ユニットの高水準の機械的効率とは裏腹に、サスペンションの入力に対する対応に乱れが見られ、路面のキャッツアイに対してヒョコヒョコ微振動が絶えない辺り、ダンパー/サスの一糸乱れぬ減衰特性を示すメルセデスCクラスに対して一日の長を認めざるをえないのも事実だ。
    無論横揺れなどは皆無なものの、どこか安普請なサスセッティングに「コストダウン一辺倒」の日本メーカーの旧弊が見え隠れし、欧州メーカーのほうが遥かに「クルマとはなにか」について一筋縄が通った哲学が感じられよう(少なくとも従来型エンジン車分野では)。
    この点、メルセデスに限らずアウディA4/A6、BMW3シリーズ、VWパサート/CC、ボルボS60やサーブ9-5…..との比較でも同様なことが言え、結局このレクサスISシリーズはよくも悪くも旧世代日本車/日本メーカーの特徴を示した作に違いないだろう。
    IS350の前に乗っていたメルセデス260E(W124)は金庫のようなボディ剛性、サスの減衰性能など製造から20年経った今でも独特の哲学を示しており、「何が本物か」について大いなる示唆を示している―このあたり由々しき問題であり、日本メーカーにもハイブリッドだけでなく車全体を巨視的に考えてもらいたいと思う。

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