スズキの技術発表、600kgを切るアルトを作るのは興味深いが、安全性と言う点で私は全く推奨出来ない

スズキの持ち味は「小・少・軽・短・美」だという。これをしっかり守れば安価で二酸化炭素の排出量が少ないモビリティを作れる。軽い=材料も少なくて済むため、昨今の原材料高騰だってハネ返せる。何より次期型アルトで600kg切りを目標としているあたり、モビリティの原点に立ち戻る素晴らしいコンセプトだと思う。ちなみに3代目アルトってナローボディの550ccです。

安全という文字はひとつも無し!

エアバッグ無し。ABS無し。オフセット衝突未対応--というより、そもそもフルラップ衝突の速度だって40km/h。ADASなんて夢の彼方。安全性もナスもヘチマも無かった頃のモデルだ。次のアルトでいえば、サイド&カーテンエアバッグや、ADASも装着しなければならない。普通車と同じ衝突安全性が求められる。9代目の680kgだって難しい。700kgを超えて当然かと。

5%(35kg)の軽量化ならオーソドックスな方法で何とかなりそうだけれど、100kg減らそうとすれば基本から見直さなければならない。面白いです! 100kg軽くなるとエンジンの負荷も下がるため騒音や排気ガスで有利になるし、タイヤサイズだってワンランクさげられる。これまた騒音や転がり抵抗、重量面のアドバンテージになるだろう。さすがだ!

一方、東京都などは「2030年以降、純エンジン車の登録を認めない」となっており、小池都知事が再選されたので施行されると思う。地方に行くとガソリンスタンド減る。興味深いことに電動化技術を入れると、エネルギーの回生が出来るようになる。700kgから100kg重くなっても、60%の回生効率を持たせることで480kgの車重と同じ走行エネルギーになります。

燃費では600kgの純エンジンより800kgのフルハイブリッド車の方が良い。純エンジン車と比べ、重量変化による燃費差が小さいのだった。加えて軽自動車レベルだと燃費差分で車両価格の差を埋めるのは難しくなる。もちろんハイブリッド車や電気自動車であっても軽量化はエネルギーの消費量を少なくしようとしたら有効。コストダウンも出来る。

もう一つのパラメーターは消費者の嗜好だと考える。600kg切りの小少軽短軽自動車に魅力を示さなければ、今まで通りの”軽くない&ゴージャスで安全な”トールワゴンを買う。台数出ないとコストダウン出来ないです。これまでの流れだとスズキのコンセプトに共感するユーザーは3分の1といったイメージ。逆張りでホンダを選ぶ人も少なくない(新型N-BOXは失敗)。

あたったら相当厳しい ユーロNキャップより

以上、おそらくクルマ好きの皆さんはスズキのアプローチに拍手を送りながらも、欲しいと思えるクルマにはならないと考えます。上は2024年のユーロNキャップ。新型スイフトの安全性評価ときたら、日本勢じゃブッチギリに悪い『☆☆☆』。BYDやニオなど中国勢すら☆5つ。ベトナムのビンファストが☆4つ。少なくとも私の家族や知人にはすすめない。

スズキにはぜひ高齢者専用モデルを作って頂きたいと思う。踏み間違え防止&赤信号停止機能ADAS付きで乗りだし価格120万円。スイッチ類を減らしたり、鉄板むき出しブブンがあってもOK。ドライビングミスをカバーしてくれるなら100点だ。衝突安全性で☆3つは私が乗ることを考えても問題なし。高齢になると走行速度だって遅くなりますから。

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6 Responses to “スズキの技術発表、600kgを切るアルトを作るのは興味深いが、安全性と言う点で私は全く推奨出来ない”

  1. natumenatuki より:

    軽量化反対です。
    昨年2023年7月に浜松市北区で起きた追突事故では、
    古いノアかボクシーに追突された現行のダイハツミライースが文字どうり原形をとどめずに潰れて、運転された方が亡くなりました。
    スズキのエネチャージに対抗するための無理な軽量化による弊害と考えられます。
    高張力鋼板もうまく使わないと無力と思います。

    https://www.youtube.com/watch?v=2_wmbv2NyZ4

  2. kuz より:

    「高齢者専用モデル」で以前から思っていたのですが、クルマから鳴る音の音量ボタンって付けれれないんですかね。バックギアのアラームとかウインカー・ハザードの点滅音とか、シートベルトの警告音とか色々ありますが、音量が大きく出来るものはありません。
    耳の遠い高齢者には音が聞こえていないんじゃないかと思うんですけどね。

  3. アルト乗り より:

    これまでパワーがあればあるほど楽しい!と乗り換えるクルマはどんどん排気量と馬力が増えてきました。
    日常車は3.5L、趣味車も3.5Lの2シーターオープン(笑)

    数年前、親が先代アルト(低グレード)に乗り換えて運転したところ「なんだこの楽しさは!?」と驚きました。
    あまりの楽しさに自分用にも購入。足回り、レカロ、ボディ補強を加えました。
    「軽さは正義」を味わえる一台です。

    例えばエキシージやセブンのように、安全性は担保されていませんが、承知の上で乗る分には軽量化は「アリ」だと思います。
    ゆえにアルトに乗るときは前後にトラックが来ないよう注意します。

    単純に万人用に、燃費を目的とした軽量化は確かに安全性を確保しないといけませんね。

  4. トヨタ車ユーザー より:

    写真のスイフトの軽自動車版を次は作るぞ!と言っているように見えますが(笑
    スイフトって新興国では安くて簡便な足車として存在し、新興国ではスイフト・スポーツとして普通の乗用車(一応ADASとエアバッグ付き)でスポーツカーに化ける不思議な車ですね。
    スズキってこういう不思議な車を作れるところが強みなんだと思います。中国がかつて共産圏に安かろう車を供給しそれが高級車化しても、スルーして自分のポジションを確保している。
    ホンダは対局で、豪華なN-BOXとそれベースでADAS付きのN-VAN(豪華な商用?)があり、どちらもそれなりに高いという…。
    でも、あと80㎏どこ削るのでしょう。いまはフロントフェンダーが樹脂(新興国現地生産車は鋼板)らしいですが、ドアやバックドア・ボンネットまでやっちゃうんでしょうか。(マグネットの銀杏マークが貼れません!)重い鉛バッテリーもリチウムイオンにしてしまうとか!

  5. どきん より:

    以前スズキは「1g=1円活動」と言う軽量化活動を部品メーカーに提案を強要していた。
    軽量化の努力を買い取るのではなくコストダウンを強要してきた。
    またあの世界になるのかと思うと部品メーカーとしては「ぞっ」とする。
    そんな内情をマスコミは知らない。

  6. とある50代の整備士のぼやき より:

    まだ現役基準で乗れる600kgくらいの車といえば、スズキツインですかね。なにも付いてない最軽量グレード(M/T)で570kg フルに付いてる(エアバック、ABS、エアコン、パワステ等)A/Tモデルで600kg位。
    まだエンジンもF6A(鋳鉄ブロック)の時代。現行のR06Dよりも30kgは重い。当然付けなきゃならない装備が増えましたが、現代の軽量化技術でなんとか行けないかな?  あとは2シーターモデルが需要があるかどうかですが、個人的にはちょっと欲しいかも。

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