アイドルストップ普及へ

ベストカーから依頼されたマーチの分析記事を書いていたら、改めて国内販売担当の片桐役員の辣腕に驚かされましたね。「売りたいマーチ」は中間グレードの12Xであり、私らが廉価グレード12Sを「UVカットガラスも付いていない!」などと批評をすればするほどニンマリする作戦でございます。

さて。12Sの価格は99万9600円である。一方、アイドルストップ付き12Xの価格を見ると122万9550円。
差額22万9950円なり。アイドルストップ以外の装備差を調べてみたら、UVカットガラスの他、電動格納式ミラーや、メッキパーツ、12Vの電源ソケッ
トなど、上を見て数万円相当でしかない。

いや、むしろタイヤなどは売れ筋になるだろう中間グレードの12Xだけ調達価格が安価だと思われる台湾製のマキシスを採用するなど、キッチリとコストダウンも行ってます。多めに見積もって8万円としておこう。するとどうよ! アイドルストップ装置が15万円ということになります。そんなに掛かってるのか?

マーチのアイドルストップ装置の素晴らしさは、専用部品をほとんど使っていない点にある。取材の際に廉価グレード12Sをチェックしたら、最も大きなコストアップ要因になりそうなバッテリーはアイドルストップ付きと同じ大容量タイプ。となるとアイドルストップ用の専用部品は二つくらいしか考えられない。

セルモーターを回した時に発生する電圧低下を防ぐための
『DC-DCコンバータ』と、耐久性を高めたセルモーターくらい。DC-DCコンバータは村田製作所に聞いたら「3ケタに近い4ケタだと思っていただければいいです」。セルモーターも従来の11倍の耐久性持つデンソー製は「大差ない価格です」。

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村田製作所のDC-DCコンバータ


いった低コストのアイドルストップ機能に15万円を乗せているのだ。しかも仕上がり具合たるや手放しでホメられるほど良く、アイドルストップがストレスに
ならない(スクーターのPCXのアイドルストップも素晴らしい! これもタイ製ですね)。片やホンダはハイブリッドを20万円高で出そうと頑張ってる。

日産は簡単なアイドルストップで15万円。ここを見切ったマーチの値付けはタイしたもの。12Xを売るため、12SからUVカットガラスなど落としたのだろう。すっかりお先棒を担がされちゃいました。ただ日産は良いヒントを与えてくれたと思う。コスト掛けず、こんな素晴らしいアイドルストップが作れるのだ。

他のメーカーも可及的速やかにアイドルストップをラインナップすべき。フィットなどハイブリッドよりアイドルストップの方がコストパフォーマンス高いかもしれません(マーチの12Xと同じ価格にすると面白い)。以前も書いた通り2010年から本格的なアイドルストップの普及が始まることだろう。

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6 Responses to “アイドルストップ普及へ”

  1. 太郎 より:

    アイドリングストップ車の心配は、スタータの耐久性とバッテリーの消耗。最近のスタータは丈夫で毎日数十回10年間回しても問題ないようだが、バッテリーは使い方しだいで早く痛んでしまう。猛暑のなかでエアコン最強にして夜間ヘッドランプ上向きのまま交差点ごとにエンジン停止と再スタート繰り返せばバッテリーが上がってしまう。しかもアイドリングストップ車だと、ブレーキはなせば自動でエンジンが掛かってしまうので、従来だったらセルが回しにくい掛かりが悪いなどドライバーが直感的にとらえることもしなくなってしまう。アイドリングストップ車はセルを回した後の端子間電圧が一定の値以下になったらアイドリングストップしなくなるような仕組みが絶対必要だと思う。

  2. ゲイン より:

    プリウスのLグレードなんて見た目のフォグ以外にも軽量化の為なのかコストカットの為なのか色々省かれてますが、人体にダメージはないです。マーチの場合ですと営業が説明してくれないと紫外線の攻撃受けちゃいますからちゃんと説明して売って欲しいですね。サービスで日焼け止めなんて付けてくれたらありがたいと思います(笑)
    マーチの質感はともかくアイドルストップの出来が素晴らしく、日産に利益の出る価格なら良い事じゃないでしょうか。ようはアイドリングストップなんてちゃんと機能してくれればいい訳ですから、シンプルとか安く造れるとかは別にネガな要素じゃないですし、ライバル車が採用しだせば価格も安くなる可能性があり良いですね。エントリーカーの売りとなる装備じゃないでしょうか。

  3. 那須与一 より:

    国沢さんが「俺は嫌いだけど」と前置きしながら分析したジューク。「コイン4枚」のマーチ(笑)
    いくらネットが普及しても、クチコミさえ、やらせな日本。
    国沢さんの言葉が気持ちいいんですよ。
    ジュークが嫌いなのもコイン4枚入るのも事実。
    それを踏まえた上で消費者は買っているんです。
    私のジュークなんて、三菱軽にさえ劣る部分が沢山あります。けど、それでも魅力的なのは商品力です。
    (RVRはいいけど買わなくて良かった。)
    最近の日産はウマイということでしょうか?

  4. eburico より:

    先生が間接的に言われる通り、このシステムに15万円ってすごく高いと思います。
    やはりコレは、フィットのハイブリッドやトヨタのハイブリッドが出た後、値引き合戦に持ち込んで10万円他社より値引きをしても儲けが出せるという計算で付けた価格なんでしょうか?
    しかもある程度、台数が売れてこなれて来れば…コストも下がり更に儲けが増えますし。
    もしココまで考えていたなら、かなり悪ドイやり方だと思います。

  5. ぱんだねこ より:

    こんばんは。
    エコカー補助金の終了が迫っている今日、勤めから帰るときに、ホンダカーズが3件並んでいる国道を通りました(かつてはそれぞれがクリオ、ベルノ、プリモで別資本)。いずれかのお店に、ナンバーがまだないインサイトとフィットが2,3台ずつプールされておりました。納車待ちの車両なのか、即納するべく見込み発注した車なのか。無難な色だったので後者かもしれません。需要の先食い、落ち込みを懸念しつつ、何とか1台でも成約して売り上げを伸ばそうと必死のようです。
    ベース車から「22万円高」と言われているマーチ12X、一般には12Sは選ばず12Xを選ぶのですが、ライバルのフィットの売れ筋G119.8万円と比べるとほとんど大差がないことが分かります。アイドリングストップ機能は22万円でありますが、フィットと比べれば約2万円でその機能が手に入るともいえます。もちろん、フィットは値引きやサービスが多いでしょうし、ボディの大きさから来るユーティリティの差を考えればマーチが半ランク下かもしれません。が、2万円なら用品サービスなどで挽回できるかもしれませんし、都市部ならアイドリングストップの効果てきめんなので、そちらを選ぶほうがお得なのでは?ベースはあくまでベースと割り切れば、そんなにマーチは高くないし、じりじりと売れるのはマーチではないかと思いました。
    ま、12Sでも法人向け需要があるし、そういった場合は100万円以下という決済が下りやすい売り文句?もあるので、それはそれで意味がある設定なのではないでしょうか?
    フィット・ハイブリッドは10月発売なので、すでに量産準備OKのはずですが、マーチの実効燃費をよく吟味して登場してくれることを望みます。
    でないと、マーチアイドリングストップの実質燃費が、フィットの燃費+αになった場合、フィットハイブリッドの燃費とガチンコになってしまい「ベース比30万円のハイブリッド」がヴィッツハイブリッドの登場待つまでもなく玉砕されてしまいます(>_<)!
    ホンダが「フィットは10円玉が2枚しか入らないぞ」なんていいながらフィットハイブリッドを出してきたらどうしましょう・・・。NSX後継車を復活させてフィットハイブリッドをあきらめた方が、イメージとしては良いのではないでしょうか?(次元の違う比較ですけど)

  6. ぱんだねこ より:

    連投失礼いたします。
    クラウンのタクシーなんかで実績があるでしょうから、デンソーのスタータモータは頑丈なのでしょうね。
    アイドリングストップがコストダウン可能になったら、もうちょっとバッテリーの容量を大きくして、電気式エアコンなんかつけて欲しいですね。リーフの電気式エアコンは日産系列のカルソニック製らしいので、マーチにも展開可能かもとおもいます。(シビックハイブリッドのモータとエンジンのハイブリッドエアコンはサンデンだったかも)

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