最後は全開アタックしたら‥‥(23日)

冷静になって考えてみれば、トヨタにとって大きなリスクだと思う。だってWRCという目立つ舞台に立ち、もしリタイアしたら燃料電池のトラブルじゃなくたって勘ぐられてしまう。普通の企業であれば「一切関与出来ません」というチョイスになるだろう。けれど今回、いろいろ相談に乗ってくれた。特に水素充填車は、無ければ走ることが出来ませんでしたから。

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といったことは私だって100も承知。ただチンタラ走っていたんじゃ何の価値もない。そもそもコースクローズドの後の出走順にしてくれ、しかもフルアタック出来る航続距離に設定してくれたのにパレードランなんてありえないでしょう。WRCの文化、ヘルメットかぶってフルハーネス締めたら全開です! シェイクダウンから徐々にペースアップし、デイ2はホイールまで曲がり始めた。

迎えたWRCドイツラリーの最終ステージは「無事完走を狙うか、最後までWRCに敬意を表するか」で迷いながらスタート! するとどうよ! めちゃくちゃ観客が多い! しかも激しく盛り上がっており、走っていて至るところでコブシを上げて応援してくれます。こうなればイヤでもペースアップしていく。やがて「ほぼフルアタック状態」になってしまいました。しくしく。

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それだけクルマを信用出来る、ということでもある。なんせ全くのノートラブルですから。ハンドリングだって素晴らしい! 標準のブレーキながら専用に作ったパットが良い仕事をしてくれ、1850kgのヘビー級ボディをコントロール出来ている。やがて目の前に迫るクレスト(先の見えなくなっ ている道)にさしかかるや、木原さんが「クレスト オン 右6 ジャンプかも」。

んんっ! 「ジャンプかも?」。後で聞いたのだけれど、私が作ったペースノートには書いてなかった。木原さんが気づいて注意を加えてくれたのである。「ジャンプ」と聞き「抑えなくちゃ」と思ったのと同時に「1回くらい飛んでやる!」。この要素が私のオタンコな部分であると同時に、私らしい ブブンでもあったりします。しかもジャンプする場所なので観客たっくさん!

よっしゃ! とばかり飛ぶ! するとどうよ! 予想よりずっと飛んでしまった! 飛距離約20m。高さも道路が下に見えたのでクルマ1台分くらいだったろう。当然のことながらサスペンションはフルストロークし、今までに無い衝撃を受ける! どこか壊れたか? とコーナー2〜3つ分を注意して走るも、とりあえず何ともない。う〜ん! こら本格的なラリー車と同じくらいタフだ。

とはいえフルストロークしたためバンパーがズレ、樹脂製のアンダーガードは最終SSに来て売り切れました。まぁ全日本ラリー2戦分を走ったのだから凄いと考えます。バンパーとアンダーガードが地面に擦れガリガリと音を立てながらゴール地点に着いたら観客大盛り上がり! カメラマンもたくさん寄ってくる。やっぱお祭り! 盛り上げたアホが評価されるのだった。

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ということで何とか走りきりました! シェイクダウンから徐々にペースアップし、最終日はほぼフルアタック! こんな使い方をして壊れないのだから、燃料電池についちゃ何の問題も無いだろう。1850kgという車重を考えると、車体だってタフ。重いクルマがあんなに高いコーナリングスピードを持っているなど信じられないほど。トリアーに戻ると、セレモニアルフィニッシュまでさせてくれちゃいました。ミライ君、持ってます。

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